【建築士解説】“リビング学習”は狭い間取りでも実現できる?メリット・デメリットと間取りポイント
「リビング学習を取り入れたいが、どんなスペースを用意すればいいか分からない」
「子供が集中して学習できる空間を用意したい」
そうお考えの方へ、「リビング学習」のメリットや注意点、間取りのポイントを建築士が解説します。
私たち“蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所”の施工事例写真を交えてお話ししますので、ご自宅の新築・リノベーションを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
● リビング学習を取り入れたい方は、お子さんの学習に適した環境を整えてあげることが重要です。
● 私たち“蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所”は、「手作りの家」をモットーに、設計事務所として培ったデザイン力と技術力を活かして、お客様のご要望を叶えた住宅を数多く手がけた実績があります。
目次
- “リビング学習”が増えている理由はメリットが多いから
- リビング学習はどんな間取りでも上手くいくとは限らない!デメリットや注意点
- リビング学習の効果を高めるためのおすすめ“間取りポイント”|必要なスペースや設え
- リビング学習ができる住まいの建設は実績のある工務店・設計事務所に
- 蓮見工務店の家づくりへの想い
“リビング学習”が増えている理由はメリットが多いから
「リビング学習で学力が上がる」「勉強が楽しくなる」というような話は、多くの人に知れ渡っているでしょう。
アンケートによると、お子さんが「リビングやダイニングで勉強している」と回答した人は全体の「72.8%」で、低学年ほどその傾向が強く、対象を小学1〜2年生に限ると「82.0%」にまで上ります。(参考:小学館|小学生白書)
ここまでリビング学習が浸透している理由は、多くのメリットがあるからです。
- ひとりでいると寂しさを感じやすい小さい子供でも、安心して勉強できる
- 「勉強=孤独」というイメージが定着しにくい
- 自室より気が散らない
- 親子間のコミュニケーションが増える
- 家事をしながら子どもの勉強を見守れる
- 学習量を管理しやすく、学習の進み具合や得意・不得意がわかる
- 子どもの質問へすぐに答えられる
- 親の視線を感じながら、適度な緊張感の中で集中して勉強できる
- 遊ぶ場所と勉強する場所を自ら使い分けられるようになる
- 光熱費が節約できる
- 個室に机を置かなくても良いため、最小限のスペースにできる
- リビング学習用のスペースを、親の作業スペースや仕事場としても活用できる
ご家庭によってメリットは異なるものの、教育的にも空間的にも無駄がなくなり、効率よく学習が進められる点は間違いないでしょう。
そのため、お子さんの年齢問わず、リビング学習用のスペースを間取りへ取り入れたい方が増えています。
リビング学習はどんな間取りでも上手くいくとは限らない!デメリットや注意点
「リビング学習」には多角的なメリットがありますが、単にリビングの一部でお子さんに勉強させるだけでは、学力・集中力の向上に繋がりません。
逆に、親子でストレスが溜まってしまうリスクすらあるのです。
リビング学習を前提とした住まいづくりをする際は、必ずデメリットや注意点も知っておきましょう。
- 子供の学習空間と家族のリラックス空間分けないと、お互いに居心地が悪くなる可能性がある(テレビを見るシーンなど)
- 親子間のコミュニケーションの機会が増える一方で、過干渉になって喧嘩や叱ることが増える
- 中学年以上になると、常に見張られている環境で勉強したがらなくなる子供もいる
- リビングが片付いていないと、気が散って学習に集中できない
- ダイニングテーブルで学習させると、ダラダラと勉強しがちになる
- 学習の道具や教科書をリビングに置いたままにすると、生活感が出て雑然としてしまう(急な来客時に焦る)
- 分からないところをすぐに聞ける環境であるが故に、親に勉強を頼り過ぎる可能性がある
- 勉強専用の環境ではないため、姿勢や視力を害する心配がある
このように、間取りや環境によってはお子さん本人だけではなく、家族まで居心地の悪いリビングになるリスクがあるのです。
テレビが置いてあり外の様子が窓から見えるリビングにおいては、気が散って学習に集中できないお子さんも少なくありません。
実際に、家での学習時に集中できないことが「よくある」「ときどきある」と答えた子供のうち、「気が散るものが周りにあるから」と答えた子供は「64.6%」にも上るというアンケート結果も出ています。(参考:小学館|小学生白書)
つまり、リビング学習の効果を高めるためには、お子さんが集中できる環境を作ってあげることが重要なのです。
リビング学習の効果を高めるためのおすすめ“間取りポイント”|必要なスペースや設え
リビング学習の効果を高めるためには、お子さんの集中できる環境を整え、さらにご家族にも負担にならない空間構成や設えが必要です。
ここでは、主な10の間取りポイントを紹介しますので、ぜに間取りを検討する際に取り入れてみてください。
学習スペースは最低でも半畳は確保する
学校の普通教室にある机の天板サイズは、JIS規格によって定められている「幅65cm × 奥行き45cm以上」が標準です。(参考:文部科学省|木製家具の基本機能と維持管理について)
これを一つの目安として、学習できるスペースを普通教室の机以上のサイズを確保してあげると良いでしょう。
幅65cm × 奥行き45cm以上の机と、さらに椅子を置くと、最低でも半畳程度のスペースが必要です。
その周りに人が通るための空間が必要となるため、正味1畳ほどのスペースがあると、ゆとりある学習スペースとなります。
狭いリビングでも学習環境を整える
「うちはリビングが狭いからリビング学習はさせられない」と諦めるのは早いです。
また、学習スペースが確保できないからといって、家族がくつろいでいたり食事をしたりする横でお子さんに勉強させても、あまり効果は期待できません。
リビングのスペースが限られている場合は、ご家族の協力が欠かせません。
朝食前に学習させるなど、時間帯を考慮すると良いでしょう。
また、最小限のスペースでも、食事の場所と勉強の場所を分けてあげると、気持ちが切り替えられて短時間集中して勉強できるようになるはすです。
最近は、リビングの一角にコンパクトな造作カウンターを設けて、お子さんの勉強スペース兼大人のパソコンスペースとする事例が増えています。
子供の視界に気が散るものがないように工夫する
視界にテレビやおもちゃ、窓があると、どうしても気が散ってしまいます。
また、出入り口に近いと人が出入りする度に集中力が途切れてしまうことも懸念されるでしょう。
そのため、できるだけ視界に興味が散るような要素を入れないことがポイントです。
ただし、リビングの出入り口へ完全に背を向けてしまうと、人の気配が気になって振り返ることも考えられます。
そのため、少し視線をずらせば人の出入りが確認できる場所がベストです。
親子で一緒に勉強できるようにする
小さいお子さんにリビング学習させる場合は、親も一緒に勉強する姿を見せることで、学習意欲が高まると言われています。
親子で並んで学習・作業ができるカウンターを設けたり、家事スペースの一部を学習スペースにしたりするのがおすすめです。
2人分の広さを確保しておけば、お子さんが大きくなっても活用できますし、勉強しない時には趣味スペースとしても利用しやすいですよね。
ただし、隣で大人がパソコンなどを操作していると気になる子もいるため、使い方やレイアウトはじっくり検討してください。
空間の用途を分けてゾーニングする
LDKの中で、勉強する場所・くつろぐ場所・食事をする場所をできるだけはっきりと分けると、より学習に身が入ります。
なぜなら、子供を集中させるためには、“気持ちの切り替え”が必要なためです。
スペースに余裕があれば、小上がりやスキップフロアを取り入れて、緩やかに空間を分ける間取りにしてみましょう。
子供の学習スペース以外に、大人がくつろぐ場所としても人気が高まっています。
スペースが限られている場合は、床レベルや間仕切り壁で空間を分けるのではなく、造作家具や格子を用いて、ゾーニングしてください。
狭いリビングでも圧迫感を解消できます。
〈おすすめコラム〉
“造作家具”のメリット・デメリットとは?設計事務所が考え方のポイントを詳しく解説
勉強道具の収納場所を確保する
リビング学習でよくありがちなのが、文房具などの勉強道具が乱雑に置かれて、リビング全体が落ち着かない印象になるケースです。
また、せっかくインテリアにこだわったにもかかわらず、壁に学習用ポスターを貼っているご家庭も見かけます。
一時的でしたら良いのですが、それが常態化すると、急な来客の際に慌ててしまうかもしれません。
生活感がなくすっきりとしたリビングを保ちたい方は、勉強道具をしまえる場所を確保してください。
ポイントは、お子さん自身で片付けられる収納計画にすることです。
家族動線・来客動線から離す
リビングの一角に勉強スペースを設ける場合は、家族動線・来客動線からできるだけ遠い場所を選んでください。
いくらその他の条件が整っていても、すぐ横を人が頻繁に行き来すれば、どうしても集中力が途切れてしまいます。
また、お子さんが机についている間にその付近を物理的に通れなくなっては、家族のストレスになるでしょう。
そのため、リビング学習用のスペースを検討する際は、広さだけではなく、動線との位置関係も意識してください。
学習スペース以外にも使えるようにする
「リビング学習は〇〇歳まで」という区切りはないため、大学まで続けるお子さんもいます。
ただし、ある程度学習のコツを掴める年齢になると、自室の方が集中できる子も多いです。
そうなると、せっかく作った学習スペースが無駄になってしまいますよね。
そのため、お子さんの成長とともに使わなくなることも想定して、フレキシブルな作りにしておくことをおすすめします。
例えば、大人の方でも使える天板サイズにして、コンセントを設けておけば、パソコンデスクとしても利用できます。
お子さん用にあまり作り込まないことがポイントです。
インテリアデザインを損なわない作りにする
お子さん用スペースは、どうしても生活感が出がちです。
しかし、リビングのインテリアにはこだわりたいという方も多いでしょう。
その場合は、置き家具ではなく造り付け家具がおすすめです。
空間に合わせてフルオーダーできるため、無駄な隙間ができず、全体的にすっきりとした印象にまとまります。
学習用ポスターなどを貼りたい方は、学習スペースを「ニッチ(壁面の一部をくぼませる作り)」にすると、あまり視界に入らず気になりません。
大きい子供は背後・頭上に人の気配があると集中できない
最近増えているリビング階段のあるお宅ですと、階段下のデッドスペースを勉強場所にしたいと考える方も多いです。
確かに、階段下は天井高さが低いため、座って作業するのに適した場所と言えるでしょう。
ただし、リビング学習スペースにする際には注意が必要です。
背後や頭上に人の気配があると集中できない子もいます。
家族が上り下りする階段下ですと、足音や振動も気になりますよね。
「こもれる場所が理想的」という場合は、袖壁や格子、家具で学習スペースを囲み、“半ごもり”できる工夫をするのがおすすめです。
最近は、リモートワークする方や大人になってから学習する方も増えているため、お子さんが成長した後でも無駄にならない空間を作りましょう。
私たち“蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所”は、「手作りの家」をモットーにお客様一人ひとりのご要望やライフスタイルに耳を傾け、唯一無二の住まいをご提案しております。
ずっと快適に住み続けられる住まいを手に入れたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。
リビング学習ができる住まいの建設は実績のある工務店・設計事務所に
後悔のない住まいづくりを実現させるためには、4つの要素を備える建設会社へ相談することがポイントです。
- 長寿命で高耐久な構造計画
- 機能的で無駄のない動線を踏まえた間取り計画
- 温もりや居心地の良さを感じられる内装デザイン
- 住む人の健康を維持するための材料・設備選び
その全てを兼ね備えた住宅づくりは、設計事務所の設計力だけでも工務店の施工力だけでも叶いません。
「長く安心して住み続けられる住宅にしたい」という方は、丁寧に要望に耳を傾け、専門的な知識を踏まえたプランを提案してくれる設計者や施工会社に相談しましょう。
私たち蓮見工務店は、設計事務所としての経験や知識を踏まえ、お客様に心から安心していただける住まいづくりを徹底しております。
また、常に最新技術にも目を向け、その時に出来うる限りのご提案をさせていただきます。
私たちが“年間限定6棟宣言”をしているのは、お客様ひとりひとりと真正面に向き合っていきたいから。
デザインと性能、快適さの全てを持ち合わせた家を埼玉県で建てたい方・リフォームしたい方は、ぜひ「蓮見工務店」までお問合せください。
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、そして設計事務所として培ってきたデザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」
「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、全てのバランスで実現できます。
そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、お客様の一棟に全力を注いでまいります。
注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築をご検討中の方は、これまでに携わったお宅をご見学ください。
「木造住宅の視覚的な心地よさ、木にしか出せない香り、温かみのある手触り」や「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、パッシブデザインの良さ」を感じて頂けるはずです。
ぜひ、お気軽にお問い合わせ下さい。