梁を見せる天井とは?
在来工法の家は、柱と梁で骨組みを造ります。家の重さを垂直方向に支える柱と柱の間を横方向にかけられる構造材が梁や桁と呼ばれる横架材です。柱は、梁や桁などの横架材から伝わる荷重を、土台や基礎に伝える働きをし、梁や桁などの横架材は、上からの荷重や圧力を柱に伝え、屋根や床を支える働きをします。柱と柱を繋ぐ梁は大梁、大梁と大梁を繋ぐ梁は小梁と呼ばれています。
これらの構造部を見えるように収める方法が壁においては、真壁仕上げという手法です。日本の住宅ではこの手法が長く使われてきました。一方、壁の中に柱や梁を隠して収める方法は、大壁仕上げという手法です。洋風な住宅や和洋折衷の住宅が一気に増えた時代から現在に至るまで、大壁仕上げの住宅が大半で、一部和室のみ真壁仕上というのが一般的であるとも言えます。
そして、構造部材の横架材を見せる天井が、梁現し天井と言われる梁の見える天井です。梁現わし天井とは、梁見せ天井と呼ばれることもあります。梁現し天井にはその他に、付梁と呼ばれる意匠用の梁をつける方法もあります。飾りものなので、構造には何の影響もないため、内装デザインに合わせて、好みの場所に設けられます。
梁を見せる天井の魅力
梁を見せる天井は、構造を見せることの魅力だけではなく、梁を隠さない分、天井が高く出来るので、空間に広がりが生まれます。広々としたリビングは、多くの人の家づくりにおいての希望の一つです。しかし、家全体の間取りと床面積のバランスを考えた時、広くできる面積に限りがあります。そんな時に、梁現しの天井は、部屋を広く感じさせる効果を生み出します。
また、梁の使い方で、内装のアレンジが豊富になります。梁に使う木材の種類を吟味したり、梁の掛け方の工夫により空間に繊細さや力強さなどの構造美を演出できます。
梁現し天井(梁見せ天井)の魅力が感じられる具体的な施工事例を見ていきましょう。
一方、モダンな部屋にも、梁現し天井(梁見せ天井)は調和します。この事例では、広いベランダに繋がるリビングを、梁を隠さない分、天井が高くなる梁現し天井が、より開放的な雰囲気にしています。
小屋空間に、勾配天井が組み合わされると、複雑な部材の組み合わせで精緻な印象を持つ天井が生まれます。小屋組み現しの空間は、高い窓からの光が、時間の変化によって室内に異なる陰影を生み出す、という自然の恵みに与えられた魅力も備えています。
参考サイト 堺市立町家歴史館 山口家住宅
モダンな住宅にはこのような採り入れ方もできます。吹き抜け空間にダイナミックに現わされた梁組が、圧倒的な構造美を演出し、梁に取り付けられたスポットライトによって、様々な陰影を生み出し室内に変化を与えます。
梁を見せる天井にする際に考えておくべきこと
フラットな天井とは異なり、梁を見せる天井には凹凸があるため、フラットな天井にはない問題点があります。
梁をみせる天井の照明の方法
梁と梁の間隔が狭い、屋根が傾斜しているなどの理由で、シーリングライトはつけられない、またはシーリングライトをつけても、距離が遠くなり、明るさが十分室内に届かないというようなことがあります。
平天井に梁の一部を現し仕上という場合には、シーリングライトがつけられますが、勾配天井と登り梁現しという場合には、照明位置が高くなりすぎてしまうこともあり、ペンダントライトが使われたりします。その他、梁現わし天井(梁見せ天井)の場合には、天井に複数のダウンライトをつける、梁にスポットライトやペンダントライトをつけるなどの方法もとられます。
いずれの方法をとる場合にも、家が完成した時の家具の位置、部屋の使用目的、その部屋に望む雰囲気を考えあわせた上で、最適な照明方法を選ぶことが大切です。全体的に煌煌と照らされなくても、部分的な照明で落ち着いた雰囲気にしたい場合には、ブラケットライトやフロアライトを採用するという考え方もあります。
梁現し天井の部屋の冷暖房の効率
平天井に梁一部現しの天井の場合は、普通の天井と変わりませんが、勾配天井や吹抜けとの組み合わせで梁を現しにしている場合、冷暖房の効率が低下する恐れがあります。その理由は、空間に高低差が出来る分、涼しさや暖かさが拡散してしまうおそれがある為です。暖かさは天井付近に、涼しさは床付近に停滞してしまいがちだからです。
そこで先ず、十分な断熱性と気密性を確保し床・壁・天井の表面温度を室温と同調させることが重要です。また、家の中の空気が循環しやすい間取りにし、空調計画でも暖房は床下エアコンなどの低い位置から、冷房は小屋裏エアコンなど高い位置からというような工夫すれば、梁現し天井(梁見せ天井)でも快適な室内環境が得られます。これからの空調計画では、居室ごとに冷暖房するという方法を脱却し、家全体の温度をコントロールできる全館空調を、如何に効率よく省エネに実現するかという工夫が必須です。
居室ごとに冷暖房するという方法では、部屋数が多くなればなるほどエアコンの台数が増え、イニシャルコストが嵩むと共に、小さな部屋ではエアコンの効率が低下し、ランニングコストも増えてしまい、冷気と暖気の吹出口が一緒なので快適性も損なわれます。一方、家全体を冷暖房するという方法は、家の中の空間が繋がれば繋がるほど、空気が循環しやすくなり、冷暖房の効率が良くなりまし、冷気と暖気の吹出口を床下・小屋裏エアコンのように理にかなったものにすれば快適性も格段に良くなります。
したがって、勾配天井や吹抜けとの組み合わせで梁を現しの天井にする場合には、「住宅全体の断熱・気密性を向上させる」ことと、「空気を循環させて家全体の温度を調節する空調の方法を採り入れる」ことが快適性や省エネにつながります。
梁現し天井(梁見せ天井)の梁に溜まる埃への対処法
平天井に梁一部現しの天井の場合は問題になりませんが、小屋組み現しや吹抜けとの組み合わせで梁を現しにしている場合、梁の上部に埃が溜まってしまいます。高い部分にある窓、ペンダントライトのコードなども含めて掃除が大変です。
埃はこまめに払えば、頑固な汚れにはなりませんが、毎日のように脚立を出して掃除をするわけにもいきません。そこで、せめて月1~2回程度は、伸縮性のワイパーなどを使い、梁の埃を採る必要があります。そして年に1~2回は、家族で協力して、脚立を使っての大掃除を心掛けましょう。
勾配天井や吹抜けとの組み合わせで、梁を現しにする場合には、あらかじめ、梁の埃掃除は必須だということは覚悟しておいた方が良いかもしれません。しかし、それにも余りある魅力があることも確かです。間取りプランの際に、家族に梁掃除の協力を仰げるかということも確認しておいた方が良いかもしれませんね。
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。
そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
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