床下エアコンを失敗しないためのポイントは?メリットについても詳しく解説

突然ですが、皆さんは“床下エアコン”についてどれほどご存じですか?

「興味はあるけどどんなものか分からない」という方も多くいらっしゃるでしょう。

そこでインターネットなどで色々と調べて見ると、“失敗”や“後悔”という言葉を見かけるかもしれません。

では、なぜ失敗だと感じる方がいらっしゃるのでしょうか?

また、それらの解決方法はないのでしょうか?

今回は、床下エアコンについて、失敗の原因からメリット、成功させるためのポイントまで、丸ごと解説します。

新築住宅の空調についてご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント
・床下エアコンを“失敗”と感じてしまう原因は、機器やシステムではなく住宅そのものにある場合がほとんどです。
・床下エアコンの空調効率を上げるためには、住宅の性能を上げなくてはいけません。
・私たち“蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所”は、「手作りの家づくり」をモットーに、設計事務所として培ったデザイン性と高性能を兼ね備えた住まいを提供させて頂いております。




目次




失敗と感じてしまう理由は?

床下エアコンは、20年ほど前に北海道でFFファンヒーターの温風を床下に送風するシステムから始まり、その後に本州の建築家や工務店が、ファンヒーターをエアコンに替えて、取り入れ始めた比較的歴史の浅い空調設備です。

そのため、初期にに設置された物は、当時はまだ発展途上のシステムで、住宅もそれを生かしきれる性能を持ち合わせていないケースが少なくありませんでした。

ですから、インターネットなどで床下エアコンを導入した方の感想を聞くと、ネガティブな意見があるのも事実です。

特に、下記の理由を挙げていることが多いです。

  • 冷房の効きが悪い
  • カビが気になる
  • シロアリ被害が出た
  • 電気代が上がった …


確かに、床下エアコンによってこれらの問題が発生することはない、とは言い切れません。

しかし、これらのトラブルの根底には、住宅の性能不足と、床下エアコンの使い方のまずさが大きく関係しています。

つまり、床下エアコンそのものの問題とは言えない場合が多いのです。

【関連コラム】
蓮見工務店|コラム|床下エアコンが失敗するケースと成功するケースの違い

施工事例





実はメリットが多い床下エアコン

床下エアコンは、その名の通り床下にエアコンの吹出口を設置して、家全体を暖房する空調設備です。

床下の空間を介して、家全体に暖かい空気を送るため、トイレや脱衣室も含め家全体の温度差がなくなります。

それ以外にもあまり知られていないメリットがありますので、ここではそれぞれ詳しく紹介していきましょう。


その① 床暖房と違って部屋全体の足元を温められる

足元を効率良く温める方法として床暖房が一般的ですが、こちらは暖房パネルが設置された範囲の床しか温まりません。

また、放射熱によって部屋全体を暖かくするためには、床面積の60%以上に設置しなくてはいけないというのが通説です。

一方、床下エアコンは床下の暖かい空気が、家全体の床を暖ためるため、場所による温度差がなく、部屋内どこにいてもほぼ同じ足元温度を保てます。


その② 室内の空気が汚れにくい

一般的な壁掛けエアコンや、天井埋め込み型のエアコンは、上部から下へ風を送るため、溜まった埃を舞い上げやすいというデメリットがあります。

一方で床下エアコンは、床下空間というクッションを介して空気を送りますので、その風速はとても緩やかで塵や埃を舞い上げるということが殆どありません。

そのため、ハウスダストアレルギーの方はもちろん、小さなお子さんがいるご家庭に特におすすめです。


その③ 気流が体に直接当たらない

床下エアコンは、暖かい空気を床下全体にいきわたらせ、床のガラリからゆっくりと室内に供給するシステムです。

ですので、お部屋にいても殆ど空気の流れを感じることはありません。壁掛エアコンでよく言われる、直接温風が当たって不快だといったことや、喉や肌の乾燥が気になる、といったことも殆どおこりません。

室内どこでも、場所を気にせずにくつろげます。


その④ メンテナンスが楽

壁掛けエアコンなどの高い場所にある空調機器と異なり、床下エアコンは踏み台なしで掃除やメンテナンスが可能です。

フィルター交換も一般的なエアコンと同じような作業なので、コツさえ掴めばどなたでも簡単に出来てしまいます。

また、簡単に手の届かない場所の掃除は、汚れが目につきにくい分どうしても疎かにしがちですが、床下エアコンなら埃の溜まり具合を小まめ確認しやすいですし、どなたでも安全にメンテナンスができるため、清潔に保ちやすいと言えるでしょう。


その⑤ 室外機が少なく省スペース

各部屋に設置するエアコンの場合、室外機は本体と同じ数だけ設置しなくてはいけません。

つまり、家の全室に付けるとなると、屋外が室外機だらけになるということです。

それに比べて、床下エアコンの室外機は1台、広い住宅でも2台で済む場合がほとんどです。

また、冷媒管が外壁のあちこちを這うこともありません。

そのため、庭やベランダのスペースを有効活用でき、外観もすっきりできます。


その⑥ インテリアのデザイン性を損ねない

こちらは、床下エアコンに限らず全館空調システムなどにも共通するメリットですが、壁掛けエアコンのように生活感のある機器が見えない点は大きなメリットです。

なせなら、せっかくこだわったインテリアデザインにしても、壁にエアコンが付いているだけで一気に生活感が漂ってしまうから。

床下エアコンは、床の隅にガラリと呼ばれる給排気口が見える程度で、大きな設備機器は視界に入りません。


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失敗しないためのポイントは?

魅力いっぱいの床下エアコンですが、実際に失敗と感じる方がいることから、ただ単に取り付けただけではその効果を実感できなかったり、逆に不具合を招いてしまう可能性すら否めません。

そこで、ここでは失敗しないためのポイントを4つ紹介します。


その① ベタ基礎と基礎断熱

先ほどもお話しした通り、床下エアコンは床下空間に温風を吹き出して、家全体を温める空調に利用します。

つまり、基礎から外に熱が逃げてしまったり、床下空間にすきま風が入ってきては、効果が半減してしまいます。

ですから、床下エアコンを設置する場合はベタ基礎(床下全体を鉄筋コンクリートにする工法)にするのが一般的で、さらに基礎断熱を施す必要があります。

ベタ基礎の施工では、耐圧版という平面部と立上りの部分を2回に分けてコンクリートを打つのが一般的です。この打継部分から水や湿気、白蟻が浸入してくるリスクが大きいので、打継部分には専用のコーキングや防蟻コーキングを施工することをお勧めします。

その② 高気密高断熱住宅にする

基礎断熱は、床下エアコンを採用する場合は必須ですが、家そのものの気密性・断熱性を高めることも重要です。

数値的には断熱等級6(Ⅵ地域でUA値0.46)以上の性能と、C値0.5前後の気密性能が必要です。

なぜなら、床下エアコンは全館連続暖房になりますので、従来の部分間欠暖房に比べ、空調するエリアと運転時間が多くなります。国が基準としている、断熱等級4の建物を部分間欠暖房するのと同程度の光熱費で床下エアコンによる全館連続暖房をする場合、断熱等級6とC値0.5前後の気密性能が求められるのです。


その③ 24時間換気の徹底

床下エアコンに限ったことではありませんが、空調機器を長時間付け続ければ、室内空気はどうしても乾燥してしまいます。

しかし、加湿器をつけると結露やカビが心配という方も多いはずです。

そこでおすすめなのが、「24時間換気の徹底」。

現行の建築基準法では新築住宅へ設置が義務付けられていますが、一般の方の中には電気代が気になるからと電源を切ってしまう方も少なくありません。

しかし、24時間換気によって適度に室内の空気を攪拌させることで、空気(水蒸気)が滞留するのを防ぐことが出来ます。そうすれば安心して加湿器を使うことも出来ます。

埼玉の冬場の外気に含まれる水蒸気量は、3.5g/㎥ほどです。適度な室内環境に必要な水蒸気量は、8g/㎥くらいです。基準法で義務付けされている24時間換気の量は、1時間当たり室内の空気を0.5回以上入れ替える量です。

室内の体積を300㎥とすると、必要換気量は150㎥になりますので、一時間当たり(8-3.5)✕150=675gの加湿が必要になる計算です。キッチンや浴室そして、人体からも水蒸気は発生するので、そのあたりを差し引いても一日で8~10ℓほど加湿は必要になります。冬における適正な加湿量は、思いのほか多いということがお分かりいただけたでしょうか。

そこでおすすめなのが「第一種全熱交換型の換気設備」です。一般的に、給気を自然換気・排気を機械排気とする「第三種換気」を導入しているケースが多いのですが、給排気を同時に行う「第一種換気」では、排気によって出て行ってしまう温度と湿度を、全熱交換気で回収し導入空気に付加して室内に給気することが出来るのです
(参考:Panasonic|気調換気扇(熱交換器形)

第三種換気
引用:Panasonic
第一種換気
引用:Panasonic


熱交換器には、資料のような顕熱(空気の温度)交換器と、潜熱(水蒸気のエネルギー)も交換できる全熱交換器があり、加湿量の負担を軽減するには、全熱交換タイプの第一種換気設備が有効になります。

ただ全熱交換器の場合、水蒸気と共に臭気も回収してしまうといった懸念もあるので、使用する場所などで使い分ける必要もあります。


その④ 小屋裏エアコンと併用も

床下エアコンは基本的に暖房専用の空調設備なので、夏場の冷房に関しては別途対策が必要になります。

床下エアコンのように一台のエアコンで全館連続冷房をと、お考えの場合には小屋裏エアコンとの併用がおすすめ。

こちらも床下エアコンと同じ原理で、小屋裏(天井裏)空間を介して冷房した空気を室内へ送り込むシステムです。

冷気は上から下へ移動するため、冷房については小屋裏エアコンの方が効率的です。

床下エアコンで冷房もと、お考えになる方も多いかと思いますが、ご存じの通り冷たい空気は重いので、家全体に冷やした空気を行きわたらせるのは難しいのです。また床下を冷やした場合、冷え性の女性や下肢に障害をお持ちの方には、悪影響を及ぼす恐れもあります。

それと、エアコンを運転中は除湿された空気が吹き出されるので、結露の心配はさほど無いのですが、頻繁にオン・オフするような使い方をされる場合、冷房を止めたタイミングで湿った空気が冷えた床下に入り込むと、結露するリスクが出てきますので注意が必要です。

床下エアコンは基本的に暖房専用として、冷房用のエアコンが故障したときなどに限って、冷房としても使うという位置づけがお勧めです。

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床下エアコンのある家は実績のある工務店・設計事務所に

床下エアコンは、機種本体の性能だけではなく、住宅性能もその効果を大きく左右します。

慣れていない会社に依頼すれば、期待通りにいかないだけではなく、結露などのトラブルを招きかねません。

ですから、床下エアコンをご検討中の方は、建築的知識と施工実績が豊富な会社へ相談しましょう。

「蓮見工務店」は、設計事務所としての経験や知識を踏まえ、お客様に心から安心していただける住まいづくりを徹底しております。

また、常に最新技術にも目を向け、その時に出来うる限りの提案をさせていただきます。

私たちが“年間限定6棟宣言”をしているのは、お客様ひとりひとりと真正面に向き合っていたいから。

デザイン性と性能、快適さの全てを持ち合わせた家を埼玉県で建てたい方は、ぜひ「蓮見工務店」までお問合せください。


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蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、そして設計事務所として培ってきたデザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 

「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築をご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、木にしか出せない香り、温かみのある手触り」や「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、パッシブデザインの良さ」を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。





監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

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