【施工事例写真】和室の8つのメリットと4つのデメリット|洋室との違いについても
一時期、和室のない家が増えましたが、最近はその魅力が見直され、洋風住宅に取り入れられる事例が増えています。
しかし、一方で「和室はやめたほうがいい・いらない」などの意見を見かけることもあるでしょう。
そこで、和室のメリットとデメリットを詳しく解説します。
“蓮見工務店”の施工事例写真を交えて、和室を間取りに取り入れる際のポイントも紹介しますので、これからマイホームのプランを検討する方は、ぜひ参考にしてください。
・快適に使える和室にするためには、気をつけなくてはいけない注意点があります。
・私たち“蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所”は、「手作りの家づくり」をモットーに、設計事務所として培ったデザイン力と技術力を活かして、高性能な住まいを提供しております。
目次
和室“8つ”のメリット
和室は、日本における住宅の歴史において欠かせない空間でした。
しかし、生活様式が洋風へ変化するにつれて、「必要ない」「その分リビングを広くしたい」などと考えて、和室を作らないケースが増えているのが現実です。
しかし、実は欧米の住宅でも和室の美しさや機能性が注目され、 “ジャパンディ”という和洋折衷なインテリアデザインがトレンドになっています。
では、改めて和室の魅力について詳しく見てみましょう。
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使い道がフレキシブル
和室は、床座を前提とした空間なので、ソファやチェアを置かないのが通常です。
そのため、シーンによって色々な使い方ができます。
例えば、大勢が集まった時には食事をすることもできますし、その後、座卓をどかせば寝る場所としても使えます。
そのため、住宅に一室設けると、使い勝手の良い空間になるのです。
家具がなくてもくつろげる
和室は、家具を一切置かなくても、リラックススペースとして活用できます。
座ったり寝転んだりと、人ぞれぞれ違うくつろぎ方ができるのです。
一方、洋室はソファやチェア、ラグがないと床に座ってリラックスできません。
調湿性がある
和室は古くから、畳・漆喰などの調湿性のある材料が取り入れられてきました。
最近、自然素材を内装に使う住宅が増えていますが、木質フローリングと畳の調湿効果は大きく異なります。
天然イ草の吸湿能力(畳1帖分)は「約500ml」、ワラ床と組み合わせると、6畳で「約3ℓ」程度の湿気を吸い取ると言われています。
乾燥した時期には、それを放出して適度な湿度に調節できるため、まさに天然の“調湿機”と言えるでしょう。
奥行きの深い押入れを併設しやすい
洋室に付属するクローゼットの内部寸法が45〜60cmに対して、和室に設ける押入れの奥行きは75cm程度が基本。
なぜなら、クローゼットと押入れでは用途が異なるからです。
クローゼットにはハンガーパイプなどを設置して洋服をしまいますが、押し入れは座布団や布団を収納することを前提としています。
そのため、普段使わない季節限定のものや、アウトドア用品など大きなものを収納する場所として活用する方が多いです。
畳(イ草)香りでリラックスできる
床に直接座ったり寝転んだりしてくつろげるのはもちろんですが、イ草の香りによって高いリラックス効果が得られる点も重要なポイントです。
特に、木の香り成分と同じ「フィトンチッド」には、自律神経の安定や、高血圧改善、不眠解消など幅広い効果が期待できます。(参考:林野庁|畳の部屋の リラックス効果)
ただし、匂いが通気量や日当たりによって揮発スピードが異なるので、どのくらい効能が継続するかはお宅によってそれぞれです。
畳の床は子供・高齢者でも安心
畳は適度な硬さで、耐衝撃性も高いため、転倒しても怪我のリスクを抑えられます。
そのため、小さなお子さん・ご高齢の方でも安心です。
発育期のお子さんが素足で畳を歩くと、バランス感覚を養うのに効果的であるという研究データもあるほど。
実際に和室のある家で子育てされた方の感想を聞くと、おむつ替えやお昼寝の時に便利というお話もよく聞きます。
ただし、リーズナブルなインシュレーションボードを芯材とした畳では少々踏み心地が硬いため、柔らかさを求める方には、天然ワラ床の畳がおすすめです。
足音が響きにくい
畳の材料であるイ草の断面を見てみると、細かな空気孔が多く、それによって高い吸音性があります。
ワラ床の畳ですと、さらに音を吸収するため、階下などへの足音がかなり軽減できます。
その性能は、固体伝播音を表すL値に換算すると、防音フローリングにも匹敵する「L-50(足音が小さく聞こえる程度)」程度とも言われるほどです。
1階に配置すると床下の冷気をシャットダウンできる
畳には高い断熱性があるため、1階に配置すれば床下から伝わる冷気をシャットダウンできます。
そのため、和室で床に直接座ったり寝転んだりしても、ほとんど下からの寒さは感じないはずです。
ただし、家の気密性が低ければ、畳下の床(荒床)の外周より冷気が入ってくる可能性があるため、畳だけでは寒さを防ぎきれません。
床下断熱を含めた高気密高断熱住宅にすることが重要です。
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天井裏点検口・床下点検口の役割を果たす
家の寿命を延ばすために欠かせないのが「定期点検」ですが、和室は点検口としての役割も果たします。
押入れの天袋天井を外せば、2階の床下もしくは天井裏が除けますし、畳下の床板を一部外せるようにすれば、床下点検口として使えるのです。
そのため、インテリアを損ねる点検口フレームを床や天井に設置する必要はありません。
また、万が一メンテンナンス工事が必要になっても、内装補修を最小限に抑えられます。
和室“4つ”のデメリット・注意点
和室は私たちの生活にいくつものメリットをもたらしますが、一方で住宅に取り入れる際に知っておくべき注意点もあります。
お住まいのプランを検討する際は、デメリットへの対策をとっておきましょう。
カビ・ダニ対策が必須
吸湿力の高い畳は、そのままですとカビやダニの温床になってしまいます。
和室にあまり家具を置かない方がいいのは、湿気対策のためでもあるのです。
カビが生息・繁殖するためには、「湿度80%」が必要で、ダニは「湿度60〜80%」の環境を好みます。
そのため、湿気が特に気になる場所は、十分な換気設備を整え、一階でしたら床下に調湿材を敷きましょう。
機械換気を取り入れた24時間換気システムを導入すれば、シックハウス症候群の予防にもなります。
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畳・障子・襖の張り替えが必要
和室に欠かせない畳・障子・襖をきれいに保つためには、定期的な張り替えが必要です。
仕様にもよりますが、洋室よりもメンテナンス費用を抑えられる可能性があります。
〈必要な内装メンテナンス〉 | 〈周期〉 | 〈費用目安〉 |
---|---|---|
畳(表替え) | 5〜10年 | 20,000〜80,000円 ※6帖間 |
畳(床ごとの交換) | 10〜15年 | 45,000〜120,000円 ※6帖間 |
障子張り替え | 2〜5年 | 3,000円〜5,000円/枚 |
襖張り替え | 5〜10年 | 3,000円〜8,000円/枚 |
木質フローリング張り替え | 15〜20年 | 150,000〜200,000円 ※6帖間 |
クッションフロア張り替え | 5〜10年 | 30,000〜60,000円 ※6帖間 |
壁ビニルクロス張り替え | 10〜15年 | 40,000〜80,000円 ※6帖間 |
大型家具を置きづらい
畳敷きの和室は、なかなか簡単には動かせない大型家具を置くと、湿気でカビ・ダニが発生し、畳が凹んでしまいます。
また、真壁(柱などが見える壁)ですと、家具を壁に隙間なく置けないケースが多いですし、襖や障子が多ければ、そもそも壁面が少なく、配置しづらいでしょう。
これらの観点から、和室にはあまり家具を置きすぎないようにするのがおすすめです。
家具を置かないことで、メリットであるフレキシビリティ(可変性)を保てます。
足腰が悪いと使いづらい可能性がある
足腰が悪い方ですと、床座の生活や布団で休むことが難しいかもしれません。
ベッドや椅子座の方が、床から距離があり、力を入れなくても立ち座りがしやすいからです。
また、布団・座布団に足を取られて転倒するリスクもあります。
介護者にとっても、床近くまで被介護者を支えなくてはいけないため、負担が大きいです。
そこでおすすめなのが、小上がりスタイルの和室。
ベンチのように段差へ腰掛けられます。
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洋室との違いは?
和室と洋室の最も大きな違いは、「床座」か「椅子座」かどうかです。
どちらを選ぶかによって、空間の特性は異なります。
・家具を置く必要が低いため、掃除がしやすく衛生的。
・立ち座りに力が必要。
・家具をどかしながら掃除しなくてはいけない。
・立ち座りが楽。
それぞれのデメリットは、設計デザインで解消することができます。
- 家具は造作家具(造り付け)家具をメインとして、掃除しやすくする。
- 和室は小上がりタイプにして立ち座りを楽にする。
- 薄い敷き畳を使って、洋室の一部を床座スペースにする。
これらは、あくまでも一例ですが、和室・洋室それぞれの欠点を解消できるかどうかは、設計士の手腕にかかっていると言っても過言ではありません。
まずは、和室のメリット・デメリットを知り、気になる点を解消できるプランを提案してもらいましょう。
和室を取り入れる場合のポイント
間取りを検討する際、どこに和室を取り入れるのかによってポイントが異なります。
まずは、それぞれの部屋をどのように使いたいかを検討して、和室にするべきかどうかをイメージしてみてください。
リビング
リビングとして和室を使う場合におすすめなのが、「小上がり」のスタイルです。
洋式のダイニングキッチンと連続して配置しても違和感がなく、床レベルの違いで緩やかに空間を区切れます。
また、小上がりの床下を大容量の収納として活用できる点もポイントです。
小さなお子さんの遊び場やお昼寝スペースとしても人気で、ご両親が様子を見守りながらキッチンで家事をすることもできます。
段差ができると掘り炬燵を設けることもできるため、より魅力的なくつろぎ空間になるはずです。
引き戸を付けて、個室として使えるようにしておけば、シチュエーションに合わせて、客間や仕事場などにも使えます。
フローリングエリアのホコリが、床座空間である和室に入りづらい点もメリットと言えるでしょう。
寝室
最近は、洋風住宅でも寝室だけ和室にするという事例が増えています。
リビングと同様に、寝室の一角を小上がりにして、畳仕上げの造作ベットとして使うのもおすすめです。
将来的に介護が必要になることを想定すると、小上がりスタイルにしておけば、全面的に洋室へリノベーションする際のコストを抑えられます。
客間
限られた時間しか使わない客間だからこそ、使い方の自由度が高い和室をおすすめします。
2人分の布団が敷けて、座卓でくつろげるようにするためには、四畳半程度の広さが必要です。
布団をしまえる押入れを併設すれば、普段はご家族のリラックススペースとして使えます。
ただし、家族の生活動線と離れた場所に配置すると、「いつのまにか納戸になってしまう」ケースは少なくありません。
来客時以外にも使える部屋にするためには、家族の通り道に配置することがポイントです。
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【純和風から和モダンまで】住宅の外観デザインを決める際のポイントは?
“和室”のあるマイホームづくりは実績のある工務店・設計事務所に
和室の設計には、専門的な知識と経験が欠かせません。
ただ洋風住宅の一角に和室を付け足すだけでは、調和のとれた快適な住まいにはならないからです。
住まいに欠かせない要素は、4つあります。
- 長寿命で高耐久な構造計画
- 機能的で無駄のない動線を踏まえた間取り計画
- 温もりや居心地の良さを感じられる内装デザイン
- 住む人の健康を維持するための材料・設備選び
その全てを兼ね備えた住宅づくりは、設計事務所の設計力だけでも工務店の施工力だけでも叶いません。
「長く安心して住み続けられる住宅にしたい」という方は、丁寧に要望に耳を傾け、専門的な知識を踏まえたプランを提案してくれる設計者や施工会社に相談しましょう。
私たち蓮見工務店は、設計事務所としての経験や知識を踏まえ、お客様に心から安心していただける住まいづくりを徹底しております。
また、常に最新技術にも目を向け、その時に出来うる限りのご提案をさせていただきます。
私たちが“年間限定6棟宣言”をしているのは、お客様ひとりひとりと真正面に向き合っていきたいから。
デザインと性能、快適さの全てを持ち合わせた家を埼玉県で建てたい方・リフォームしたい方は、ぜひ「蓮見工務店」までお問合せください。
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、そして設計事務所として培ってきたデザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」
「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、全てのバランスで実現できます。
そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、お客様の一棟に全力を注いでまいります。
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ぜひ、お気軽にお問い合わせ下さい。