注文住宅の予算は年収から決める?目安は平均?

注文住宅の予算は年収から決める?目安は平均?

注文住宅は自由度が高い家づくりの方法です、快適な暮らしができる家にする為の下限はありますが、予算の上限がありません。住宅金融支援機構の調査によると、首都圏の平均的な注文住宅取得費用は3808万、床面積は35.5坪で、総費用の坪単価がとうとう100万円を超えてきました(2020年度調査)。土地も含めてということであればもっと高額になっていきます。総返済負担率(1ヶ月当たりの予定返済額を世帯月収で割った値)の平均は22.2%ですが、生活レベルに影響が出てくるといわれる負担率25%を超える世帯が、ここ5年で31.2%から38.1%に増えているのが気になる状況です。注文住宅の予算を決める際には、暮らし始めてからの家計のシミュレーションをした上で、無理のない資金計画を立てる必要があります。

注文住宅の平均的費用は土地込みと土地ありで大きく変わる

平屋にはゆとりのある敷地が必要

木製デッキ越しに庭をのぞむ平屋の家

すでに土地を所有している場合は、注文住宅の予算のほとんどを建築費に充てられます。一方、土地込みで考える注文住宅の予算は、土地の価格によって建築にかけられる費用が変わります。

土地の価格は地域によって幅があります。その為、土地込みでの家づくり予算を決める際には、土地の選び方が重要なポイントになってきます。特に土地の価格が高額な地域では、家づくり予算のほとんどが土地の購入価格になってしまうことさえあります。

2020年度のフラット35利用者調査の結果を見ると、土地付き注文住宅での平均的な所要資金は、4,397万円、土地の購入費がなかった注文住宅での平均的な所要資金は、3,534万円です。土地付き注文住宅での平均的な所要資金を地域別に見て行くと、最も高額な地域は首都圏で5,162万円、全国平均は4,397万円、首都圏、近畿圏、東海圏以外の地域は3,949万円と、大きな幅があります。

この中でも、主要駅の近くであったり、高級住宅の多い第一種低層住居専用地域であったりすれば、平均よりも高額になり、駅から遠い、バスを利用する、国道や幹線道路沿いであることの多い準住居地域であれば、平均よりも土地の価格が抑えられます。従って注文住宅の予算は、家づくりにかけられる予算全体を考えた上で、土地にかけられる費用を決め、建築費を決めていく必要があります。

家を建てる土地は、利便性や周辺の街並みだけではなく、暮らしの快適さを左右します。土地の形状によっては希望の間取りが実現できない、周辺の環境によっては日当たりや風通しが悪くなり、外部からの視線や騒音で落ち着いた暮らしができなくなる、窓からの景観を楽しめないというような家になってしまうことがあるからです。

特に平屋を建てたい場合には、どんなに設計力を駆使しても、暮らしの快適さへの工夫には限界が出てきます。予算のバランスを考え、建築費に充てられる費用が圧迫されない価格の土地を見つけることが注文住宅の予算の決め方の第一歩です。急行が停まる駅の次の駅、駅から離れている地域、変形地など、希望する条件のうち、譲歩出来る条件と出来ない条件を整理し、工務店や設計者など専門家のアドバイスを参考に予算内に収まる土地を探し、建築費を確保しましょう。

参考サイト 住宅金融支援機構 フラット35利用者調査

完成した注文住宅の暮らしやすさは、家を建てる敷地によって大きく左右されると言っても過言ではありません。家づくりを成功させる注文住宅の土地探しで気を付けるべき注意点、土地探しのパートナーを、不動産業者とすべきなのかハウスメーカーとすべきなのかなどのポイントについて考えていきましょう。

コラム 注文住宅の土地探しはいつから?成功ポイントは?

施工事例

注文住宅の平均的な費用と建築費の幅

予算に余裕があると自然素材を多用できる

緑の庭を望む大開口リビングの家

2020年度のフラット35利用者調査の結果では、注文住宅の所用資金の全国平均は3,534万円、土地付き注文住宅では4,397万円でした。この所用資金とは、建設費と土地取得費を合計した金額です。従って、建築費の平均的な価格は3,534万円ということになります。

参考サイト 用語の解説 – 住宅金融支援機構

建築費には、土地ほどの価格の差が大きくなく、首都圏で3,808万円、全国平均は3,534万円、首都圏、近畿圏、東海圏以外の地域は3,356万円です。そして現実には、1,000万円台の建築費で建てられる家もあり、数億という建築費をかける家もあります。この建築費の差はどのような違いを生むのでしょうか?

1,000~2,000万円台の住宅

注文住宅ではありますが、本来の注文住宅ほどの自由度はありません。建材や住宅設備機器などの標準仕様が決まっているケースがほとんどです。また、間取りや外観デザインは、用意された中から、家族構成や家族の好みに合わせて選んでいくというセミオーダータイプもあります。

1階と2階の面積を揃える総二階建てや、軒や庇のないシンプルで凹凸のない箱型の外観デザインにする、玄関ホールや和室などを省き床面積を抑える、無垢材や塗り壁などの自然素材ではなく、合板やビニルクロスを使って建材費を抑えるなどの工夫がされています。住宅性能は建築基準法ギリギリというケースが多く、耐震等級3や制振構造、次世代ZEH+やHEAT20などの住宅性能を望むのは難しいかもしれません。

3,000~4,000万円の住宅

本来の意味での注文住宅が建てられます。外観や内装のデザイン、間取り、住宅設備機器のグレード、建材など、家づくりを構成する要素全てを予算の範囲内で自由に選べます。長期優良住宅にするなど、耐震性や温熱性能、耐久性に関しても多くの要望を実現することができます。

4,000万円以上の住宅

予算の制限が少なくなります。凹凸のある凝ったデザインにする、軒や庇、袖壁を設けるなど、外観にも自由度が出てきます。純和風な住宅も建てられれば、洗練されたモダンな住宅も建てられます。内装には自然素材を多用し、間取りには吹き抜けや大開口、インナーテラス、ビルトインガレージなどを採り入れることもできます。

また、少ないエネルギーで温度差の少ない快適な家の中の環境を生む高い住宅性能を備えられます。次世代HEMSやHEAT20G3にも手が届き、IoTを活用した便利な暮らしができる家にもできます。

注文住宅と一口に言っても、規格住宅や建売住宅に近い注文住宅から、完全に自由な注文住宅まで様々なタイプがあります。規格型注文住宅、セミオーダーの注文住宅、自由設計、フリープランと呼ばれている住宅です。

コラム 注文住宅とは戸建て住宅を自由に造る家づくり

施工事例

3,000~4,000万円の予算で家を建てる場合に考えるべきこと

注文住宅の予算で最も多い価格帯である3,000~4,000万円の住宅の施工事例

片流れ屋根の組合せと櫛引壁の家

注文住宅の予算で最も多い価格帯である3,000~4,000万円は、最も考えることの多い予算額でもあります。1,000~2,000万円台の住宅には、ある程度の規格の上で注文住宅を建てるというスタイルが多いので、3,000~4,000万円の予算で建てる注文住宅よりは決めることが少ないからです、

一方、4,000万円以上の住宅となると、予算の制限が少なくなるので、希望をあきらめたり、変更したりしながら予算内に収めていくという難しさが抑えられます。大手ハウスメーカーの規格型注文住宅を選べば、さらに楽に家づくりが進められます。

3,000~4,000万円の予算で注文住宅を建てる場合には、予算の制限内でいかに希望を叶え、理想の家に仕立て上げていくかという部分に非常に時間がかかります。まずその中でまず、必ず確保しなくてはならない要素として住宅性能にかける予算があります。

住宅性能のうち、耐震性は想定される最大の地震が発生しても安全な家にする性能です。建築予算を抑える為に構造計算をしないというようなことは絶対に避けるべきです。断熱性と気密性と空調・換気計画は、季節に応じた快適な室温と、きれいな空気環境を維持する為には不可欠です。そしてこれらの住宅性能は、予算をかければ安全度と快適性が向上していきますが、ある一定のレベルを超えると、費用対効果が著しく低下します。もし、住宅性能にこだわり過ぎれば、外観や内装に充てる予算が圧迫されてしまうかもしれません。

家の中にいる時間を心地よく過ごすためには、快適な室温や空気環境の他に、視覚的な満足や暮らしやすさも必要です。好みに合う色や質感の内装、外から自宅を見る度に幸せを感じる外観デザインは、上質な生活を生む要素の一つです。また、外の景観を採り込む大開口や、家中に陽射しを届ける吹き抜けなども、家での暮らしを豊かにします。ただ、一般的ではない建材や凝った設計にこだわり過ぎれば、こんどは住宅性能に充てる予算が不足してしまうかもしれません。

これらのことはほんの一部で、この他にも予算の制限の中で決めることが次から次へと出てきます。ただ、その難しさを解決する為に予算を増やしてしまうと、暮らし始めてから住宅ローンの返済が家計を圧迫し、心豊かで楽しい暮らしが台無しになってしまうことになりかねません。

注文住宅の予算の決め方のポイントは、①入居後の豊かな暮らしを第一にして総額を決める②土地の選びは専門家のアドバイスを受け建築費を圧迫しない範囲内でする③性能や素材、間取りなど家づくりにかける費用を上手にバランスをとるという3点です。

昨今ではコロナ禍やウクライナ侵攻など、あまりにも予想できないような事態が発生しています。思いもよらぬ事態に備え、半年程度は家族が生活できるくらいの蓄えも必要だといわれております。

3,000~4,000万円の予算で建てる注文住宅は、着工までの期間や施工中に決めなければならないことがたくさんあり、大変ではあります。でも、思いを理解してくれる工務店から適切なアドバイスを受けながらの家づくりは、それらすべてのことが楽しさに繋がり、新居が完成した時には本当に満足感でいっぱいになります。家族の思いが多いほど報われることも多く、必ず理想の家が完成します。大変ではありますが楽しんで家づくりを進めてください。

注文住宅とは、何もない所から家族の理想の暮らしを創り上げていくための家づくりです。その為、決めなくてはならないこと、検討しなくてはならないことがたくさんあります。ですが、たとえ大変だとしても、家づくりという作業は家族の理想の暮らしに向かって進む大切で楽しい旅です。めんどくさいと感じてしまいそうな時に乗り越えられるようにしておくことが大切です。

コラム 注文住宅はめんどくさいけれど妥協はしたくない

施工事例

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

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