和室はいらない?一軒家の新築で迷わない考え方

和室はいらない?一軒家の新築で迷わない考え方

注文住宅で一軒家を新築する際に、和室はいらないのか、あった方が良いのか迷うご家族が多いのではないでしょうか?椅子に腰かけ、ベッドで寝るというライフスタイルが増えてきている現在、マンションや建売住宅には和室のない間取りも増えています。戸建て住宅では、和室を独立させずに1階リビング横に設ける、リビング内に畳の小上がりを設けるなどの間取りも考えられます。

和室の用途

和風住宅の和室

100年住宅を目指した家

和室を設けるかどうかを決めるヒントの一つとして、もし和室があったら、どのように使いたいのか、使えるのかということを考えてみましょう。家族構成や家族の暮らし方によっては、和室はいらないという結果が出るかもしれませんし、絶対にあった方が良いという気持ちになるかもしれません。

本格的な和風住宅では、客間、お茶の間、仏間など用途別の和室がいくつもあります。一方、近年の一般的な戸建て住宅では和室の数は1階に一室、2階に一室、和室なしなど、和室の数は多くありません。

ただ、和室が一部屋だけだったとしても、和室の特徴の一つとして、シチュエーションに応じて様々な使い方ができるというフレキシビリティの高さがあります。そしてその使い方は、家族の暮らし方によって変わります。和室の必要性の有無を判断する為には、新しい家での暮らしの中での和室の用途を、具体的にリストアップしていくと良いのではないでしょうか?

寛ぎと団欒のスペース

休日の午後に寝転がったり、子どもと遊んだりする時間帯に、畳のある部屋にはゆったり過ごせる空間が生まれます。畳には調湿性があるので、裸足で歩いたり、夏にゴロンと寝転んだりしても、サラッとした心地良さがあります。また断熱性の良さや熱を奪う速度の遅さによって、フローリングなどと違い冬場でもじかに座ったりすることも出来ます。

子どもを遊ばせたり昼寝させたりするスペース

畳は他の床材と違って柔らかさがあり、まだ足元のおぼつかない子どもが転んでしまったとしても、深刻な怪我には繋がりにくい安心感があります。また、1階に和室があれば、子どものお昼寝時に、2階の子ども部屋に眠っている子供を連れて行かなくても、昼寝をさせられます。大人がいる1階でお昼寝させておくと、目を覚ました子どもがお母さんを探して、階段を自分だけで降りようとする危険がありません。

なぜ和風の平屋が子育てに適しているのか、子育て住宅に求められる要素について、考えていきましょう。

コラム 子育て世代の家づくりにぴったりな和風の平屋

お客様をもてなすスペース

本来の和風住宅のように客間として設けるのではなく、来客の際には客間としても使えるという和室です。床の間にお客様に合わせた掛け軸をかけ花を活ける、冬は雪見障子を開けて雪景色を楽しみながら食事をするというような客間は、今では贅沢な部屋と感じる人が多いのではないでしょうか?

そのような客間専用の和室ではなく、普段は家族が気軽に過ごせる和室であると同時に、来客時には客間となるようなしつらえにすると、和室の用途が拡がります。泊り客がある時にも便利です。

家事をするスペース

アイロンをかけるなど、取り込んだ洗濯物の仕上げをしたり、子どもの幼稚園や学校への提出物を作ったりするスペースとしても活用できます。作業スペースのあるウォークインタイプのパントリーやランドリールームも便利ですが、和室なら子どもと一緒に家事ができます。

家族の一時的な寝室としてのスペース

欧米には、子どもが誕生した時から子どもは独立した子ども部屋に寝かせる、という子育て文化のある国が少なくありません。一方、日本には就学までは常に親が見守るという子育て文化があります。夜は親子が川の字になって寝まれるご家庭も多いのではないでしょうか?そのような時期に、和室は家族の寝室としても使えます。

また、妊娠中には、階段が危険な時期もあります。そのような時期に1階に和室があると、2階の寝室まで上がらなくても、安全に寝めます。怪我をして一時的に階段が使えない時や、高齢になった時には1階の和室を寝室にするということもできます。ベッドを置く寝室と違い、和室は畳に布団を敷いて寝むので、日中は他の用途に使えます。

参考サイト 妊娠期の住宅内事故が発生した住環境と身体変化の関連

施工事例

和室の場所と設け方

リビングの畳コーナー

薪ストーブに集う3世代の家

和室は、和室を設ける場所によって使い勝手が変わり、必要な床面積も変わります。

和室を設ける場所

近年は家にいる時間のほとんどはリビングで過ごす、というライフスタイルのご家族が増えています。リビングではそれぞれが好きなことをするというような過ごし方なので、広いリビングが好まれます。

限られた床面積の中でリビングに広い面積を充てる為に、客間を設けない間取りも少なくありません。さらにダイニングキッチンを並べ、リビングを独立させないことで無駄なスペースを省き、視覚的にもより開放感を出すというような間取りです。

この間取りには、家族の自然なコミュニケーションが生まれやすく、子育て中には親が子どもの行動を把握しやすいという家族の愛情を育む良さがあります。一方、来客の際には、ダイニングキッチンがリビングからの視線に入ってしまうことが気になるというケースもあります。客間を設けない為、リビングにお客様をお通しする為です。

そこで和室をリビングの続き間として設ける間取りにすると、普段はリビングの延長として使う、来客時には引き戸を閉じて客間として使うという使い方ができます。普段は引き戸を開放しておくので、キッチンからの視線が届き、和室で遊んでいる子供を見守れます。

リビングの続き間の和室

ひなたぼっこが気持ち良い家

和室を続き間として設けるほどの床面積は確保できないという場合には、リビングの一部を畳のコーナーや小上がりにするという間取りも考えられます。格子や垂れ壁などを設けると、引戸がなくても個室感が出ます。

施工事例

和室を間取りに取り入れる際に考えておくべきこと

リビングに設けられた畳の小上がり

田園風景に癒される焼杉板張りの家

和室には、畳や塗り壁、和紙、無垢材などの自然素材が使われています。これらの自然素材には、調湿性があります。そしてそれぞれの素材ごとに吸放湿する速度が違います。木材は比較的ゆっくり吸放湿しますので、季節ごとの水蒸気量の変化に対して効果が期待できますし、畳や和紙などは吸放湿の速度が速いので、炊事なので一時的に水蒸気量が高まった時などに有効です。また、自然素材からは有害な物質が揮発されないので、きれいな空気環境が維持される良さがあります。

和室のお手入れ

塗り壁や無垢材は半永久的に使えますが、畳、襖や障子は、時期が来ると張替えや交換の必要性が出てきます。張替えや交換の時期は陽当たりや湿度、和室の使い方によって変わりますが、目安として、2~3年目に畳の表と裏を入れ替える裏返し、その3~4年後に表替え、さらに3~4年後に再度畳を裏返し、12年以上たった時点で新品の畳に交換します。

襖は10年程度、障子は3年程度で張替えをしますが、それ以前に、破れたり汚れたりしてしまえば、交換しなくてはなりません。近年増えてきている汚れにくく、汚れてしまっても簡単にきれいにできる壁紙や床材と比較すると、日々のお手入れにも手がかかります。

和室に限ったことではありませんが、マンションから持ち家である新築一戸建てに移りすむと、家のお手入れをしなくてはなりません。特に和室には和紙や畳が使われているので、日頃のお手入れの他に、短い周期で張替えや交換の時期がやってきます。

畳も襖や障子も、張替えや交換をすると、新築時のような爽やかさが蘇ります。特に畳は、数日の間イ草の香りが家中に漂い癒されます。張替えや交換を、清潔さと美観を維持する為には当然必要なこと、と受け止めるご家族であれば、畳や和紙の使われている和室が負担になることはないでしょう。

一方、手軽な掃除できれいさを維持できる、メンテナンスをしなくても劣化しないという生活に慣れている場合、暮らし始めてから、和室のお手入れを負担に感じるかもしれません。家との付き合い方という観点から、和室のある家にするかどうかということを考えることも必要かもしれません。

参考サイト 大広畳店 畳のお手入れ (カビ・ダニの予防と対処法)

明るくて暖かい和風住宅にする為には、昔から続く日本の家の良さと、今の時代に、向上し続けている住宅性能という両方を備えた家づくり計画が必要です。

コラム 至高の暮らしを育む純和風住宅の平屋

暮らし方

畳の部屋よりソファの方が寛げる、子育て時期は終わっている、ユーティリテイとしても使えるランドリールームを設ける予定、平屋なので階段の心配はないというようなご家族であれば、和室は必要ないかも入れません。

一方、和の雰囲気が好き、両親が泊まりに来た時の為に和室は用意しておきたい、妊娠から子育てまでの期間のことを考えると和室があった方が暮らしやすいと思う、というようなご家族であれば、和室や、畳のコーナーがあると暮らしやすさがより向上するでしょう。なぜ和室を設けたいのかということや、和室のお手入れやメンテナンスをできるかということを検討した上で、和室を設けるか設けないかを決めていきましょう。

和風な家に住んでみたいけれど、畳で正座という暮らしはできそうにない…とあきらめないでください。和風モダンな家なら、生活スタイルを変えずに、日本の伝統的な良さを採り入れた暮らしやすい家が実現します。

コラム 和風モダンな家の魅力

施工事例

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

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