【家の防犯対策20のポイント】土地選び・開口部・間取り・外構・設備の考え方
最近、関東近郊を中心に戸建住宅への侵入犯罪が問題になっています。
「泥棒に入られない家を建てたい」という方も多いでしょう。
そこで、防犯性の高い家“20”のポイントを「土地選び・開口部・間取り・外構・設備」の観点から紹介します。
関連する補助金も紹介しますので、ご家族や財産を泥棒や空き巣から守りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
● 家の防犯対策は、建築知識が豊富な会社へ相談しましょう。
● 「蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所」は、“手作りの家”をモットーに埼玉県で高性能な住宅を数多く手がけています。
目次
関東を中心に住宅侵入犯罪が増加中
最近、闇バイトなどによる戸建住宅の空き巣や強盗被害に関するニュースを見かける方も少なくないはずです。
警察庁が認知している住居侵入の犯罪件数は、2003(平成15)年に戦後最多の4万件を超える数字を記録した後に減少を続けていましたが、2024年8月以降は関東を中心に戸建住宅をターゲットとした強盗犯罪が多発しています。(参考:令和5年版犯罪白書)
連続強盗事件は東京・千葉・神奈川・埼玉で主に発生しており、警視庁および各県警は合同捜査本部を立ち上げて捜査を継続しています。
しかし、今後も増加することが予測されています。
空き巣・強盗に狙われやすい家の特徴
空き巣や泥棒、強盗などに狙われやすい住宅にはいくつかの共通点があります。
- 窓やドアが古い家(破って入りやすく、住民の防犯意識が低いと判断される)
- 玄関ドアや窓の鍵を開けたままで外出することが多い
- 家の周りや庭が雑然としていてメンテナンスが行き届いていない(異変に気が付きにくい・物陰に隠れやすい)
- 死角が多い(家と塀の間が狭く視界が悪い・植栽の手入れが行き届いていない)
- エアコン空調機や物置が2階窓の下に置いてある
- 2階ベランダの横に人が登れるほどの大きな木が植えてある
- 下屋(※)から2階に上がりやすい
- 朝刊が夜までポストに入りっぱなし
- 宅配物が夜まで玄関先に置きっぱなし
※下屋(げや):大屋根より1段下がった場所に取り付けられた屋根で、部分的に2階がある家は1階の一部に下屋が乗る。
「空き巣・強盗に狙われやすい特徴」に当てはまる場合は、それらの点を根本的に解決し、ターゲットにされない工夫が必要です。
土地選びでできる防犯対策
防犯性の高い家を建てたい場合は、土地選びから対策は始まります。
以下の点を踏まえて敷地を選定しましょう。
隣家が遠い・通行人が少ない地域は避ける
住宅用地の区画が広い地域で隣家までの距離が必然的に遠くなる地域や、日中通行人が少ない地域は昼間でも空き巣などに入られるリスクが高まります。
区画が大きい閑静な住宅地でも、地域活動や近所のコミュニケーションが活発で連帯感のある街は、お互いの家を監視し合うため防犯面で安心です。
旗竿敷地は避ける
旗竿(はたざお)敷地とは、道路に接する路地部分から奥に入った場所に家を建てる敷地のある土地形状です。
周囲が家に囲まれていても道路から敷地内の様子をうかがえないため、死角が多く空き巣などに狙われやすい傾向があります。
間口が狭く奥に長い土地は避ける
最近、住宅用地の中には接道する間口が狭くて奥に長い敷地は珍しくありません。
間口の狭い敷地は隣家との間が狭いため、プライバシー保護の観点からあまり隣家に向かって窓を設けないのが通常です。
そのため、一度奥に不審者が侵入すると、ご近所からその様子はほとんど見えなくなるので注意しましょう。
幹線道路・線路に近い土地は避ける
交通量の多い幹線道路や電車が行き交う線路に近い土地は、1日中自動車や電車の行き交う音がします。
そのため、ガラスを割って侵入する場合もその音に気が付きにくい可能性があるので注意が必要です。
自治体や管轄警察が公表している「犯罪発生マップ」を見て地域の治安を確認することも重要です。
(例:埼玉県警察|事件事故発生マップ)
窓・玄関・勝手口でできる防犯対策
警察庁の調べによると、戸建住宅における泥棒・空き巣などの侵入経路は、窓が「55.2%」、表出入り口(玄関ドア)が「20.2%」、その他の出入り口(勝手口)が「14.8%」です。(参考:警察庁|住まいる防犯110番)
そのため、家の防犯性を高めるためには窓・ドアの対策が欠かせません。
窓・ガラス
既存住宅では窓に補助錠を追加したり防犯フィルムを貼るケースもありますが、これらの方法は根本的な対策にはなりません。
窓サッシはCPマーク(※)付きのものを選び、防犯ガラスと組み合わせましょう。
※CPマーク:「防犯性能の高い建物部品」として認定された建築部品のみに付けることが許されるマーク。騒音の出ない攻撃方法に対しては5分以上、騒音の出る攻撃方法に対しては攻撃回数7回(総攻撃時間1分以内)以上に耐えられることが認定の条件。(参考:警察庁|住まいる防犯110番)
防犯ガラスは2枚のガラスの間に特殊樹脂膜が挟み込まれており、バールなどで破ろうとしても簡単に貫通できません。
防犯ガラスは地震や台風で窓ガラスが割れた場合も周囲へ飛散せず怪我を防止できるため、防災安全合わせガラスとも呼ばれ防災対策としても採用されます。
窓の防犯対策として窓シャッターや面格子の設置を検討する方もいらっしゃいますが、窓の視界・通風・採光を妨げるため、防犯ガラスを入れた窓にはあまり設置しません。
玄関ドア・鍵
玄関ドア本体と鍵どちらにもこだわりましょう。
玄関ドアはCPマーク付きのものを選定すると、標準仕様もしくはオプションで以下のような仕様が搭載されます。
- 耐ピッキング仕様のツーロック・ディンプルキー
- ガラス破りに強い採光窓
- こじ開けに強い鎌状デッドボルト
- 取り外しできる室内側サムターン
※仕様はメーカーによって異なるため、詳細をご確認ください。
通風(採風)ドアを選ぶ場合は、施錠した状態で通風窓を開けたままにしても安心なタイプを選びましょう。
玄関ドアの防犯対策として最近注目されているのが「スマートキー」です。
スマートキーとは、ボタン操作やタッチ操作、スマートフォンのアプリ操作で施錠解錠できるタイプの錠前です。
主要な玄関ドアメーカーのスマートキーは鍵の差し込み口が表から見えない仕様になっているため、ピッキングに強く自動施錠付きであれ施錠忘れも防げます。
また、タグキーやカードキー、スマートフォンを無くしても、システムをリセットすれば無効になる点もポイントです。
勝手口ドア
勝手口ドアは玄関ドアよりも防犯対策が手薄になりやすく、道路などから見えにくいため、空き巣や泥棒に狙われやすい場所です。
玄関ドアと同様にCPマーク付きの防犯性の高い勝手口ドアを選びましょう。
間取りでできる防犯対策
間取りは玄関や勝手口、窓の位置に影響するため、やはり防犯面での工夫が必要です。
道路から見通しの良い玄関に
玄関が道路から遠くて見えにくいと、ピッキング犯に狙われるリスクが高まります。
アプローチが長くても見通しの良いプランにしましょう。
勝手口の周りは開放的に
勝手口は通常、玄関から遠い場所に設置されることが多く、道路から見えにくい家も少なくありません。
そのため、勝手口の周りはできるだけ開放的にして視界が通るようにしましょう。
奥まった場所に勝手口を配置する場合は、隣家から様子をすぐに確認できるように、周りに塀をつくらず植栽も背の低いものを選ぶプランがおすすめです。
ビルトインガレージ内は死角をなくす
最近ビルトインガレージのある家は人気ですが、ガレージ内は正面以外の3面が壁で囲まれるため、不審者が一度入るとその様子は外から確認できません。
そのため、ビルトインガレージに窓を設置したり、左右は柱だけにしたりするプランがおすすめです。
愛車をしっかり守りたい方は、必ずシャッターをつけましょう。
リビング・寝室から侵入経路の様子を確認できるようにする
家族の集うリビングや夜に時間を過ごす寝室から、空き巣・泥棒の侵入経路となる可能性が高い場所を監視できる間取りにしましょう。
夜間の対策としては、玄関や勝手口に設置したセンサーライトの点灯をすぐに確認できる位置に寝室を設けるプランがおすすめです。
死角のない回遊性のある間取りに
万が一在宅時に強盗が侵入した場合でも、それにすぐ気がつけて避難できる間取りにしましょう。
ドアや間仕切り壁の少ない回遊性のある間取りがおすすめです。
リビングなどから2方向以上避難経路があれば、強盗を避けて家の外に避難できます。
回遊動線の間取りは、子育てしやすい家・老後まで暮らせる家にも欠かせない要素です。
〈おすすめコラム〉
「子育てしやすい家」の間取りポイント25選|事例写真や補助金情報も
「老後まで安心・快適に住める家」理想の間取りポイント23選を解説
エクステリア・配置計画の防犯対策
エクステリアや家の配置計画も防犯性に影響します。
家のまわりを一周できないようにする
家の周りを開放的にすることは敷地外からも監視の目を行き届かせるために重要です。
ただし、家の外周を一周できると侵入犯が逃走しやすくなります。
そのため、植栽計画や物置などの配置によって行き止まりを作ることを意識しましょう。
侵入犯の多くは下見の際に逃走経路も確認するため、逃げにくいと判断されるとターゲットになる確率が下がります。
防犯砂利を敷く
防犯砂利とはその上を歩くと大きな音が出る砂利で、勝手口や掃き出し窓の周りに敷き込めば夜間でも人の気配に気が付きやすくなります。
防犯砂利は70dB以上の音が出るようにつくられており、その音は掃除機の音や人通りの多い街頭の騒音に匹敵するほどです。
窓・玄関の近くに死角を作らない
窓や玄関の近くに死角があると、ピッキングやガラス破りの途中ですぐに隠れられてしまいます。
そのため、植栽や物置、サイクルポートなど人が隠れられるものは窓や玄関からできるだけ離しましょう。
死角の少ないオープン外構がおすすめ
オープン外構とは、塀や目隠しタイプのフェンス、門扉などを敷地の周りに設置しないエクステリアのスタイルで、近年採用事例が増えています。
死角が少なく敷地外からの視線も気になるため、侵入犯に狙われにくくなります。
「室内がのぞかれないか心配」という方は、植栽や格子などで緩やかに外からの視線を遮る方法がおすすめです。
駐車スペースと家の距離が近い家は要注意
駐車スペースが窓のすぐ前にある場合は、車の影に不審者が隠れられるため対策が必要です。
車の周りに不審者を寄せ付けないための対策として、シャッターゲートや伸縮門扉を付ける家も少なくありません。
特に伸縮門扉は開閉の時に大きい音が出るため、防犯対策として有効とされています。
駐車スペースの周りをオープンにして見通しを良くするプランもおすすめです。
住宅設備でできる防犯対策
最後に“+α”の住宅設備で家の防犯性能を高める方法を紹介します。
防犯カメラ・防犯センサー
防犯カメラや防犯センサーを目立つところに設置すると、侵入犯罪の抑止力になります。
最近は一般的な戸建住宅でも防犯カメラを設置する家は珍しくありません。
ただし、防犯カメラが付いていても犯罪の被害に遭う家もあり、画角外から侵入できたり簡単にカメラの角度を変えられたりするようでは意味がありません。
また、防犯センサーを設置して警備会社と契約しても異常を検知してから25分以内(地域によっては30分以内)に現地へ到着することが“努力義務”であり、それまでに犯罪が完了してしまう可能性も想定されます。(参考:警備業法施行細則第5条「即応体制の整備の基準等」)
そのため、他の対策をとった上での補助的な防犯対策として導入するのがおすすめです。
カメラ付きインターホン
空き巣や泥棒は下見の際にセールスマンや宅配業者を装いインターホンを押して不在を確認するため、録画機能があると安心です。
最近はカメラ付きインターホンがスタンダードですが、最新タイプはボタンを押さなくても画角内に動きがあると自動的に録画を開始する製品もあります。
また、夜間に赤外線カメラで録画できるタイプもあるため、インターホンを選ぶ際は機能の詳細まで確認しましょう。
センサーライト
玄関ポーチや勝手口の近く、掃き出し窓の近く、ガレージの出入り口にセンサーライトを設置しましょう。
明暗センサーにより暗くなると自動点灯し、さらに人が近づくと強く光る人感センサー付きがおすすめです。
開口部の近く以外の玄関アプローチや庭も、フットライトやスポットライトなどで明るくしておくと侵入犯罪の抑止効果を得られます。
雑誌掲載事例も多数ありますので、デザインにも間取りにも性能にもこだわったマイホームを新築したい方は、お気軽にご相談ください。
家の防犯対策で使える補助金制度
家の防犯性アップを目的にご自宅を新築・リノベーションする際は、ぜひ補助金制度もチェックしましょう。
住宅の断熱化・省エネ化を主旨とした制度は利用できる可能性があります。
2025年度の制度詳細はこれから公表されますが、既に以下の事業は実施が決まっています。
子育てグリーン住宅支援事業
注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入、既存住宅のリノベーションを対象とする事業です。
新築住宅の場合は高断熱・省エネが条件で、防犯ガラスを断熱性の高い複層ガラス仕様にすると補助金をもらえる可能性があります。
先進的窓リノベ事業2025
既存住宅の窓リノベーション(内窓設置・外窓交換・ガラス交換)が対象の事業です。
こちらも防犯ガラスを断熱性の高い複層ガラス仕様にすると補助金をもらえる可能性があります。
自治体による住宅防犯対策補助金
市区町村によっては防犯カメラなどの設置工事に対して補助金が支給されるため、詳しくは役所などにご確認ください。
まとめ
大切なご家族や財産を空き巣・強盗から確実に守りたい方は、「土地選び・開口部・間取り・外構・設備」で防犯対策をとりましょう。
デザインと性能、快適さの全てを持ち合わせた家を埼玉県で新築・リノベーションしたい方は、ぜひ「蓮見工務店」までお問合せください。