「子育てしやすい家」の間取りポイント25選|事例写真や補助金情報も
お子さんの誕生や成長を機にマイホーム新築やご自宅のリノベーションを検討する方も多いでしょう。
せっかく費用をかけるのですから、少しでも子育てしやすい家にしたいですよね。
そこで今回は、「子育てしやすい家」の間取り・内装デザイン・設備選びに関するポイントや、関連する補助金を建築士が紹介します。
蓮見工務店の施工事例を交えて解説しますので、これからマイホームの新築やリノベーションを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
● 子育てしやすい家のポイントは、間取り・内装デザイン・設備選びにあります。
● 私たち「蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所」は、“手作りの家”をモットーに、お客様のご要望を叶えた住宅を数多く手がけてきた実績があります。
目次
「子育てしやすい家」の必要な広さ目安
ご家族で快適に暮らすためには、子育てを踏まえた広さが必要です。
ここで参考になるのが、国土交通省の公表している「一般型誘導居住面積水準」です。
これは、世帯人数に合わせて豊かなライフスタイルを実現するために必要となる面積目安を表したもので、以下の計算式によって広さ基準を求められます。(参考:国土交通省|参考資料 誘導居住面積水準(住生活基本計画(平成23年3月15日閣議決定)より抜粋)
【一般型誘導居住面積水準】
単身者世帯:55㎡
2人以上の世帯:25㎡ × 世帯人数 + 25㎡
(例:ご夫婦+お子さん1人=100㎡(約30坪)
この指標では、3歳未満のお子さんは「0.25人」、3歳以上6歳未満のお子さんは「0.5人」、6歳以上10歳未満の者は「0.75人」として算定するとされていますが、持ち家を新築・リノベーションする場合は、基本的に10年以上住み続けることが前提ですよね。
そのため、小さいお子さんの成長を見据えて、大人と同様に「1人」として計算しましょう。
また、世帯人数が4人を超える場合は基準面積から5%控除するとの記載もありますので、敷地をコンパクトにしたい方は参考にしてください。
では、一般型誘導居住面積水準をもとに、平屋建て・総2階建ての必要延べ床面積と土地面積を紹介します。
世帯人数 | 必要延べ床面積目安 | 土地面積目安 (建ぺい率※50%の場合) |
---|---|---|
3人 | 100㎡ (約30坪) | 平屋建て:200㎡(約61坪) 総2階建て:100㎡(約30坪) |
4人 | 約119㎡ (約36坪) | 平屋建て:238㎡(約72坪) 総2階建て:119㎡(約36坪) |
5人 | 約143㎡ (約43坪) | 平屋建て:286㎡(約87坪) 総2階建て:143㎡(約43坪) |
これから土地探しをする方は、ご予算や立地条件に加え、子育てしやすい必要床面積とそのエリアの建ぺい率、さらに平屋にするのか2階建てにするのかを踏まえることが重要です。
子育て“しやすい”家と“しにくい”家の違いと工夫すべき点
子育てしやすい家と子育てしにくい家の差は、世帯人数に合う居住面積が確保されているかがポイントですが、そのほかにも間取りに違いがあります。
子育て中の方に家の不便な点を聞いてみると、以下のような点が多く挙げられます。
- 収納が足りない・出し入れしづらい(物が散らかる)
- 家事動線や生活動線が長い
- 家事をしながら子供の様子を確認できない
- 掃除しにくい
- 親の居場所(リラックスできる場所)がない
親子で快適に楽しく暮らすためには、これらの問題点を解決しなくてはいけません。
そのためには、間取り・内装・設備機器に至るまで工夫を凝らす必要があります。
「子育てしやすい家」の間取りポイント
「子育てしやすい家」の特徴は、家事負担が少なく、子供との距離を適度に保てる点にあります。
また、ずっと住み続けるマイホームにおいては、家族構成の変化に対応できるかどうかもポイントです。
では、子育てしやすい家に取り入れていただきたい間取りポイントを紹介します。
回遊動線・間仕切り壁の少ない間取り
行き止まりの少ない回遊動線を実現できる間取りは、流れるように家事やお子さんの世話ができます。
また、間仕切りの少ない家は、家族の気配を感じやすく、特に小さいお子さんのいるご家庭におすすめです。
平面的に空間のつながりがある間取りだけではなく、LDKに吹き抜けを設けるプランも人気です。
吹き抜けに面した場所に子供部屋を配置すると、お子さんのプライバシーを守りながらも、気配が伝わってきます。
小上がりスペース付きリビング
最近人気な間取りが、小上がりスペース付きのリビングです。
フローリング仕上げのリビングですと、小さいお子さんを床で遊ばせたりオムツを変えたりしづらいですよね。
フローリングの上にラグを敷いても、すぐ横を人が行き来すれば、あまり衛生的ではありません。
LDKの一角に小上がりを作ると、家事をしていてもお子さんとの目線が近くなり、様子を確認しやすくなります。
畳仕上げにすれば、直接お子さんを座らせたり寝かせたりしても痛くありません。
また、フローリングに舞うチリや埃からもお子さんを遠ざけられる点もメリットです。
リビング階段
リビングの一角に2階へ上がる階段を設けるプランもおすすめです。
2階に子供部屋を配置しても、そこにアクセスするためには必ずリビングを通ることになります。
そのため、お子さんが大きくなっても自然と家族間でコミュニケーションを取れるようになるでしょう。
オープンキッチン
リビングで遊ぶお子さんの様子を見ながら料理したい方には、やはりオープンキッチンがおすすめです。
家族と会話を楽しみながら家事をできる点も人気のポイントと言えるでしょう。
ただし、お子さんが小さい間はキッチンに立ち入って思わぬ怪我につながるリスクがあります。
そのため、仮設のベビーゲートを取り付けるか、独立型キッチンのメリット・デメリットと比較して検討することをおすすめします。
〈おすすめコラム〉
独立型キッチンの人気再燃中|メリット・デメリットや後悔しないためのコツを解説、施工実例も
“オープンキッチン”の後悔理由11選とその解決方法|キッチン種類やメリット・デメリットも
パントリー
パントリーは、食料品などの買い物へ行く回数を減らせるため、共働き世帯やお子さんの多い世帯におすすめです。
また、食料や日用品を一ヶ所にまとめて収納できるので、在庫管理しやすい点も魅力です。
出入り口にドアをつければ、お子さんのいたずら防止にもなります。
子供部屋
子供部屋を寝るだけのスペースにするのか、勉強などもできるスペースにするのかは、ご家庭の教育方針によって異なります。
そのため、間取りを考える際は、リビング学習させたいかどうかも検討しましょう。
最近は、子供部屋に室内窓を設置するプランも人気です。
また、お子さんの自立心を高めるために、十分な収納を設け、自ら片付けや掃除をできるようにする事例もあります。
スタディーコーナー・ワークコーナー
お子さんのリビング学習スペースや、親御さんのリモートワーク・趣味を楽しむスペースとして人気なのが、スタディーコーナーやワークコーナーのある間取りです。
リビングなど家族用スペースの一角に造作カウンターを設け、親子で並んで作業できる場所を設けます。
親子で一緒に机に向かうことで、お子さんの学習意欲につながるという説もあり、採用事例は少なくありません。
ファミリークローゼット
家族の洋服を一ヶ所にまとめて収納できるのが、ファミリークローゼットです。
各部屋へ洋服をしまうよりも格段に家事負担が減り、洋服の管理や衣替えしやすい点が魅力です。
また、小さいお子さんの場合は、親子で朝の支度をスムーズにできる点も人気のポイントと言えるでしょう。
シューズインクローゼット(シューズインクローク)
玄関脇にシューズインクローゼットを設けると、お子さんの遊具やベビーカーを置く場所として活用できます。
また、靴をたくさんしまえるため、雑然としやすい玄関土間もスッキリ保ちやすいでしょう。
シューズインクローゼットから脱衣所や浴室へつながる動線や、パントリー・キッチンへ直接アクセスできる間取りが人気です。
広めな玄関土間・ホール
小さいお子さんは、靴の脱ぎ履きに時間がかかり、大人の方がそれをサポートするためには、ある程度の広さが必要です。
また、家族の人数が増えるほど、玄関へ置きっぱなしになる靴も増えますよね。
そのため、玄関ドアやホールはできるだけ広めに確保しましょう。
オープンスペース・セカンドリビング
お子さんのいるご家庭で、「リビングには常に家族がいてくつろげない」「急な来客の際に家族の居場所がない」と感じたことがある方は少なくないでしょう。
そこでおすすめなのが、オープンスペースやセカンドリビングのある間取りです。
あえて用途を決めないスペースを作ると、各々が自分の好きなようにその空間を使えます。
1階リビングとは別に、2階に家族だけが集う場所を設ければ、来客の多いご家庭でも慌てません。
玄関の手洗い場
コロナ禍以降、多くの方からご要望いただくのが、玄関の手洗い場です。
玄関ホールの一角に設置するパターンと、シューズインクローゼットの中に設置するパターンがありますが、どちらも帰宅後にすぐ手を洗えるため、雑菌などを家の中まで持ち込まずに済みます。
お子さんに「帰ったらすぐに手を洗う」というルーティーンを教えやすいと感じる方も多いようです。
広い洗面脱衣室
泥々になって帰ってきたお子さんをお風呂に入れたり、朝の忙しい時間に歯磨きさせたりするのに便利なのが、広い洗面脱衣室です。
入浴後の体を拭いてあげる際にも、スムーズです。
十分な広さを確保できない場合は、ランドリールームと一室にまとめるプランをおすすめします。
ランドリールーム・ユーティリティルーム
子育て中の方から特に人気なのが、ランドリールームやユーティリティルーム(家事室)です。
洗濯機や乾燥機を置くだけではなく、写真のように洋服や靴を洗いやすい大きめのシンクを設置したり、屋外へ直接アクセスできるようにしたりすると、家事負担の軽減につながります。
室内干しする方は、ハンガーパイプを設置しておくと、リビングなどの居室に洗濯物を干さずに済みます。
広めな駐車スペース
子育て中のご家庭は、何かと車で出かけることも増えるでしょう。
その際に、広めな駐車スペースがあると便利です。
お子さんを乗り降りしやすく、ベビーカーや大きな荷物も出し入れしやすいからです。
また、将来ご家族がさらに増えてファミリーカーへ買い換えることを想定しておきましょう。
駐車スペースにはカーポートなどの屋根をつけるか、ビルトインガレージにすると、雨の日でも乗り降りの際に濡れません。
駐輪スペース
うっかり忘れがちなのが、駐輪スペースです。
お子さんが小さく自転車が1〜2台であれば、屋外の空いたスペースに自転車をおけますが、成長とともに台数が増える可能性は十分考えられます。
そのため、新築時には家族の自転車を置きやすい場所を確保しておきましょう。
アウトドアリビング
室内リビングとウッドデッキなどがつながるアウトドアリビングは、お子さんの安全な遊び場や、大人の方がゆったりとリラックする場所として活用できます。
また、室内リビングに十分なスペースを取れなくても、アウトドアリビングがあり大きな窓で連結していると、開放的な印象になる点もメリットです。
〈おすすめコラム〉
【建築士解説】人気の“アウトドアリビング”は本当に快適なのか?後悔事例とその対策
フレキシブルな間取り
長く住み続けるマイホームに欠かせないのが、間取りのフレキシビリティ(可変性)です。
長期優良住宅グレードの高品質な住宅は、寿命が100年を超えるものも少なくありません。
そのため、お子さんの成長や家族構成、ライフスタイルの変化に合わせて、間取り変更しやすい工夫が必要です。
例えば、将来的に2部屋を1部屋に、1部屋を2部屋に変更しやすくしたり、間仕切り壁の代わりに家具などで空間を区切るようにしたりする方法があります。
そのため、間取りへ取り入れたい空間を取捨選択し、ご予算や敷地の条件に合わせてプランを検討しましょう。
私たち「蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所」は、お客様のお悩みやご要望をじっくりヒアリングし、住まいの計画に生かしています。
「子育てしやすい家」の内装ポイント
子育てしやすい家を実現させるために重要なのは、間取りだけではありません。
内装デザインまでこだわると、ご家族全員にとって居心地の良い家になります。
無垢フローリング・板張り天井・板張り壁
フローリング材や天井仕上げ材、壁材に無垢材を取り入れるデザインが人気です。
無垢材には、湿気を吸収・放出する調湿機能や、光を吸収して反射を和らげる効果があります。
また、無垢フローリング材は複合フローリングよりも柔らかく、素足での踏み心地が格別です。
ただし、キズや汚れがつきやすいため、空間用途によって仕上げ材を使い分けた方が良い場合もあります。
〈おすすめコラム〉
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畳
最近の住宅はフローリングの床が主流ですが、小さいお子さんのいるご家庭には畳もおすすめです。
フローリングよりも柔らかく、床に直接座ったり寝転んでも体が痛くなりません。
そのため、赤ちゃんを寝かせる場所としても便利です。
将来フローリングに変えたいという方は、床の上に置くだけの置き畳にするのも良いでしょう。
ナチュラルカラー中心のカラーコーディネイト
お子さんがいると、気持ちがワクワクするような明るく楽しい色を取り入れたくなりますよね。
しかし、原色に近い色や鮮やかな色は、目が疲れやすくなりがちです。
また、飽きやすいため定期的なやりかえが余儀なくされる可能性もあります。
純度の高いホワイトを使う場合も要注意です。
真っ白な色は視覚的に疲れやすい傾向があるからです。
リラックスできる家にしたい方は、ナチュラルカラーをベースとしたカラーコーディネイトを意識しましょう。
「子育てしやすい家」の設備選びポイント
最後に、子育て世帯におすすめの最新設備を紹介します。
スマートキー付き玄関ドア
共働き世帯では、お子さんが小学校に上がると、一人でドアを開け閉めして留守番させる機会が増えるかもしれません。
そこでおすすめなのが、スマートキー付き玄関ドアです。
外出先から解錠施錠の履歴が確認できる機能がついていれば、お子さん一人が家にいる場合でも安心です。
ガス乾燥機
お子さんがいると、何かと洗濯物が多くなりがちですよね。
梅雨の時期など、家の中に洗濯物を干す場所がないとお困りの方も多いでしょう。
そこで人気のアイテムが、短時間で洗濯物を乾かせるガス乾燥機です。
しかし、導入するためにはガス配管が必要なので、後付けすると付帯工事が必要になります。
そのため、新築時に併せて導入するのがおすすめです。
床下エアコン・小屋裏エアコン
室内空気が汚れにくく、家全体も空調できる床下エアコンと小屋裏エアコンもおすすめです。
冷気や暖気が直接体に当たらないため、小さいお子さんのいるご家庭でも安心して過ごせます。
また、全館空調システムを導入するよりコストを抑えられる点もメリットです。
〈おすすめコラム〉
床下エアコンを失敗しないためのポイントは?メリットについても詳しく解説
太陽光発電システム
お子さんが生まれると、日中の滞在時間が長くなり、その時間帯の電力消費が増える傾向に。
日中の消費電力が増えると太陽光発電した電気の自家消費率が高くなり、余剰電力の買取価格(※)が年々下がっている現状を踏まえても、導入するメリットがあると言えるでしょう。
※余剰電力の買取価格:FIT法によって一律に定められており、10kW未満の電力買取価格は、2014年・30円/kWから2024年・16円/kW、2025年には15円/kWまで引き下げられます。(参考:資源エネルギー庁|FIT・FIP制度|過去の買取価格・期間等)
これから太陽光発電システムを導入する場合は、余った電力を買い取ってもらうことを前提とせず、どれだけ自家利用して電力を購入せずに済むかが鍵になります。
また、停電時にも電力を使えるため、防災面でもメリットがあります。
「子育てしやすい家」の新築・改修には補助金と減税制度を活用がおすすめ
子育てしやすい家を新築・リノベーションする際には、しっかり補助金や減税制度も活用しましょう。
子育て世帯・若者夫婦世帯を対象に、省エネ住宅の取得促進をサポートすることを目的とした「子育てエコホーム支援事業」や、「住宅ローン減税制度」がおすすめです。
そのほか、各自治体で独自に実施している補助事業もありますので、事前に役所などへ確認しましょう。
ただし、住宅ローン減税制度を新築時に利用できるのは、長期優良住宅など省エネ性の高い住宅に限るため、省エネ住宅の施工実績が豊富な建築会社へ相談しましょう。
「蓮見工務店」では、長期優良住宅やZEH住宅の施工実績も豊富で、補助金申請もしっかりサポートいたします。
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まとめ
「子育てしやすい家」を建てたい方は、間取り・内装デザイン・設備機器にこだわりましょう。
そのためには、4つの要素を備える建設会社へ相談することがポイントです。
- 長寿命で高耐久な構造計画
- 機能的で無駄のない動線を踏まえた間取り計画
- 温もりや居心地の良さを感じられる内装デザイン
- 住む人の健康を維持するための材料・設備選び
私たち蓮見工務店は、設計事務所としての経験や知識を踏まえ、お客様に心から安心していただける住まいづくりを徹底しております。
デザインと性能、快適さの全てを持ち合わせた家を埼玉県で新築・リノベーションしたい方は、ぜひ「蓮見工務店」までお問合せください。