家づくり計画を始める時、多くの方は、2階建ての家を思い浮かべるのではないでしょうか?昭和の後半から平成にかけては、木造の戸建て住宅=2階建てというような住宅事情が定着していたからでしょう。昭和の前半には多かった平屋も、暮らしの変化や、土地の価格の高騰などから、徐々に減りました。戸建て住宅のうち、9割近くを二階建て住宅が占めています。
その為、多くの人が自動的に、家を建てるなら二階建てと考えるのは、自然なことです。同時に、家を建てるなら平屋にしたいという想いを持っている人も、徐々に増えてきています。
平屋にも2階建ての家にも、良い面と、問題点があり、一概にどちらが暮らしやすいかと決められるわけではありません。大切なことは、自分たち家族の家族構成と、家族の暮らし方、敷地面積と敷地周辺の状況に合わせて、平屋と二階家のどちらにするかを決めることが大切です。
平屋の暮らしの特徴
本格和風テイストの平屋の家
平屋の最も大きな魅力は、階段のない暮らしができることです。小さな子供や、高齢者にとって、階段は、深刻な事故に繋がりかねない場所です。階段のない平屋は、生涯を通じて、階段事故の不安のない暮らしができる家です。
また、将来的に、子供たちが成長し、独立していった後、高齢になったご夫婦が、2階の部屋を持て余す、というような状況にならずにすみます。平屋は、手すりをつける、段差をなくすなど、手軽なリフォームで、バリアフリーにでき、終の棲家として暮らし続けられます。もちろん新築時に、バリアフリーを見据えた設計にすることもできます。
また、階段のない暮らしは、家事負担を減らします。階段の昇り降りがなく、家中を回遊できるので、家事が捗ります。特に、洗濯と掃除に関わる家事は、とても楽です。マンションで暮らしていた主婦が、2階建ての新築住宅に越すと、家事負担が増え、驚くこともあるようです。
また、庭の景観を楽しめることも平屋の良さです。中庭のある平屋、ウッドデッキのある平屋では、より自然の風景を楽しめます。
2階建ての暮らしの特徴
片流れ屋根の組合せと櫛引壁の家
2階建て住宅の良さは、周辺の環境による影響が少ないところにあります。周囲を住宅に囲まれていると、平屋の場合、日当たりが悪くなってしまう、隣家や道路からの視線が気になる、道路からの騒音に聞こえやすいというようなことがあります。
2階建ての場合、隣家が迫っていても、2階は日当たりを確保できます。また、通りからの足音や、車の走行音も少し和らぎます。
隣家が迫っていたり、マンションがあったりしても、吹き抜けを設けて2階からの陽射しを1階にも届ける、2階リビングにするなどの間取りで、日当たりの良い家にできます。2階リビングで、リビングに続く広いベランダを設けると、空を感じられるアウトドアリビングでの寛ぎの時間を楽しめます。また、防犯上の安心感があることも、2階建ての家の良さです。
将来、結婚した子供夫婦と一緒に暮らす、という人生設計であれば、2階建て住宅は、平屋より、二世帯住宅にしやすい家でもあります。
家族のコミュニケーションから考える平屋と二階建ての違い
平屋の場合、空間が繋がっているので、家族の自然な触れ合いが増えます。子育て中には、子供の行動を把握しやすいという面もあります。一方、来客時には、音や気配が筒抜けになるので気を使う、家族一人一人のプライバシーが確保しにくいという問題点もあります。
二階建ての場合、間取りによっては、家族の触れ合いの少ない家になってしまうことがあります。特に2階リビングにした場合には、帰宅した子供が、そのまま自室に入ってしまうと、子供の帰宅に気が付かないというようなことが起こるかもしれません。
一方、家族構成によっては、一人一人のプライバシーが維持できて好ましい、という家でもあります。特に、上下に別けた二世帯住宅にする計画では、平屋より、それぞれの世帯の住みわけがしやすい家となるでしょう。
家族のコミュニケーションという面から考えると、常に家族の気配が感じられ、子供の見守りができる家にしたい、というような場合には平屋、個人の空間を大切にしたい場合や、二世帯住宅にする場合には、二階建ての家が向いています。
ただし、2階建ての家であっても、吹き抜けを設ける、リビング中心の間取りにするなどの工夫で、自然な触れ合いの多い家にすることもできます。
土地の条件との相性
2階リビングの長期優良住宅
平屋が暮らしやすい家になる条件の中で、最も大きいな要素は、敷地を取り巻く環境と、敷地の広さです。敷地が広く、隣家との距離があるというような土地の条件であれば、平屋であっても、2階建てであっても、問題なく暮らしやすい家が建てられます。しかし、周囲に住宅が密集している、交通量の多い道路に面している、というような状況で、敷地面積が狭い場合には、暮らしやすい家を建てる為の相当な工夫が必要です。加えて、過去に水害が起こったという地域であれば、平屋は絶対にやめるべきです。
平屋には、窓や吹き抜けによって日当たりと風通しを確保し、外部からの騒音や視線を妨げる、ロフトを設ける、収納をまとめるなど、床面積を有効に使う工夫が設計に求められます。ただ、それらの工夫をしても、絶対的に床面積が足りない敷地面積というものがあります。
家族の人数に対して、十分な居住面積を得られない場合には、2階建てにした方が暮らしやすい家を建てられます。加えて、家族の人数に対しての居住面積を考える時、子供はすぐに成長するので、中学生、高校生になっても、暮らしやすさが続くことを考えておく必要があります。
一方、2階建ての場合、家の中での生活音が、家族お互いの睡眠を妨げてしまうことがあります。家族がほぼ同じ時間帯で暮らしている家族であれば、問題ないのですが、家族の生活の時間帯にずれがある場合には、寝室と、水廻りの配置に注意が必要です。
遅く帰宅する家族が、早く就寝する家族の睡眠を妨げないような間取りにしなくてはなりません。特に二世帯住宅では、上階の生活音が、1階に響くことが問題になりやすいです。二世帯住宅では、階段を使わないで済むよう、1階を親世帯、2階を子供世帯にするケースが多いのですが、子供の遊ぶ足音や、遅く帰宅する家族の入浴の音が、親世帯の睡眠を妨げてしまうことがあるからです。
平屋と二階建て住宅の建築費・メンテナンス費用の違い
同じ床面積を持つ平屋と二階建ての土台と屋根の大きさを比べると、単純に考えて、平屋の土台と屋根は、2階建て住宅の2倍の大きさです。建築費の中で、土台と屋根にかかる費用の割合が大きいので、工事費は割高になる傾向があります。
加えて、2階建て住宅を中心に建築している工務店が多いことも、割高になる理由の一つです。2階建てを中心に建築している場合、2階建て用の建材は、大量に仕入れるので、価格を抑えられるが、平屋の建材は、少量なので、仕入れ価格自体が嵩むからです。
平屋の場合、階段を作らないことや、空間が繋がっている間取りが多いことから、2階建てより、建具が少ないので、その分は費用を抑えられるという面もありますが、全体的には、同じ床面積の二階建て住宅より、建築費が嵩みます。
その中で、平屋の二世帯住宅と、2階建ての二世帯住宅の建築費を比べた場合、水回りを各階に作らなくてはならないので、2階建ての二世帯住宅の方が、平屋の二世帯住宅に比べて建築費が嵩む場合もあります。
また、暮らし始めてからのメンテナンスに費用にも違いがあります。外壁塗装は、二階建て住宅の方が平屋より費用が嵩みます。住宅は、新築時から十数年経つと、外壁のメンテナンスが必要な時期を迎えます。その際に、足場を組む費用は意外と大きな出費になります。足場は、高くなればなるほど費用が嵩むので、平屋より2階建ての家の方が、メンテナンス費用が嵩むのです。一方、屋根のメンテナンスは、2階建てより屋根が大きい平屋の方が、2階建てより葺き替え費用が嵩みます。
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平屋にしても、二階建てにしても、ふんわりとしたイメージだけで決めてしまうと、暮らしやすい家から遠のいてしまいます。家族構成や家族の暮らし方に合っていること、将来のライフスタイルに対応できることなど家族の状況と、敷地の広さ、敷地を取り巻く環境を考え併せることが大切です。
土地選びから始める際には、多少利便性が悪くても、広い敷地にして、ゆったりした平屋暮らしを楽しみたいという考え方と、平屋には暮らしたいが、利便性は譲れないという考え方があると思います。予算内に収める為、どちらが家族にとって、最も良い選択肢であるかということを基本に、平屋にするか、二階建てにするかを決めることが、暮らしやすい家に繋がります。
家は、家族の想いが反映されていればいるほど、暮らしやすく、居心地の良い場所になります。そして、どんなに長く暮らし続けても、常に暮らしやすさが続く家でなくてはなりません。
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蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。
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