家と暮らしに対する想いから考える2階リビング…子育て期間
新築する住宅の敷地周辺の環境によっては、1階よりも2階にリビングを設ける方が快適なリビングにできることがあります。快適性の差に、最も大きな影響を及ぼすのが日当たりです。リビングには、晴れた日には明るい陽射しに溢れる明るい部屋というイメージがありますが、多くの住宅地においては、隣地との離隔距離を十分に採ることは難しく、理想通りにはいかないということになりがちです。
子育てに備えてというタイミングで家づくりを計画される場合、子どもが就学するまでは、親子共に日中はリビングで過ごすことが多いと思います。子どもが就学し子ども部屋で勉強するようになる時期には、北向きで日当たりのそれほど良くない部屋の方が、集中力が高まるので良いという意見もありますが、多くの親御さんはそれまでの期間は、日当たりの良いリビングで過ごさせてあげたいと思うのではないでしょうか?
その他には、1階リビングだとリビングの窓からの景観が良くない、隣家や通りからの視線が気になるなどのケースもあります。リビングの窓の前に隣家の浴室やトイレの窓がある、1階リビングに休日には家族で寛ぎの時間を過ごせるよう広いウッドデッキを設けたが、通りや隣家からの視線が気になって使えないというような状況もおこりがちです。
もし2階リビングなら、1階リビングほど視線が気になることがなく、空も含めて景観の良さを採り入れられるリビングにしやすいメリットがあります。また、ベランダを広くし、日射遮蔽対策や視線対策をすれば、住宅地であっても遠くまでの景観を楽しめるアウトドアリビングが生まれます。
また、1階にリビングを設けても日当たりが良く、視線も気にならないという敷地環境であっても、洗濯に関わる家事負担を軽減したいという希望から、2階リビングにするという考え方もあります。2階建ての場合、1階の洗面所に洗濯機を置き、2階のベランダに洗濯物を干し、1階のリビングでアイロンかけや洗濯物の仕上げをし、2階の家族の居室に収納するという流れで洗濯物に関わる家事をすることがほとんどです。もし2階リビングにし、水回りもすべて2階に設ければ、平屋のような家事動線で洗濯物に関わる家事をこなせます。
■ 1階リビングの暮らしと、2階リビングの暮らしの違いを知り、家族の暮らし方と敷地の環境に合わせた間取りにしていく、または1階リビングにし、間取りの工夫で日当たりや風通しが良く、プライバシーを確保できる家にするという両面から考えていくことが、後悔しないリビングプランの家に繋がります。
コラム 2階リビングは後悔する家になる?
家と暮らしに対する想いから考える2階リビング…終の棲家としての期間
家は長く暮らす場所です。まだ幼い子供と日当たりの良いリビングで終日のんびりと過ごす期間、就学した子どもの成長に伴って日々暮らしが変化し続ける期間を経て、子どもの独立、家を建てたご夫婦の現役からのリタイア、そして高齢になる時がやってきます。高齢になる前に、病気や事故で車いすが必要な生活になることもあるかもしれません。
そのような期間を想定すると、2階リビングはあきらめた方が良いのかもしれないという結論を出す人もいるかもしれません。その一方、高齢になってからの期間は、家を建ててから高齢になるまでの期間に比べると短いのだから、高齢になるまでの期間を快適に明るく過ごせることを優先したいという考え方もあります。さらに、高齢になる頃には、家を処分してマンションや施設で暮らせばよいという考え方もあります。
ただ、家を建てるご夫婦の人生に対する価値観や暮らしへの考え方によって、2階リビングにするか否かを決める以外に、子育て期から終の棲家となる時期までのそれぞれの段階で快適に過ごせる家にするという方向での考え方もあります。暮らしの変化に対応することが出来、常に快適さが維持される家にするという考え方です。何時までも暮らしやすさが続く家という観点から2階リビングを設ける方法を考えてみましょう。
■ 間取りと密接な関係がある要素は、家族の暮らし方にあった生活動線と、家族の健康を守る環境です。それぞれについて具体的に考えていきましょう。
2階リビングで考えておきたい階段の造り方と家族のコミュニケーション
子育て期から高齢になる時期まで、一貫して2階リビングの良さを損なうことの原因には階段が挙げられますが、家族のコミュニケーションにも影響があります。
階段が生むデメリット
2階リビングに限ったことではありませんが、2階建て以上の住宅では、階段が暮らしにくさに繋がります。特に、2階リビングの場合は階段を使う回数が増えるので、階段のデメリットがより大きく感じられます。
階段事故
階段の問題点は、高齢になった時に昇り降りが負担になる、少し踏み外しただけで深刻な怪我になるということだけではありません。子育て中にも、リビングでお昼寝をさせていた子供が目を覚まし一人で階段を降りようとして転落するなど、子どもの階段事故の可能性が増えるかもしれません。また、妊娠中にも階段が危険な時期があります。
参考サイト 東京都 乳幼児の転落・転倒事故防止ガイド
住宅設備機器や大型の家電、家具が搬入
システムバスやシステムキッチンは、新築から十数年経つと交換の時期がやってきます。水回りが2階にある場合、階段の造り方によっては住宅設備機器が階段を通らず、交換が困難になることがあります。
また、新居の引き渡しがすみ、いざ引っ越しという段になって、大型の家電や家具が2階に上がらないという事態になる恐れもあります。日常生活では、買い出ししてきた重い食料品を2階に運ぶのが大変です。これらの問題は、階段の造り方でリスクが発生する確率を抑えられます。
安全な階段の造り方
階段には直線の階段と90度に曲がる階段、180度に曲がるがあります。それぞれの安全性と危険性について確認していきましょう。
直線の階段
直階段と呼ばれる上から下までが直線で繋がっている階段です。踏み板が全部方形なので踏み外しのリスクは少ないのですが、ひとたび踏み外してしまうと踊り場がないので一気に転落するリスクがあります。
曲がる階段
曲がる階段には、90度に曲がるかね折れ階段と呼ばれる階段と、180度に曲がる折り返し階段と呼ばれる階段があります。どちらにも曲がる部分に方形の踏み板が使われているタイプと三角形の踏み板が使われているタイプがあります。
踊り場があるので一気に転落するリスクはありませんが、三角形の踏み板が使われているタイプには踏み外しのリスクがあります。三角形の踏み板には、床面積を節約できるというメリットがあるので、採用されることが多いのですが、安全性という面から考えると方形の踏み板に分があります。
階段の幅も踊り場も広く、緩やかな勾配の階段は安全度の高い階段です。床面積は多くとられますが、妊娠期間や子育て期間、そして高齢になった時にも安心して使えます。また、車椅子を使うようになったり、昇り降りが苦痛になったりした時の為に、必要な時期が来たらエレベーターを設置できるようにしておく方法も考えられます。物の多い子育て中には収納として使い、高齢になったらエレベーターを設けるスペースにするというような方法です。
参考サイト アメニティCafe *2021年度版 階段の種類
家族のコミュニケーション
2階リビングには、帰宅した家族が1階の自分の居室に荷物をしまってからリビングに行くため、リビングに物が溢れないという良さがあります。その一方、1階リビングのように帰宅後は玄関からリビングに直行するという動線ではない為、家族の自然なコミュニケーションが1階リビングの間取りに比べると少なくなる恐れがあります。
子どもが多感な時期になると、帰宅後自分の部屋に入ってしまい、ただいまの挨拶をしない、親が気付かないうちに外出してしまったというようなことが起こるかもしれません。帰宅の際にも、外出の際にもリビングにいる家族に声をかける習慣を身につけさせることに加えて、リビング内に勉強できるスペースを設けるなどの間取りの工夫も大切です。
2階リビングのある家は階段の造り方、家族の自然なコミュニケーションに配慮した間取りによって安全で暮らしやい家にすることができます。何時までも快適に暮らせる家にすることを基本に、2階リビングの計画を進めていきましょう。
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。
そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。
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