家を建てるタイミングは、ご家族によって様々ですが、子育てに備えてという理由で家づくりに乗り出すケースも多いのではないでしょうか?
家は長く住む所ですから、終の棲家になる家、家に住み続ける長い年月を、その時々に応じて、最も暮らしやすい状態にできる家、生涯を通じて、居心地の良さが維持される家が基本です。その上で、子育てしやすい家について考えてみましょう。
子育てしやすい家に求められること
国土交通省では、「子育て世帯は、子供の年齢にかかわらず、約8割の世帯は持家への入居を希望しているが、子どもが小さい世帯は借家住まいが多い。」という現状を鑑み、「子育てに適した構造や設備を有した住宅の基準づくり」「持家取得のための資⾦の確保」を進めています。初めに国土交通省が示している資料「子育てに適した住宅の基準について」を見てみましょう。
子育て世代の家族が、子育て世帯の住まいに対して重要だと考えている要素には、住宅に対するニーズと、住環境に対するニーズがあります。
住宅に対するニーズ
住宅及び住宅の周りの防犯性 20,0パーセント
住宅の広さ間取り 8,6パーセント
安全性や遮音性など住宅の居住性能 5,2パーセント
住環境に対するニーズ
幼稚園・小学校などの利便 11,7パーセント
近隣の人たちやコミュニティとのかかわり 11,0パーセント
小児科など医療機関の利便 9,8パーセント
まわりの道路の歩行時の安全性 7,8パーセント
子供の遊び場、公園など 6,5パーセント
託児・保育所などの利便 3,7パーセント
子育て支援サービスの状況 3,4パーセント
親や親せきの住宅との距離 2,0パーセント
治安が良く、子供が遊びに行ける場所が多く、保育園、幼稚園、小学校、学校、親や親せきに住宅に行きやすい地域が、子育て世代の理想の地域であることが、うかがわれます。
暮らしやすい広さと間取り、居住性能を備えていることが、そのような地域に建てる家に求められていることもわかります。
住宅の居住性能には、夏涼しく冬暖かい室内環境が調えられる断熱性、外部からの騒音に煩わされず、自分の家からの騒音を気にせずにすむ環境が調えられる遮音性、地震や台風が起きても、安全が守られる耐震性など、様々あります。その中で、子育て中には、特に配慮したい性能が、子供の事故を防ぐ居住性能です。
子供の安全を確保する家に必要なこと…家の中での事故を防ぐ
「子育てに適した住宅の基準について」の資料の中には、子供の事故の状況に関する独立行政法人国民生活センターに報道発表資料によるデータも示されています。このデータによると、12歳以下の子供の事故が最も多く発生する場所として、住宅があげられています。住宅での事故のうち67,4パーセント(5,390件)もあり、次が一般道路8,8パーセント、公共施設7,4パーセントなど、住宅での事故以外はすべて10パーセント以下です。
この中で、当然のことながら、2歳未満の子供の場合、住宅内での事故の発生率は最も高く85,1パーセント(2,645件)、次が2歳から6歳未満では、63,5パーセント(2,147件)です。6歳を過ぎると、一般道路での事故が18,8パーセントに増えるものの、家の中での事故は依然として最も多く、39,7パーセント(598件)です。したがって、子供の事故への備えは、子育てしやすい家には、重要な要素です。
転倒事故の衝撃は畳や木材の床が緩和する
家の中で起こる事故には、転倒、転落、衝突などが考えられます。滑りやすい床は、転倒事故を増やし、硬い床は、転倒事故を深刻化させるリスクが高い床です。畳、木材、コルクなど、自然素材を使った床は、滑りにくいので、転倒しにくく、弾力性があるので、転倒の際の衝撃を緩和します。
転落事故には手すり以外に階段の形状に注意が必要
転落事故が起こりやすい場所は階段です。階段のない平屋は、最も理想的な子育て~終の棲家住宅です。ただ、家族構成や敷地の面積によっては、2階建ての家にしなければ、十分な居住面積を確保できないケースが多いことも事実です。
その為、新築住宅では、できるだけ階段事故のリスクが低い階段にすることが課題です。階段には、まっすぐな階段と、折れている階段があります。折れている階段には、踊り場で90度横に折れているかね折れ階段、踊り場で180度折り返す折り返し階段、緩やかに曲がる描くカーブ階段、螺旋状のらせん階段があります。
転落の危険性が高い「直階段」
直階段と呼ばれるまっすぐな階段は、転落事故が最も起こりやすい階段です。踊り場がないので、一番上から下まで、一気に転落してしまう恐れがあるからです。
安全な階段は「踊り場の広い折り返し階段」または「カーブ階段」
最も安全な階段は、折り返し階段です。床面積は多く使うことになってしまいますが、踊り場が広ければ広いほど、安全性が高まります。踊り場を広くとると、床面積は圧迫されてしまいますが、間取りの工夫で、踊り場を書斎や子供の勉強コーナーなどとして利用できます。
踏み外しによる転落事故のリスクがある「かね折れ階段」
踊り場で90度横に折れているかね折れ階段は、踏み外しによる転落事故が起こりやすい階段で、直階段に次いで、事故のリスクが高い階段です。床面積を倹約できるので、採用されることの多い階段ですが、安全性が高いとは言えません。
その他には、家の中の段差をなくす、指挟み防止が配慮されたドアを選ぶ、キッチンや階段にチャイルドフェンスを設置するなどが必要です。もちろん、子供の家の中での安全は、事故を防ぐ備えだけでは確保できません。
子供の見守りがしやすい環境を作ることが非常に重要です。具体的には、LDKを繋げ、対面キッチンにして、食事の支度をしながらでも、子供が見守れる環境を作る、親子でゆったり入浴できる脱衣室、浴室の広さを確保する、子供が成長し、中、高校生になった時にも、コミュニケーションが途切れないような動線の確保などが求められます。
子供の安全を確保する家に必要なこと…外部からの脅威や影響への備え
家の中での安全性を高めても、外部からの脅威への備えがなければ、完全に安全な家にはなりません。外部からの脅威には、侵入強盗など、人的な犯罪への脅威と、台風、地震など、自然の驚異があります。外部からの影響とは、住宅への音の出入りです。子供の安全と、音に煩わされない生活を守るためには、それぞれに対する備えが必要です。
防犯性
高い防犯性は、日中、母親と子供だけで過ごしている時間帯にも、安心して過ごせる環境を作ります。不審者の侵入を防止するために、防犯性の高いサッシや玄関ドアを選ぶ、インターホン、人感センサー、防犯カメラを設置するなどの対策が、住宅の防犯性を高めます。
耐震性
地震の不安が常にある日本において、耐震性は欠かすことのできない住宅性能ですが、家の中での対策も必要です。ひとつは家具の転倒防止です。新築時に、造作家具を効率よく計画すると、転倒しない家具が、家の中に増えるので安心です。また、家全体の間取りを考える上で、避難動線を確保することも重要です。
遮音性
周辺の住宅から発生する生活音、道路からの騒音など、地域の状況によっては、外部からの音に悩まされることがあります。子供が寝付いたタイミングで、騒音が家の中に入ってくると、寝かしつけた子供が泣き出してしまうこともあるかもしれません。
一方、自分の家から、周辺の家に響いている子供の泣き声で、近所に迷惑をかけているのでは…?と不安になることもあります。その不安が、子育てストレスになってしまうことさえあります。また、子供が成長して、楽器の練習を長時間するようになった場合、その練習音が周辺に響き渡ってしまうこともあるかもしれません。
外部からの音の流入、家の内部からの音の流出を抑えるためには、周辺の環境に合わせた間取りと窓の配置をする、遮音性能のあるサッシを選ぶなどの対策が求められます。
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全体として、子育てしやすい家の事故防止対策は、高齢者の暮らしやすさにもつながります。子育てしやすい家を、子供の成長に合わせて暮らしやすさが続く家、終の棲家にもできる家とも考え、家づくり計画をすすめませんか?
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。
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