平屋にビルトインガレージを設ける間取りの考え方 中庭との組み合わせも有効
平屋にはワンフロアで生活が完結するという良さがありますが、ビルトインガレージがあると、家の中と外も繋がります。まだ大人の手がなければ、一人で行動できない幼い子供や、介護の必要な人がいる家族にとって、家の中から車に乗り降りできる利便性は、行動範囲の可能性を拡げます。分離型の場合、敷地外に駐車場を借りるよりは、はるかに便利ですが、荷物の搬入には手間がかかります。特に雨の日は大変です。
そんなビルトインガレージをより便利に使う為には、家族の暮らし方、車の使い方に合わせて、ビルトインガレージと家の中の繋ぎ方に配慮した間取りにする必要があります。例えば、日常的な食料品の買い出しを車でする場合には、ビルトインガレージと家の内部を勝手口で繋ぎ、パントリーと並べると、食料品が搬入しやすくなり、雨の日でも楽に買い物に行けます。
コの字型やL字型の平屋にして中庭を設け、道路側にシャッター付きの入り口、中庭側は開放するという間取りにすると、自然光が入る明るいガレージにできます。また、ガレージでの作業中にも家族とコミュニケーションがとれます。その他には、中庭の一部をガレージにする間取りも考えられます。
通勤で車を使う場合には、日中ガレージが空くので、趣味の作業をするスペースとして活用できます。加えて、雨の日には子供を遊ばせたり、洗濯物を干したりすることもできます。また、車好きの人にとっては、リビングとガレージの間をガラスで仕切ると、いつでも愛車を眺められる楽しさが生まれます。
■ 平屋には、良いイメージがたくさんあります。実際に、ほとんどの戸建て住宅が2階建てという中でも、最近では平屋を希望する人も増えています。しかし、現実的には、都市部の住宅地に平屋を建てた場合などは、必ずしも住みやすい家になるという訳ではありません。比較的に高額になりがちな平屋を、子育てから終の棲家まで心地よく過ごせるようにするためには、どのような考え方を基に家づくりを進めるべきでしょうか?
コラム 注文住宅で建てる平屋を住みやすい家にする考え方
平屋のビルトインガレージが2階建て住宅よりも難しい理由
平屋であっても2階建てであっても、ビルトインガレージのある家は、駐車スペースを家の中に組み込むので、家の中の他の部分の床面積が少なくなってしまいます。その他にも、音や排ガスの問題もあります。具体的に平屋のビルトインガレージを設ける場合の問題点を確認していきましょう。
ビルトインガレージは、広い開口部を持つので、耐震性の面では、2階建てより、平屋の方が有利です。もちろん、平屋であっても、構造躯体の強度は求められますが、2階建てに比べると、上階の積載荷重の負担が無いので、構造が安定している安心感があります。
床面積の配分から間取りが制限されるが土地の条件を活かせるケースもある
2階建てよりもさらに床面積の配分が難しくなります。もともと平屋は、2階建てより広い敷地が必要な上に、駐車スペースを確保しなくてはならないので、床面積の配分に気を配らなくてはなりません。家族構成によって、所有する車の台数やサイズが違います。所有する車が複数ある、家族揃ってアウトドアスポーツが好きなので大型の車を使っているという場合には、よりガレージに使う面積が増えます。今は1台だが将来は増やす予定という場合にも、その分を確保した広さにガレージにしておかなくてはなりません。
その為、ガレージ付きの平屋を建てたい場合には、土地探しの段階から、ガレージ付きの平屋を意識して、土地の形状と広さ、敷地周辺の環境を選ぶことが大切です。正方形や長方形の理想的な整形地ではなくても、L字型やコの字型の平屋にしてガレージと組み合わせる、段差のある土地で段差を活かして半地下のビルトインガレージにするなど、土地の広さや条件を活用するという考え方もあります。
さらに、車の出し入れのしやすさを確保する為には、道路との位置関係も重要です。すぐ先にカーブや交差点がある、交通量が多いというような土地は、土地選びの段階で候補から外しておく方が良いかもしれません。
平屋のビルトインガレージには音に配慮した間取りと排ガスを逃がす換気計画が必要
家の中に車があるということは、便利である一方、家族の生活に悪影響を与える恐れもあります。通勤に車を使う場合、幼い子供や早寝をする高齢者にとっては、帰宅時のエンジン音や振動によって睡眠を妨げられてしまう恐れがあります。早朝に仕事に行く人がいる場合には、冬場の暖気運転で、他の家族が目を覚ましてしまうこともあるでしょう。
家族で出かける時だけ車を使うというような暮らしであれば、それほど気を使う必要はありません。しかし、通勤に使う場合には、毎日のことなので、エンジン音が家族の睡眠を脅かさない間取りにする必要があります。2階建ての場合は、寝室と子供部屋が2階にあるので、音の問題は回避しやすいのですが、平屋の場合には、寝室や子供部屋をガレージから遠い場所にするなどの検討が求められます。
またガレージの造り方によっては、密閉された空間になる場合もあります。このようなビルトインガレージでは排気ガスの逃げ場がなくなるので、出入口のシャッターなどを閉めた状態でも空気の入替が出来る換気計画が大切です。
今後、自動車がエンジンから電動へと移行すれば、騒音や排気ガスの問題はそれほど気にしなくても良くなるかもしれませんね。その場合には充電の為の設備を装備しておくと、夜間の割安な電気であったり、昼間の太陽電池からの電気で、安心して充電することも出来ます。また、車載のバッテリーを住宅用の蓄電池として利用する事も可能になります。
■ ビルトインガレージ、インナーガレージとも呼ばれるガレージハウスは、家の中にガレージが組み込まれている家です。敷地に余裕があれば、独立したガレージを設けることもできますが、ビルトインガレージには、別棟のガレージにはない良さがあります。愛車家にとっては憧れの家でもあるのではないでしょうか?
コラム ガレージのある家
ビルトインガレージの価格
ビルトインガレージを設けると、設けない場合に比べて、どの程度、建築費が上がるのでしょうか?車種や台数によって、ビルトインガレージに必要な面積が変わってきます。加えて、部屋としても使いたい、作業ができるスペースにしたい…など、駐車以外の目的を持たせたい場合には、駐車するだけのガレージよりも費用がかかります。その為、一概にはどの程度建築費が嵩むのかという答えはありません。
ただ、シンプルに駐車するだけのスペースに、1台駐車できる4~5坪程度のビルトインガレージにする場合の費用相場は、200~400万円です。複数台を駐車したり、作業ができるスペースを確保したりする為、30坪程度のビルトインガレージにする場合には、1,000万円以上の費用がビルトインガレージにかかります。凝った造りにしていくとその分さらに費用が嵩みます。
新築時には建築費が嵩みますが、税金面から考えた時、固定資産税を減税できる可能性があります。住宅を取得すると、固定資産税を納める義務が生じます。固定資産税は、土地と家に別々に課税されるのですが、ガレージハウスの場合、家にかかる固定資産税を抑えられる可能性があります。その条件は、駐車スペースが延べ床面積の5分の1以内であることです。その場合には、ビルトインガレージの床面積を、住宅全体の床面積から差し引いて計算する為、固定資産税が抑えられます。
平屋に設けるビルトインガレージには、家の中と外を繋げられる良さがある一方、敷地選びの難しさという面もあります。家族の暮らし方と、土地の条件、予算に合わせて、計画を進めましょう。
■ 家づくりには家族それぞれの予算があります。予算の範囲内で、家づくり全体のバランスを考えながら計画を進めていかなくてはなりません。予算オーバーになると、住宅ローンの借入金が増えるなど、暮らし始めてからの生活に影響が出てしまいます。注文住宅で予算オーバーを避ける為に考えておきたいことには、どのようなことがあるのでしょうか?
コラム 注文住宅で予算オーバーを避ける為に考えておきたいこと
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。
そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。
注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。
「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」
「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」
を感じて頂けます。
ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。