【地球”沸騰化”後の住まいの断熱とは?】家づくりを『学ぶ』ブログ・温熱編 第8回

木質繊維断熱材が持つ《温度拡散率》の優位性が沸騰化後の夏の断熱に有効に作用します。

 

 

いつも読んでいただいて

ありがとうございます。

 

 

埼玉県北本市で

『学んで楽しむ家づくり』を

お届けしている

 

“住まいの知恵袋、
家づくり問題解決仕事人”

 

蓮見工務店社長 蓮見幸男です。

 

昨年の取材時に撮っていただいた1枚。

 

 

こんなお家つくってます。

 

北本市  K邸 庭・水場(2018年竣工)

 

 

≪30年後も、しみじみ

「良い家だ」と思える家づくり≫

 

を味わって貰いたくて

毎日書いているブログの

 

今日が578回目です。

 

 

今日は、最高気温27℃

相対湿度32%でしたので

 

絶対湿度が8.23g/㎥と

とても過ごしやすい一日でした。

 

 

さて、毎週土曜日は

住まいの『温熱環境』をテーマに

勉強しています。

 

30年後の「満足」のために

“温暖化対策”って

欠かせない課題だと思います。

 

地球《沸騰化》時代での

住宅の温熱環境について

しっかり考えなきゃなりません。

 

 

ということで、今日は

 

“家づくりを『学ぶ』ブログ・温熱編”

~暮らしの快適のための温熱”いろはの”~

 

第8回【地球”沸騰化”後の住まいの断熱とは?】

 

について考えてみます。

 

 

今週月曜日に大阪へ出張し

木質繊維断熱材に関するセミナーに参加した

ということを

先日のブログで、少しお話させていただきました。

 

 

 

セミナーのテーマは

『熱貫流率では計れない断熱材の特性』

というもの。

 

 

 

いま、日本の建物の断熱性能は

《平均熱貫流率(UA値)》で計られています。

 

2025年の義務化の基準値

断熱等級4のUA値が6地域で0.87

ZEH(ゼロエネ住宅)で0.60

最高等級で0.26(W/㎡)

 

といった具合に

国が定める断熱性能の基準も

熱貫流率で議論されます。

 

 

ところが《熱の伝わりにくさ》というのは

この熱貫流率だけではなく

 

《熱拡散率》という要素にも

大きな影響を受けます。

 

 

熱エネルギーは、温度の高いところから

低いところへと移動していきます。

 

その際に、熱エネルギーは

断熱材の熱抵抗によって

伝わる速度を極端に遅延させられながら

移動していきます。

これが《熱貫流率》の影響要素です。

 

一方で、熱は通過する際に

その材料に吸収(蓄熱)されながら

伝わっていきますので

 

熱で一杯になるまでは、伝わる速度が

遅延されます。

 

つまり、その材料の蓄熱性が高いほど

伝わる際に多くの熱エネルギーが必要になり

断熱効果が向上したことになります。

これが《熱拡散率》の影響になります。

 

辻教授のセミナー資料より

 

では《熱拡散率》とは

どんなものなのでしょうか?

 

熱拡散率は《温度拡散率》とも言って

熱伝導率÷容積比熱(熱容量)で

計算されます。

 

なので、熱伝導率が同じであれば

熱容量が大きいほど

熱が伝わるのに時間を要するということです。

 

 

この《温度拡散率》性能を利用して

 

夏場にカンカン照りの日射を受けた

屋根からの大量の熱エネルギーが

 

室内に到達する前に日没を迎え

朝までに外気に戻される

 

というサイクルが出来れば

室内の冷房負荷が

劇的に削減されるということです。

 

 

様々な種類がある断熱材の中で

木質繊維断熱材ならではの特長は

この熱容量がとても大きいことです。

 

断熱材の《温度拡散率》を比べてみましょう。

 

辻教授のセミナー資料より

 

いま日本で最も使用量の多い

グラスウール(HGW 16k)は28.27c㎡/s

 

なのに対し

 

セルロースファイバー(CF 50k) は   3.86c㎡/s

で約1/7

 

木質繊維断熱材の

『シュタイコ・デュオドライ』は1.16c㎡/s

となっており、

HGW 16kの約1/24、CF 50kの約1/3.3

です。

 

 

つまり『シュタイコ・デュオドライ』は

高性能グラスウールの24倍

セルロースファイバーの3.3倍

 

屋根からの熱が室内に影響する迄に

時間を要するということです。

 

この性能をうまく利用し

蓄熱容量が満杯になる前に

外部に放熱できれば

 

とても安定した温熱環境が

維持出来ることになるのです。

 

 

ちなみに「杉」の温度拡散率は

1.63です。

 

熱容量いっぱいになるまでは

グラスウールやセルロースファイバーより

断熱能力が高いということ。

 

 

秋田県大曲の「もるくす建築社」

美郷アトリエの外壁が

 

250㎜の杉板と80㎜の木質繊維断熱材で

構成されているのも

 

この《温度拡散率》に注目したから

なのではないかと想像しています。

 

なにしろ、夏場は意外と暑い秋田で

冷房無しで快適な環境が得られている

そうですから。

 

『美郷アトリエ』の外壁仕様

 

「もるくす建築社」さんの事務所『美郷アトリエ』

 

ただ、室温への影響を確認するには

 

《熱貫流率》のように

「定常計算」で比較的簡単に

シミュレーションできるのと異なり

 

この《温度拡散率》の影響を

シミュレーションするには

『WUFI』という

「非定常計算」が出来るソフトが必要です。

 

この『WUFI』の取り扱いが

なかなか難しいらしく

専門家でないと、手が出せない代物なのです。

 

辻教授のセミナー資料より

 

辻教授のセミナー資料より

 

 

なので、今は

今回のセミナーの講師である

「岐阜県立森林文化アカデミー」の

辻光孝教授のデータから推測して

 

《温度拡散率》の恩恵を

最大限生かせる材料と厚みを決定する

ということになります。

 

このあたりのボトルネックを解消し

いろいろな方から

様々なパターンでのシミュレーションや

実測データが提供されるようになると

面白い世界が広がる気がします。

 

 

そして、

もう一つのボトルネックである

木質繊維断熱材を使うことでの

コストアップを

 

ランニングコストを含めた

トータルコストでメリットが出せるのか

 

そんなところまで

深く検討できるようになれば

加速度的に普及するかもしれません。

 

 

住まいの温熱環境の検討は

①平均熱貫流率

②日射熱の制御

③温度拡散率

で検討し

その優劣は《冷暖房負荷》の数値による

という時代が来ると思います。

 

 

 

今日は、

‟【地球”沸騰化”後の住まいの断熱とは?】家づくりを『学ぶ』ブログ・温熱編 第8回”

というテーマで

地球温暖化が進む

近い未来に向けて

温度拡散率という視点で

夏の断熱を考えてみては

というお話でした。

 

 

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思わず自慢したくなる

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提供し続ける

 

あなたにとっての

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これからも、住まいに関わる

さまざまな話題をはじめ

蓮見工務店、わたしについても

情報提供したいと思います。

 

 

 

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参考にしていただければ幸いです。

 

このたび、温熱に関する、物件ごとの監修を

『松尾設計室』 松尾和也さんに、お願い出来ることになりました。

ご希望の方は、是非ご相談ください。

 

また、耐震構造に関しても

『構造塾』主宰 佐藤実氏に随時相談できます。

 

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