目次
床下エアコンにした人たちが後悔している理由と失敗の原因
まず初めに、このサイトの中に投稿されているコメントの一つを例にとってご紹介します。
「エアコンの風が直接当たることが嫌で、費用も比較的安価にそれぞれの部屋を温めることができるということで、床下エアコンを設置しました。しかし設置後すぐに気づいたことが、冷房の効きが今ひとつということです。設置前に冷風は壁掛けのエアコンと比べて効率が悪いという評判は聞いていましたが、予想以上に涼しくならず、実用的ではありませんでした。そして次に後悔したことがカビとシロアリの被害です。エアコンの吹き出し口を清掃しようとしたところ、裏側はカビで真っ黒になっていました。結露が原因でカビができてしまっていたようです。現在は結露を防ぐためにXPS断熱材を貼って対応しています。それとシロアリの被害です。基礎断熱材とシロアリの関係は知ってはいましたが、やはり出てしまいました。特に保証にも入っていなかったので、シロアリ駆除に余計にお金がかかってしまった印象です。結論としては、床下エアコンはおすすめしません。床下エアコンを導入するにしても、シロアリ被害への保証制度をしっかりと利用されることをおすすめします。」
引用 後悔している理由を書き込むブログ 床下エアコンにした人たちが後悔している理由
床下エアコンは床下エアコンに必要な条件を備えていれば、このような問題は起こりません。この中で指摘されている問題点について「問題が起こった原因」と「それぞれの問題の関連性」を考えていきましょう。
床下エアコン失敗① 冷房が効かない
「設置後すぐに気づいたことが、冷房の効きが今ひとつということです。」
床下エアコンは、暖房を目的に使うエアコンです。冷房には向きません。空気には暖まると密度がさがり軽くなって上昇する、冷えると密度があがり重くなって下降するという性質があります。床下エアコンは、その空気の性質を利用した暖房器具なのです。床下に暖められた空気を吹き込み、床に設けたガラリという開口を通って上昇し、家の中を循環して、家中を暖めます。
この投稿以外にも、「床下エアコンの最大のデメリットは、やはり冷房の使用感です。」「1階は床で冷やされた冷気だけと南側や東側の居室の夏の冷房としては不十分過ぎます。」といったコメントが見受けられました。
ここで最大の驚きは、施工した建築会社から、「床下エアコンは暖房にお使いください。冷房での使用は不向きです。」という説明を受けていなかったということです。床下エアコンを設ける場合には、冷房用には小屋裏エアコンを設置するという使い方が、効率よく冷房と暖房をする方法です。
冷房用の小屋裏エアコンが故障したときなどの、臨時的な使用に限定することをお勧めいたしますし、その場合でも床下エアコンの冷房範囲は、床から1.2m位までの高さに限定されるという事を認識しておいた方が良いと思います。
床下エアコン失敗② 吹き出し口に黒カビ
「エアコンの吹き出し口を清掃しようとしたところ、裏側はカビで真っ黒になっていました。」
この原因は床下エアコンを冷房運転としたことによる影響が推察されます。床下エアコンでは床下空間を空調された空気の通り道として使いますが、主に新築一年目の基礎コンクリートからは年間で1トン(浴槽5杯分ほど)の水分が蒸発します。その水分が冷房によって冷やされ結露し、その結果黒カビが繁殖してしまったという事例が散見されます。
エアコンからの冷房された空気は十分に除湿されていますので、冷気を床下に吹き込む行為自体に結露リスクはありません。ただ、事例のように築浅の場合や、床下空間の気密防湿施工が不十分で、湿気を多く含んだ夏の外気などが常に供給されてしまうような状況では、事故のリスクが出てきます。
床下エアコン失敗③ シロアリ被害
「次に後悔したことがカビとシロアリの被害です。」
床下エアコンで冷房運転をすると、上記のような、築浅であったり防湿施工が不十分であったりする条件下では床下に結露リスクが発生し、シロアリ被害の原因にもなりかねません。一方でエアコンからの乾燥した空気を床下に吹き込んで空気を循環させることは、乾燥を嫌うシロアリへの対策となります。新築時に、冬場の暖房や中間期のドライ運転を積極的に取り入れる事はとても有効です。
また、防蟻処理の施工についても注意が必要です。床下エアコンでは床下空間を介して空調しますので、農薬系の防蟻剤の塗布等は避けなければなりません。人体に無害とされているホウ酸による防蟻処理か、薬剤の揮発の心配がない注入処理木材を使用する必要があります。
そして、基礎の造り方もシロアリ被害に影響があります。床下エアコンを設置する場合には、基礎断熱にする必要があります。
木造住宅の床下の断熱の方法には、床断熱と基礎断熱があります。床断熱は以前から日本の住宅に一般的に使われてきた工法で、床の裏面に断熱材を敷き詰める工法です。床下空間の湿気対策の為に基礎に換気口を設ける為、断熱性能が充分でない場合、冬は床からの冷気で底冷えがします。
また、夏には湿気を多く含んだ外気が、冷房により冷やされた床材の裏面に接触して結露するという、逆型結露のリスクも指摘されています。この工法では、地面と土台や柱などの木材との間にはコンクリートしかありませんので、シロアリ被害のリスクは比較的少ないと言われております。
基礎断熱は基礎の外周、又は内側を断熱材で覆う方法です。この工法は、外気と床下空間が遮断されますので、床断熱にくらべて断熱性能不足や施工不良による温熱環境の悪化リスクは大きくありません。ただ、シロアリ被害のリスクは基礎断熱工法の方が高いと言われています。
地面に近いところにシロアリの食害を誘発するような材料を使う事、シロアリが紫外線を浴びずに土台や柱へと向かえる通り道となるような状況をつくる事が蟻害リスクに直結します。断熱材を基礎外に設置する工法は最も蟻害リスクが高く、基礎内に設置する場合でも、コンクリートの打継部や設備配管貫通部などからの侵入によるリスクが考えられます。
基礎断熱でシロアリ被害にあわないためには、床下エアコンには関係なく、完璧なシロアリ対策が施されていなくてはならないのです。従って、「次に後悔したことがカビとシロアリの被害です。」という状態になってしまった原因は、床下エアコンの誤った使用による結露の発生と、基礎断熱工法に則した十分なシロアリ対策がされていなかった、という2点にあります。
床下エアコン失敗④ 電気代が嵩む
始めにご紹介した投稿の他に、「電気代がとてもかかる」という投稿もありました。電気代が嵩む原因は、住宅の断熱と気密の性能不足と、エアコン機器の能力選定の不備、という2点が考えられます。十分な断熱性能を有し、適正な能力の床下エアコンで空調する住宅では、一般的に導入費用だけではなく、暮らし始めてからの光熱費も抑えられる傾向にあります。
床下エアコンでは、ヒートショックのリスクのある洗面脱衣室やトイレも含めた全館が空調エリアとなります。空調エリアをリビング等に限定した、部分間欠暖房にくらべると、空調負荷は大きくならざるを得ません。断熱・気密性能が十分でない場合、暖かさが外部へとどんどん漏れてしまいます。
HEAT20のG2レベル(UA値0.46 6地域)、C値0.5±0.2程度の性能は必須となります。また、断熱気密性能が高いレベルに達すると、日射熱取得による暖房負荷の軽減もとても有効になります。それらを含めた総合的な温熱性能の確保が、快適かつ省エネにつながります。
エアコン機器は適正な能力で運転した場合に高効率に働きます。エアコンには冷房運転、暖房運転それぞれの最小能力、定格能力、最大能力があります。一般的に表示されるエアコン機器の能力は冷房時の定格能力になります。エアコンは定格能力から最大能力に寄ったところでの運転が高効率になる傾向があります。
床下エアコンは暖房運転を主としますので、建物の温熱性能に即した暖房負荷を算出し、それに合わせて効率の良い運転になるような能力のエアコンを選定する事もとても大切になります。
■ 「省エネで快適な生活を実現するらしいけれど、高気密・高断熱住宅とは具体的にどんな家なのだろう?」住宅を新築する際に情報を集め始めると、高気密・高断熱という言葉が気になるのではないでしょうか?メリットは多そうだが、デメリットはないのだろうか?光熱費は節約できるのか?湿度対策はどうするのか?などの疑問を解決しましょう。
床下エアコン失敗⑤ 部屋の乾燥
この投稿は電気代の他に部屋が乾燥するという内容です。
「部屋の乾燥ですが、床下エアコンにすることで気流が気にならず、床が暖かくなり、そのまま床に座ってしますと体自体は温かくなりますが、肌や喉の乾燥が酷くなってしまいます。」
空気の乾燥は、加湿しなければ解消しません。関東地方など冬場の太平洋側は、大気に含まれる水蒸気量がとても少なく乾燥状態となります。相対湿度はその温度の空気が含むことのできる(=結露しない)最大の水蒸気量に対する、存在する水蒸気量の割合です。室温が上がれば相対湿度は下がりますし、室温が下がれば相対湿度は上がります。
ですので暖房すれば相対湿度は必然的に下がり、それを解消しようとすれば、存在水蒸気量を増やす、つまり加湿するしかないのです。という事で、水蒸気量(絶対湿度)に注意を払う必要があります。目安としては絶対湿度6gを下回るようなら加湿の必要が出てきます。
それらのことは壁掛エアコンでも、床下エアコンでも一緒です。ただ、壁掛エアコンの場合は気流が直接肌に達することで、より乾燥状態は悪化することも考えられます。一方、床下エアコンでは、風速の早い吹出し部の気流は床下へと導入され、床ガラリから上昇してくる気流はとても穏やかなものになります。
また、床全体の温度があがり、輻射熱による暖房効果も期待できますので、設定温度を少し低くすることが可能になります。その意味でも壁掛エアコンにくらべると、乾燥には有利になる空調方法といえます。
参考サイト DAIKIN 乾燥の困りごとと解決法
■ 間取りプラン作成時には、居心地の良い環境の快適さを体感することもできません。求める快適性によって、室内環境を調える為に使う費用も変わってきます。成功させる家づくりに備えて、室内環境を調える必要性や、調える方法について、考えていきましょう。
床下エアコンを失敗させないために最も重要なこと
新築住宅を計画されるご家族のほとんどは、建築関係者や住宅設備機器関係者ではないはずです。建築や住宅設備機器とは関連性のない職業についている方が多いでしょう。その為、床下エアコンについても、十分な知識がないのは当然のことです。その上で、床下エアコンを失敗させないために最も重要なことは、優秀な施工先を選ぶということです。
住宅の断熱の方法や湿気対策に対して、断熱性という数字だけではなく、間取りから換気方法までを含めて、適切な提案がなければ、失敗する可能性があります。また、納得のいくまで説明を受けることも大切です。
施工ミスがあってはならないことはもちろんですが、使用法を間違えた為にシロアリ被害が発生するようなことが、全くないとは言えません。ただ、その部分も施工する側の説明不足ですので、十分なキャッチボールができる施工先と家づくりを進めることが大切です。
床下エアコンは、床下エアコンに必要な条件を満たした住宅であれば、導入費用もランニングコストもリーズナブルな暖房の方法です。そして何より、室間の温度差が殆どなく足元が暖かい、快適で健康面のリスクにも配慮した理想的なシステムといえます。
床下エアコンを計画される際は、施工先から十分な説明を受け、不安な部分を解決した上で、計画を進めていきましょう。
■ 関東地方においては、夏には冷房、冬には暖房をしなくては過ごせない期間も長くなる傾向にあります。したがって、戸建て住宅を新築する際には、温熱環境を調える為、断熱・気密性と冷暖房をセットで考える必要があります。
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
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私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
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注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
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