快適な家を実現させる為に必要なこと

快適な家

家づくりは、一生の問題です。家を建てるご夫婦だけではなく、子や孫の代までの暮らしやすさが問われます。長期間に渡って、家計を左右する住宅ローンも支払い続けていかなくてはなりません。そのような重大な家づくりおいて、必ずおさえるべきは高い耐震性と耐久性の確保です。また、暮らしを支える生活費を考慮した、適切な工事予算の算定も欠かせません。その上で、豊かで快適な暮らしの為に、しっかりと検討すべきことは何でしょうか?

豊かで快適な暮らしを実現する家の条件には、外観や内装のデザイン、生活しやすい動線と動線にあった収納を備えた間取り、窓からの景観の良さなどが挙げられます。そして、それらを基本的に下支えする快適な室内環境が、耐震性や耐久性と共に重要な事項なのではないでしょうか?そして、快適な室内環境を生み出す為には、断熱・気密性、換気や空調計画に加えて、自然のエネルギーを上手に採り入れる暮らし方が求められます。

快適な室内環境を調える断熱性と気密性

2階リビングの長期優良住宅

2階リビングの長期優良住宅

日本には四季があります。季節の移り変わりは、私たちに、自然の美しさや心地良さを届けてくれると同時に、夏の暑さや冬の寒さも容赦なく届けてきます。このような季節ごとの気候の変化に応じて、常に快適な室温を創り出す要素の一つが断熱性と気密性です。

近年、省エネ住宅への意識や、住宅の温熱環境と健康維持との相関性に関するエビデンスにより、断熱・気密性の高い家にしなくては…と考えていらっしゃるご家族も多いと思います。何よりも、夏は涼しく、冬は暖かく過ごしたいという想いは誰もが持っていることでしょう。

断熱性とは、外皮と呼ばれる家の外側を包む屋根(若しくは天井)、外壁、床(場合によっては基礎)、玄関や勝手口・窓などの開口部からの熱の出入りに関する性能です。気密性とは、隙間風など外皮の隙間からの空気の移動がもたらす熱の出入りに関する性能です。そのほかに、換気による熱の出入りもあります。これらの性能が高いと、家全体が魔法瓶のような状態になり、冷暖房の効果を最大限に生かせる家になります。

ただ、家づくりを計画する段階で、断熱性能の高さは実感できません。また、専門家でもない限り、屋根や壁、床、開口部にどのような建材を使い、どの程度のグレードの断熱材を選べば良いのかということはわかりません。その為、断熱性能の高さを基準で選ぶことになります。

断熱性能を表す基準には、異なる考え方から定められている2つの基準があります。ひとつは、国の基準である、家の外側を包む部分の性能である断熱性能から、消費エネルギーの量を判断する省エネ性能です。住宅性能表示で示される省エネ基準には、平成25年の基準に相当する等級4、平成4年の基準に相当する等級3、昭和55年の基準に相当する等級2があります。

平成27年からは、一次エネルギー消費量等級としての基準が加わりました。平成25年の基準に相当する家は、断熱性能等級と同じ等級4、低炭素基準相当のエネルギー消費量を実現する性能を持つ家は、等級5です。長期優良住宅や、ZEHも同じ基準で判断されます。もうひとつは、住む人の健康と、快適を維持できる室内環境という観点から定められているHEAT20です。HEAT20には、G1からG3までの3段階の性能の違いがあります。

住宅の省エネ性、快適性は断熱性能のみで決まるものではありませんが、外皮性能だけに注目した場合、これらすべての基準を、性能の良い順にみていくと、最も高い性能を備える基準は、HEAT20 G3です。次がG2、G1と続き、ZEH,トップランナー基準、誘導基準低炭素住宅、住宅性能表示の省エネ基準(断熱等級4)となっています。HEAT20 G3の断熱性能は、断熱等級4に比べると、住宅の外側から熱の出入りする量が、半分以下に抑えられています。

ただ、断熱性能の高さを求めれば求めるほど、建築費が嵩みます。一方、開口部のとり方にもよりますが、一般的に断熱性能が高くなればなるほど、暮らし始めてからの電気代など、エネルギー消費に関わる費用は抑えられる傾向にあります。家を建てる地域の気候と、家づくり予算全体とのバランスを考えて、適切な性能を選ぶことが大切です。比較的温暖な5・6地域においては、現時点ではG2グレード程度の外皮性能が費用対効果が高いと、一般的には言われております。但し、住宅建材や技術は日々進歩しており、近い将来G3やそれ以上のものに費用対効果がシフトしていくかもしれません。

家づくりプランの作成時には、施工を依頼する工務店に、暮らし始めてからの快適さと、省エネ基準、断熱等級について、十分に相談することが大切です。注文住宅は、外観や間取りなど、目に見える部分だけではなく、目に見えない住宅性能も、家族の希望に合わせて決めていきます。その為、どのような温熱環境の家に住みたいのかというイメージも、持っておく必要があります。

参考資料 住宅・建築物の省エネルギー基準 国土交通省住宅局

快適な室内環境を調える換気と空調計画

大屋根と丸太架構の家

大屋根と丸太架構の家

断熱・気密性が高まるほど、室内の温度は理想的に調えられますが、室内の空気の滞留による環境悪化や、内部結露による構造部の劣化に対するリスクも高まります。

気密性の高い住宅において、適切な計画換気設備が備わっていないと、室内の空気が滞ってしまいます。家の中の空気には、目に見えない物質がたくさん発生しています。衣類や布団から出る埃、カビの胞子やダニの死骸、ウィルスなどです。さらに、家具や家電に使われている材料の中には、家族の健康被害を生み出しかねない化学性の物質を揮発するものもあります。また、私たち人間も、常に生命活動で二酸化炭素や水蒸気を排出しています。

家の中の空気が入れ替わらないと、それらの物質は、家の中に留まってしまい、家族の健康と快適さを損ないます。加えて、直接暮らしの快適さを損なう訳ではありませんが、換気不良による室内の水蒸気量の上昇で、壁や屋根の内部に結露が発生し、構造体の腐朽による耐震性の低下というリスクもあります。

また、高断熱な住宅でも、一定期間は冷暖房が必要になります。そのような時期に備えて、間取りと断熱性能に合わせ、どこにいても大きく室温が変わらないように、そしてそれを最小限のエネルギーと設備で実現する、空調計画を検討することも大切です。

快適な室内環境を調える自然との付き合い方…太陽と風

室内環境を調える為には、太陽と風との付き合い方も重要です。住宅の断熱性や、機械的な換気の計画も大切ですが、先ずは自然の恵みを採り入れ、快適な暮らしと省エネを実現する工夫を検討することが大切です。

陽射しの明るさと暖かさ・暑さ

太陽の光は家の中に明るさを届けてくれると共に、冬は暖かさを届けてくれます。十分に陽射しが届く家では、日中は照明をつける必要がなく、真冬でも昼間は無暖房での生活も可能になります。十分な明るさと暖かさを得る為には、敷地周辺の環境に合わせた窓の位置やサイズ、ガラスの種類を選択することが大切です。

一方、夏は日射熱が室内の温度を上昇させます。屋根や外壁からの熱の侵入が抑えられていても、窓からの熱の流入を抑えられなければ、室内の温度の上昇は、十分に抑えられません。窓からの日射を遮蔽する為には、深い軒が効果的です。すだれや、窓のそばの樹木などは、家が完成してからでも間に合いますが、軒は、設計時から計画する必要があります。季節による太陽の位置の変化と屋根の形状、外観のデザインに合わせて、適切な深さの軒を設けることが日射遮蔽に役立ちます。

先ずは、敷地に落ちる近隣建物や樹木の影をシミュレーションし、最適な建物配置を検討します。そのうえで、窓の位置や、方角によるガラスの種類の選択、軒の出の寸法の検討をして、自然エネルギーの取捨を効率よく行える計画をします。その上で、断熱性能を加味した冷暖房に必要なエネルギー(冷暖房負荷)を割り出します。本当に大切なのは、断熱性能の基準の優劣ではなく、自然エネルギーを上手に採り入れて、如何に冷暖房負荷を抑えるかの工夫になります。

風通し

窓からの風は、季節の匂いと爽やかさを届けてくれます。機械的な換気計画も、気密住宅には必要ですが、窓からの風による空気の入れ替えも、快適な暮らしには欠かせません。地域の風の性質、敷地周辺の環境に合わせて、窓の位置やサイズ、開閉方法を計画する、壁に沿って通り抜けていってしまう風を採り入れる為には、袖壁をつけるなどの工夫が求められます。

快適な室内環境を調える自然との付き合い方…家づくりに使う建材

漆黒の左官壁と木格子の家

漆黒の左官壁と木格子の家

在来工法の木造住宅では、構造部には自然の木材が使われますが、内装に使う素材によっても、室内の快適さが変わります。快適な室内環境を作る素材には、木材、漆喰や珪藻土などの塗り壁、畳、和紙などの自然素材が挙げられます。これらの自然素材には共通して、通気性と調湿性があり、表面温度の変化が緩やかであるという特徴を持っています。

通気性と調湿性は、室内の湿度を調え、ジメジメせず、乾燥しすぎない環境を創り出します。合成素材のクロスを剥がしたら、カビがびっしり生えていたというような心配がありません。また、どの素材も、比較的に表面温度の変化が緩やかです。

自然素材が持つ調湿性能は、室内にいる家族の体感温度と、室温との差を抑える働きもしてくれます。室内環境の快適性は温度ばかりではなく、湿度にも大きく影響されます。自然素材を使うことで、見た目の良さだけではなく、安定した室内環境を保つ助けをしてくれるのです。

家づくりには大切な要素が数えきれないほどありますが、室内環境の快適さは、暮らしやすさと家族の健康を支えます。住宅の断熱性を備え、自然のエネルギーを活用するパッシブデザインを採り入れ、室内環境を底上げする自然素材を使うことが、快適な室内環境の家を実現します。

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

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