〈SNS・ブログから学ぶ〉“スキップフロア”を後悔しないために重要な12のポイントと事例を紹介
スキップフロアのある家は、個性的で使いやすそうに感じますが、SNSやブログを見ると住み始めてから後悔している方もいます。
そこで、今回はスキップフロアを後悔しがちな理由と、その対策ポイントを紹介します。
スキップフロアの魅力について事例写真を交えてお話ししますので、ご自宅の間取りを検討中の方はぜひ参考にしてください。
・「スキップフロア」は、特に構造計画の知識が必要となるため、実績のある建築会社へ相談しましょう。
・私たち“蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所”は、「手作りの家」をモットーに、設計事務所として培ったデザイン力と技術力を活かして、スキップフロアを取り入れた住宅を数多く手がけた実績があります。
目次
- スキップフロアの失敗例は?後悔してしまう理由
- スキップフロアを取り入れる際のポイント
- “スキップフロア”の魅力やメリット
- “スキップフロア”のある家は実績のある工務店・設計事務所に
- 蓮見工務店の家づくりへの想い
スキップフロアの失敗例は?後悔してしまう理由
スキップフロアを取り入れる住宅は増えていますが、残念ながら住み始めてみて不便さを感じてしまう方もいます。
では、どのような点を“後悔”と感じてしまうのでしょうか。
ここでは、SNSやブログから、よくある理由を紹介します。
- 天井が高めで間仕切りが少ないので、空調が効きにくい(大型エアコンが必要)
- 段差でつまづく
- 床が分断されて大型家具が置きづらい
- 掃除しにくい
- 建築コストが思ったよりかかった
- うまく使いこなせない(見た目がオシャレなので採用したが、結局あまり活用できていない)
- 匂いや音が広がる
- 窓の位置が微妙で気になる
- 老後が心配
- 固定資産税が安くなるという情報を聞いたが、そうでもない
- 「耐震性が弱い」と後から言われてしまった
これらの大半は、事前にポイントを知っておけば避けられたかもしれません。
スキップフロアは住宅において、一種のトレンドワードになっていますが、特殊な間取りだからこそ、じっくり検討することが重要です。
間取りを検討する際は、ポイントを押さえてご自身のライフスタイルと合うか改めてチェックしてみましょう。
スキップフロアを取り入れる際のポイント
スキップフロアとは、フロアの高さをずらして中間層を設ける設計手法です。
昔ながらの「小上がり」や、最近トレンドの「ステップダウンフロア」、「ダウンフロアリビング」、「中二階」もその一種です。
立体的に空間を分けられる点が特徴です。
では、スキップフロアを後悔しないために検討すべきポイントを紹介します。
「高気密高断熱仕様にする」
スキップフロアは、空間を間仕切り壁で区切るのではなくレベル差で分けるため、ひと続きの大空間となりがちです。
そのため、そのままではエアコンなどが効きづらいと感じてしまうケースもあるのです。
スキップフロアを採用する場合は、高気密高断熱仕様であることが欠かせません。
外気温の影響を受けにくくすることで、空調の効率も効果的に上げることが出来ます。
HEAT20(一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)の提唱するG2クラスの断熱性を備えれば、一般的な2階建て戸建住宅でも14畳用エアコンで全館空調が可能となります。
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「コストがかかるので使用目的や必要性を明確にする」
スキップフロアのある家は、構造計算が複雑で建設費はフラットな床より割高です。
そのため、スキップフロアの事例を見て、「おしゃれ」「なんとなく便利そう」と考え、ご自宅へ採用するのはあまりおすすめできません。
インターネットには「住み始めるとあまり使わない」という感想も見かけるため、スキップフロアを間取りに取り入れる際は、「何をするための場所にするのか」、「本当に必要なのか」を慎重に検討することをおすすめします。
「造作家具を取り入れる」
スキップフロアは、床を細分化して区切るため、大型家具を配置しづらくなる可能性があります。
そのため、事前に空間用途を決めて置きたい家具のサイズに合わせてプランニングするか、造作家具を採用するのがおすすめです。
造作家具でしたら、空間に合わせて設計・製作するため、デッドスペースができずスペースを無駄なく活用できます。
段差を利用した収納にする事例も多いです。
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“造作家具”のメリット・デメリットとは?設計事務所が考え方のポイントを詳しく解説
「計画的な換気が行えるようにする」
スキップフロアをLDKに取り入れる際には、匂い対策が欠かせません。
有効なのは、機械換気を取り入れた24時間換気システムを採用する方法です。
2003年の建築基準法改正以降、24時間換気の設置は全ての建物へ義務化されていますが、その方法までは決められていません。
そのため、第一種から第三種まで、どの換気方式を用いても良いことになっています。
空間が連続的になりがちなスキップフロアでは、確実に換気性能を確保できる換気計画が必要です。
確実に空気を入れ替えるために、給気/排気ともに換気扇で行う「第一種換気」を採用しましょう。
「プライベートな空間と分ける」
「音や声がうるさい」と後悔する原因は、プライベートな空間と家族の空間を混ぜて配置していることにあります。
LDKに面したスキップフロアを寝室や書斎にすると、家族構成によっては音が気になってしまいますよね。
静かに過ごしたい寝室などは、スキップフロアと離れた場所に配置することをおすすめします。
「段差にこだわる」
内閣府の調査によると、ご高齢な方が自宅内で転倒しやすい場所は、大きな段差のない「居間・茶の間・リビング」が20.5%と最も多いことが分かっています。(参考:内閣府|平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果)
これは、階段での転倒事故(13.8%)よりも大きい数値で、“ほとんど段差のない場所”ほど危険ということを示しています。
転倒事故のリスクを抑えるために、フラットな場所と段差がある場所の床材を分けるなど、視覚的に分かりやすくするのがポイントです。
また、段差の高さを30~40cm程度にすると、ベンチのように腰掛けやすく、上り下りが大変な方でも空間を行き来しやすくなります。
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「窓の設置高さを検討する」
スキップフロアを採用する際に難しくなるのが、窓の設置高さです。
1階の床レベルだとバランスが良く見えても、小上がりにすると違和感を感じるという方もいます。
一般的な腰窓・掃き出し窓だけではなく、ハイサイドライト(高窓)と組み合わせたり、小上がりにローサイドライト(地窓)を取り付けるなどの工夫が必要です。
窓を設置しにくい場所は、吹き抜けやオープン階段と組み合わせ、上階から光や風を取り入れる方法もあります。
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「老後が心配な場合はサブ的空間に」
「足腰が不自由になると不便になるのでは」と心配な方は、スキップフロア部分を客間などのサブ的な空間として利用しましょう。
ただし、バリアフリーを意識するあまり、それほど使わない場所をスキップフロアにしたり、全ての段差にスロープをつけたりすると、体を動かさない要因となり、足腰が弱くなる恐れがあります。
老後も無理のない範囲で段差を上り下りすることで、適度に身体へ負荷をかけて足腰を鍛えることも重要です。
将来、上り下りが大変になった時に別の用途でスキップフロアの空間を活用できるよう、可変性のある場所にしておくことをおすすめします。
「固定資産税が安くなるとは限らない」
インターネットなどで調べると「スキップフロアのある家は固定資産税が安くなる」という情報を見かけますが、そうとも言い切れません。
安くなると言われる根拠は、スキップフロア部分の天井高さが1.4m以下で、面積が設置されている空間の1/2未満であれば、床面積に含まれないことが多いためです。
ただし、これはあくまでも建築基準法上の規定であり、固定資産税を算出する上の審査基準とは異なります。
つまり、建築基準法を遵守しているかをチェックする建築確認とは、全く別物です。
自治体によってスキップフロアを床面積に含めるかどうかは判断が分かれますし、審査時の補正項目(再建築費評点数)によっては資産価値が高いとみなされ、固定資産税が高くなる可能性もゼロではありません。
そのため、固定資産税を安くする目的でスキップフロアを採用するのは、リスクがあります。
スキップフロアが固定資産税額に影響するかどうか知りたい方は、事前に自治体や管轄の税務署へ確認してください。
「床を上げるのではなく下げる方法も」
スキップフロアと聞くと、小上がりやロフトなど標準の床レベルから上げる方法を思い浮かべるかもしれませんが、最近は、床を下げる方法も人気です。
ステップダウンリビング(ダウンフロアリビング)が代表的で、空間の一部を一段下げることで、“こもり感”がプラスされます。
LDKなどいくつかの行為を行う空間において、間仕切り壁を設けずとも、緩やかにゾーニングできる点がポイントです。
「平屋と相性がいい」
平屋建て住宅は、天井高を高くしても高さ制限や斜線規制に抵触しにくいため、スキップフロアと相性が良いとされています。
2階建て住宅へスキップフロアを採用する場合は、階段の踊り場を広くしてスタディーコーナーにしたり、吹抜スペースに配置したりすると、天井高の問題を解消しやすいです。
「スキップフロアのある家の耐震設計は難しい」
スキップフロアは、耐震性を高めるための構造計算が難しくなります。
なぜなら、構造計画上、水平構面(床や屋根など横向きの構造面)が連続することで、変形を防ぐからです。
スキップフロアにすると、構造計算が複雑になり、構造計画上の工夫をしなければいけなくなる可能性は否めません。
構造計算や施工のコストを抑えたい方は、小上がりなど基準となる床レベルの上に別の床を造作する方法を選びましょう。
また、住宅構造の知識や経験が豊富な設計事務所・建築会社へ相談することも重要なポイントです。
“スキップフロア”の魅力やメリット
スキップフロアは、構造面やコスト面から段差高さなどのディテールまで、十分な検討が必要ですが、間取りに取り入れると、住まいがより一層豊かで魅力的になります。
メリットとポイントの両方を踏まえ、あなたの暮らしにプラスの効果をもたらすか、じっくり検討してください。
・間仕切りや廊下が減らせるので、空間をフル活用でき、採光や通風を各空間に取り入れやすい
・段差を利用して収納スペースを増やせる
・傾斜地の場合、土地の特性を生かしたプランニングができる
・間仕切り壁を作らなくても、視線のレベル差で緩やかに空間を分けられる
・狭い土地でも開放的な家にしやすい
・インテリアデザインが個性的になる
“スキップフロア”のある家は実績のある工務店・設計事務所に
後悔のない住まいづくりを実現させるためには、4つの要素を備える建設会社へ相談することがポイントです。
- 長寿命で高耐久な構造計画
- 機能的で無駄のない動線を踏まえた間取り計画
- 温もりや居心地の良さを感じられる内装デザイン
- 住む人の健康を維持するための材料・設備選び
その全てを兼ね備えた住宅づくりは、設計事務所の設計力だけでも工務店の施工力だけでも叶いません。
「長く安心して住み続けられる住宅にしたい」という方は、丁寧に要望に耳を傾け、専門的な知識を踏まえたプランを提案してくれる設計者や施工会社に相談しましょう。
私たち蓮見工務店は、設計事務所としての経験や知識を踏まえ、お客様に心から安心していただける住まいづくりを徹底しております。
また、常に最新技術にも目を向け、その時に出来うる限りのご提案をさせていただきます。
私たちが“年間限定6棟宣言”をしているのは、お客様ひとりひとりと真正面に向き合っていきたいから。
デザインと性能、快適さの全てを持ち合わせた家を埼玉県で建てたい方・リフォームしたい方は、ぜひ「蓮見工務店」までお問合せください。
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、そして設計事務所として培ってきたデザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」
「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、全てのバランスで実現できます。
そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、お客様の一棟に全力を注いでまいります。
注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築をご検討中の方は、これまでに携わったお宅をご見学ください。
「木造住宅の視覚的な心地よさ、木にしか出せない香り、温かみのある手触り」や「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、パッシブデザインの良さ」を感じて頂けるはずです。
ぜひ、お気軽にお問い合わせ下さい。