濡れ縁、ウッドデッキ、広縁、土間の持つ特徴
濡れ縁、ウッドデッキ、広縁、土間は、どれも住まいにプラスαの魅力を添えるスペースで、暮らしを豊かにしてくれます。それぞれのスペースの持つ特徴と、共通して暮らしに与える効果を確認していきましょう。
濡れ縁の特徴
濡れ縁は、家の外に張り出して設ける木製のスペースで、ウッドデッキのうち、比較的奥行きの小さなスペースに用いられます。軒に守られていても、屋外にあるので、吹き降りや、大雨の際には雨に濡れることもあるので、濡れ縁と呼ばれます。
濡れ縁は、軒下空間に造られる場合が多いので、軒の深さによって、出幅が変わってきます。ちょっと腰かけたりするのにちょうど良い奥行きの濡れ縁が一般的です。夏の夕方、庭を眺めながら涼んだり、近所の人が回覧板を持ってきた時などに、腰かけておしゃべりをしたりといった使い方ができます。縁側の前に、沓脱石を置くと、庭用の履物を置くことができ、小さな子どもや高齢者が、縁側への昇り降りを楽にできるようになります。
この施工例は、軒が深いので、奥行きのあるゆったりした濡れ縁に仕上がっています。このくらいの広さがあると、小ぶりなイスやテーブルを置いたりすることもできます。
ウッドデッキの特徴
軒の深さに関係なく、使い勝手や庭などの外部空間との関係で奥行きを設定するウッドデッキもあります。家庭菜園やガーデニング、バーベキューなどスペースとして、使用目的と敷地の面積に合わせて、広く造ることもできます。
その為、車椅子を使う家族がいる場合、設計次第で、「車椅子のままガーデニングを楽しめる環境」を生み出すこともできます。車椅子生活をする家族にとって、自由に自然と親しめる日常は、癒しと励みになるのではないでしょうか?
また、中庭にウッドデッキを設けると、中庭によって動線が絶たれてしまうという問題点を解決できるという良さもあります。
広縁の特徴
家の内側にある縁側が広縁です。居室と、掃き出し窓との間にあるサンルームのようなスペースです。玄関と廊下を繋ぐ広縁は、お客様をリビングまでご案内する廊下としての役割も果たします。外部に面した掃き出し窓と、居室と広縁の間にある障子などの建具を開放すると、室内でありながら、庭と一体感のある空間が生まれます。
濡れ縁やウッドデッキとの違いは、広縁は、家の中にある空間なので、外気と室温との緩衝地帯になるということです。冬は冷気の侵入と、室内からの暖房の熱の流出を防ぎ、太陽熱を床や壁に蓄える蓄熱空間としても機能します。夏は深い軒や、障子との組み合わせによって、室内に侵入する強い陽射しを抑えます。その結果、冷暖房にかかるエネルギー量を抑えられるという省エネ効果もあります。
日本家屋には、格式が感じられる広縁のある住宅が多くありましたが、現代では、洋風の住宅にも、インナーテラスとして、違和感なく採り入れられます。
土間の特徴
土間も広縁と同じように、家の内側にある空間です。縁側やウッドデッキとの違いは、外用の履物のまま立ち入れるということです。日本の住宅には、広さの違いはありますが、基本的に玄関土間があります。しかしそれ以外に、土間には、通り土間と呼ばれる土間もあります。通り土間は配置によって、玄関とリビングを繋いだり、広縁のように、庭に面した廊下としての働きをし、家の内と外を繋げるという役割も担っています。温熱的に緩衝体としての役割を果たすと共に、熱容量の多い素材が使われる土間は蓄熱効果がより期待できます。
近年は、リビングに面した土間を設ける間取りにも人気があります。靴のまま立ち入れる屋内空間なので、濡れ縁のように、近所の人が立ち寄っておしゃべりをする空間としても使え、面積を広げて、屋内ではできない作業をする場としても使えます。
土間は水で洗い流してきれいにできるので、庭で遊んだ子供の泥汚れを落としたり、家庭菜園で収穫した野菜を仮置きしたりもできます。ウッドデッキのようにイスやテーブルを並べて、屋外で食事をしているような雰囲気を楽しめる空間にもできます。
濡れ縁、ウッドデッキ共通する特徴
濡れ縁、ウッドデッキには、共通して、裸足のまま家の外で過ごせるという特徴があり、流行りのグランピング気分を味わえる場所です。広い面積を有したウッドデッキなら、植物の鉢を置いたり、アジアンテイストの家具を置いたりして、アウトドアリビングとして使う、家族揃ってバーベキューをするという楽しみ方ができます。濡れ縁などの小さなウッドデッキには、腰かけて、虫の音色を聞いたり、花火をしたりする楽しさがあります。室内側からは、濡れ縁やウッドデッキがあることによって、室内がより広く感じられるという効果もあります。
広縁、土間に共通する特徴
日本人は、家を要塞のように守り固めるという考え方ではなく、季節ごとの気候の変化や、それに伴う景観の美しさを家の中に採り入れる、自然の恵みを活かして、室内環境を調えるという家づくりをしてきました。縁側や土間は、景観の美しさを採り入れることにも、室内環境を調えることにも役立ちます。
庭の景観との距離感が変わる
濡れ縁、ウッドデッキは家の外にありながら、裸足で出入りできる場所、広縁、土間は、家の中にありながら庭が身近に感じられる場所です。家の中のスペースである広縁や土間を、濡れ縁やウッドデッキと繋げることによって、庭との距離感や景観が変わります。
居室と庭の間に広縁や土間、ウッドデッキなどを設え、素材や床の高さに変化をつけたり、建具を開閉することによって、居室からの庭までの間にレイヤーを構成して、室内から庭への景観に変化をもたらす事が出来ます。雪見障子や、地窓には、庭の風景を切りとって、趣のある室内にするという役割がありますし、縁側や土間によって、景観や距離感が徐々に変わっていくことも、趣のある室内を創り出します。
雨の日にも活用できる
広縁や土間は、室内の空間なので、雨が降る日や、花粉の多い季節にも、洗濯物を安心して干せますし、雨で公園に行けない子供を遊ばせたりもできます。また、土間には、雨に濡れないように、ベビーカーや自転車を置くこともできます。
広縁、土間と室内環境の関係
広縁も土間も、同じく家の中の空間ではありますが、室内環境に及ぼす影響は異なります。それは使われる素材の熱容量の大きな違いによるものです。具体的には、夏場は日射遮蔽がしっかり出来れば、熱容量の大きい土間では蓄冷効果により、無冷房時間を長くすることが出来ます。一方日射遮蔽が出来ないと太陽熱が土間床などに蓄熱され、陽が落ちてもいつまでも暑さが続くという事になります。冬場は、太陽熱の蓄熱効果が期待できる一方で、陽が入らない配置の土間や日本海側で日射自体を期待できない地域では暖房の立ち上がりが遅く、光熱費の負担になる可能性もあります。
濡れ縁、ウッドデッキ、広縁、土間はどれも、必ずなくてはならない空間ではありません。しかし、間取りに採り入れることによって、家族がくつろげる空間、楽しめる時間を生み出し、暮らしを豊かにします。家全体の間取りを考えた上で、新しい暮らしにプラスαの要素として、採り入れてみませんか?
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。
そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。
注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。
「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」
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パッシブデザインの良さ」
を感じて頂けます。
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