「老後まで安心・快適に住める家」理想の間取りポイント23選を解説
「老後までずっと快適に住める家を建てたい」という方は多いはずです。
そうお考えの方へ、今回は「間取り・内装・設備」に関する家づくりのポイントを紹介します。
蓮見工務店のこれまで手がけた施工事例を交えてお話ししますので、マイホームの新築やリノベーション計画を始める方は、ぜひ参考にしてください。
● 老後まで快適に暮らせる家を建てたい方は、間取り・内装デザイン・設備選びのポイントを押さえましょう。
● 私たち「蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所」は、“手作りの家”をモットーに、お客様のご要望を叶えた住宅を数多く手がけてきた実績があります。
目次
“終の棲家”を意識した家づくりの重要性
ひと昔前まで、木造戸建て住宅の寿命は「30〜40年程度」とされており、ある程度年数の経つと、建て替えられてきました。
ところが、近年は資材や技術の発展や環境面への配慮から、家の長寿命化が重要視されており、一般的な住宅で「期待耐用年数 50〜60年」、長期優良住宅グレードになると「期待耐用年数100年超」とも言われています。(参考:国土交通省|期待耐用年数の導出及び内外装 設備の更新による価値向上について)
つまり、マイホームを新築する際は、“終の棲家(ついのすみか)”になることを意識して、老後まで住める家にすることが重要です。
そのためには、その家が「ライフスタイル・家族構成・ご自身の身体能力」の変化に対応できるかどうかが重要なポイントとなります。
老後まで住む家の面積目安はどのくらい?何坪必要?
仮に新築から50年住み続けることを想定すると、ほとんどのご家庭で家族構成に変化があるはずです。
そのため、子育て世代の方が家を建てる際は、新築時からお子さんが何年後に独立するのかを見据えることが重要です。
では、ここで国土交通省の公表している「一般型誘導居住面積水準」を見てみましょう。
一般型誘導居住面積水準とは、世帯人数に合わせて快適に住める居住面積を示すもので、以下の計算式によって広さの目安を求められます。(参考:国土交通省|参考資料 誘導居住面積水準(住生活基本計画(平成23年3月15日閣議決定)より抜粋)
【一般型誘導居住面積水準】
単身者世帯:55㎡
2人以上の世帯:25㎡ × 世帯人数 + 25㎡
※世帯人数が4人を超える場合は基準面積から5%控除する
この一般方誘導居住面積水準をもとに家のサイズや敷地の広さを決めると、以下の通りになります。
世帯人数 | 必要延べ床面積目安 | 土地面積目安 (建ぺい率※50%の場合) |
---|---|---|
1人 | 55㎡ (約17坪) | 平屋建て:110㎡(約33坪) 総2階建て:55㎡(約16坪) |
2人 | 75㎡ (約23坪) | 平屋建て:150㎡(約46坪) 総2階建て:75㎡(約23坪) |
3人 | 100㎡ (約30坪) | 平屋建て:200㎡(約61坪) 総2階建て:100㎡(約30坪) |
4人 | 約119㎡ (約36坪) | 平屋建て:238㎡(約72坪) 総2階建て:119㎡(約36坪) |
5人 | 約143㎡ (約43坪) | 平屋建て:286㎡(約87坪) 総2階建て:143㎡(約43坪) |
お子さんのいるご家庭が老後まで住む家を建てる場合に考えなくてはいけないのが、「お子さんの独立」です。
例えば、5歳・8歳のお子さんが2人いるご家庭がマイホームを新築した場合、早ければ10年後に1人目、13年後には2人目が独り立ちして家を出る可能性があります。
そうなると、建てて20年もしないうちに、半分程度のスペースが余ってしまいうかもしれません。
お子さんがいない状態で家を建てる場合は、1人暮らし・2人暮らし用スペースがちょうどいいですが、平屋にするのか2階建てにするのかによって、敷地面積はかなり変わります。
このように、老後まで快適に住める家を建てたい場合、お子さんがいる世帯は「お子さんが何年くらい住み、独立した後は空いたスペースをどう活用するのか」を、お子さんのいない世帯は「その家でどのような生活を何年くらい続けるのか」を、じっくりシミュレーションすることが重要です。
老後まで住む家は平屋と二階建てどちらがいい?
老後まで住める家と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、平屋住宅ですよね。
「老後には2階を使わなくなるだろう」と考える方も多いでしょう。
確かに、バリアフリーの観点から見ると、平屋建てがおすすめです。
しかし、子育て世代の方が家を建てる場合、平屋で必要な居住面積を確保するためには、広い敷地が必要になります。
ここでポイントになるのは、「2階建て住宅でも老後まで住める家にできる」という点です。
2階建てにする場合は、主な生活スペースを1階に配置し、2階は来客用スペースや趣味のスペースなど、オプション的要素の空間にすれば良いのです。
最近は、ダイニングキッチンとリビングを切り分けて、リビングだけ2階にレイアウトするケースもあります。
2階がなくなっても日常生活に支障のないようにすれば、将来、減築リフォームをすることもできるでしょう。
2階を減築すると、家の維持コストや固定資産税・都市計画税を削減できます。
重要なのは、老後の生活を見据えて、間取りなどを工夫することです。
家族構成や人生プランに併せてオリジナリティのある間取りを提案できる建築会社へ相談しましょう。
「老後まで住める家」の間取りポイント
「老後まで住める家」の特徴は、生活動線・移動動線がコンパクトで、暮らしの変化に対応できる点です。
では、老後まで住める家に取り入れていただきたい間取りポイントを紹介します。
回遊動線・間仕切り壁の少ない間取り
老後まで暮らせる家には、ぜひ回遊動線と間仕切り壁の少ない間取りを取り入れてください。
行き止まりの少ない間取りにすると、生活動線を短くできます。
キッチン・トイレ・浴室などの水回りを出来るだけ直線に配置すると、車いすに乗ったり杖を使ったりしても、スムーズに行き来できるため、介護が必要になっても暮らしやすいでしょう。
1階中心の部屋配置
生活する上で欠かせない寝室(居室)とトイレなどの水回りは、1階へ配置しましょう。
家族用トイレとは別に、主寝室へサブ的なトイレを併設する間取りもおすすめです。
また、将来、水回りを寝室近くに追加しやすいように、新築時に予備配管しておく方法もあります。
2階建てにする場合も、万が一に備えて、1階だけで日常生活が成立するようにしておくことが重要です。
広めの廊下
老後に車いすや介助が必要になった場合を想定し、廊下を広めにしておくのもおすすめです。
廊下だけではなく、部屋の出入口幅にも注意しましょう。
「人が行き違える最低通路幅」 | 78cm |
「車いすが出入りできる開口幅」 | 80cm以上 |
「車いすが通過しやすい通路幅」 | 90cm以上 |
「車いすと人がすれ違える通路幅」 | 120cm以上 |
「車いすが転回できるスペース」 | 直径150cm以上 |
最低寸法にしてしまうと、家で行動できる範囲が狭まってしまう可能性があります。
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オープンキッチン
人気のオープンキッチンですが、バリアフリーの観点からもメリットがあります。
周囲が開放的なので、車いすや介助付きでもアクセスしやすいためです。
ただし、やはりキッチン周囲のスペースは広めにしておかなくてはいけません。
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ホームエレベーター・階段昇降機設置場所の確保
2階も老後までフル活用したい方におすすめなのが、ホームエレベーターや階段昇降機です。
ただし、「元気なうちは必要ない」「新築時のコストは抑えたい」という方も多いでしょう。
その場合には、将来に備えて設置スペースだけ確保しておくのがおすすめです。
1階・2階同じ場所に1.2m角以上の収納スペースなどを設け、将来そこにホームエレベーターを後付けできるようにしましょう。
その際には、ホームエレベーターの設置を見越した構造設計が必要です。
階段幅を100cm以上確保しておけば、階段昇降機を設置しても、人が上り下りするスペースをキープできます。
小上がりスペース
独立した和室も素敵ですが、足腰が弱くなると、床に座ったりそこから立ち上がったりするのが大変になります。
しかし、床に直接寝転んでくつろぎたいという方も少なくないはずです。
その場合には、リビングの一角などに小上がりスペースを作りましょう。
腰掛けて上がれる高さにすると、老後まで活用しやすくなります。
引き戸で統一
バリアフリーな住宅にする上でポイントとなるのが、引き戸です。
開き戸にすると、開けっぱなしではドアが邪魔になりますし、車いすに乗っている方や杖をついてる方自身が開け閉めする際に不便になってしまいます。
引き戸を設置するためには、どちらかに戸を引き込むための袖壁が必要になるため、新築時の導入がおすすめです。
広めの玄関土間とホール
玄関土間を広めにしておくと、将来、段差解消用スロープや、敷台、ベンチを設置しやすく、車いすをおくのにも便利です。
また、玄関の上り框を長くしておくと、靴の脱ぎ履きなどを解除してもらう際にもスムーズです。
広めの洗面脱衣場・浴室・トイレ
洗面脱衣室や浴室は2畳(1坪)、トイレは1畳(0.5坪)もあればそれほど不便はありませんが、車いすや介助付きの生活を想定すると、広めにしておいた方が良いでしょう。
例えば、車いす対応のトイレは、最低でも1.5畳(0.75坪)ほどの広さが必要です。
介助を受ける場合も、水回りは広い方がスムーズに作業できるため、怪我や事故を防げます。
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パントリー
歳をとるほど、買い物をするのが億劫になるという方は少なくありません。
そのため、ある程度の食料品や日用品を保管できるパントリーもおすすめです。
まとめて買い物でき、在庫管理しやすい点がメリットです。
ただし、キッチンや玄関との動線が長いと不便になるので注意しましょう。
アウトドアリビング
広すぎる室内リビングは、老後に動線が長くなって不便になってしまう可能性もあるでしょう。
そこでおすすめなのが、アウトドアリビングです。
コンパクトな室内リビングでも開放的な窓を設置すると、屋外まで含めて一体的な空間として活用できます。
家にいながら自然の風や日差しを満喫できる点が魅力です。
ただし、老後を踏まえると、室内とアウトドアリビングの床レベルがフラットであることが必須です。
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広めな駐車スペースとバリアフリーなアプローチ
「老後は車を運転しないのでは」と思うかもしれませんが、足腰が弱くなれば、外出の際に車に乗る機会が増えます。
その際に、介助付きで乗り降りできるように、広めの駐車スペースがあると安心です。
カーポート屋根付きガレージや、ビルトインガレージにすると、雨の日でも濡れずに家に車を乗り降りできます。
駐車スペースから玄関までがバリアフリーになるかどうかも重要なポイントです。
スタディーコーナー・ワークコーナー
立派な書斎のある家も素敵ですが、老後には使わなくなるケースも珍しくありません。
そこでおすすめなのが、リビングなどの一角にスタディーコーナー・ワークコーナーを作る間取りです。
手軽に趣味を楽しんだり、落ち着いて書き物をする場所として活用できます。
フレキシブルな間取り
木造住宅の寿命は長寿命化しているため、新築から老後、そしてお子さん・お孫さんの世代まで住み継ぐことも十分考えられます。
そこで重要なのが、家族構成やライフスタイルなどの変化に合わせて、間取りを変更できるかという点です。
住む人が変わるたびにフルリノベーションすると費用がかなりかかるため、2部屋を1部屋に、1部屋を2部屋になど、最小限の工事で生活の変化に対応できるようにしておくと良いでしょう。
間取りを出来るだけシンプルにして、家具などで簡易的に仕切る方法もおすすめです。
「老後まで住める家」の内装ポイント
老後まで住める家にするためには、間取りだけではなく内装デザインにもこだわりましょう。
無垢フローリング・板張り天井・板張り壁
無垢のフローリング材や天井・壁の無垢板材には、湿気を吸収・放出する調湿機能や、光を吸収して反射を和らげる効果があります。
また、無垢フローリング材は複合フローリングよりも柔らかく、素足での踏み心地が格別です。
無垢材の適度な柔らかさは耐衝撃性にも優れているため、転倒時の怪我も軽減できます。
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畳
床に直接座ってリラックスしたいという方におすすめなのが畳です。
い草には高い弾力性があるため、転倒による怪我の防止になりますし、無垢材同様に高い調湿効果もあります。
本格的な和室を作らなくても、ちょっとした小上がりスペースや、寝室の造作ベッドに採用するのも良いでしょう。
ユニバーサルデザインを意識したカラーコーディネイト
ユニバーサルデザインを意識したカラーコーディネイトとは、年齢や障害の有無に関係なく、誰でも識別しやすい色彩選定を指します。
歳を重ねていくと、微妙な色の違いを識別しにくくなったり、薄暗い場所では色を正確に認識しづらくなったりするため、階段の踏み面やドアの色、照明スイッチの色などを周囲と変えておくのもおすすめです。
また、目の疲れを抑えるために、原色や鮮やかな色は使わない点もポイントです。
白を基調とする際は、純度の高い白では眩しく感じるため、オフホワイトやアイボリーなどを選択すると良いでしょう。
空間用途に合わせた照明計画
老後は、読書など細かい作業をする場所には手元までしっかりと照らせる明るさが必要な反面、部屋全体を明るくすると眩しさを強く感じて目が疲れやすくなる場合があります。
また、加齢とともに入眠まで時間がかかる方も多いため、室内を明るくしすぎるのはあまり良くありません。
そのため、場所ごとに細かく照度を調節できるように、多灯分散型の照明計画にしておくことをおすすめします。
柔らかい光によって明るさを確保しながらも目への負担を減らせる間接照明も人気です。
「老後まで住める家」の設備選びポイント
最後に、老後まで住める家におすすめの設備を紹介します。
手すり
手すりは老後の生活に欠かせないアイテムですが、どの場所につけると便利なのかは、使う人の体型などによって異なります。
若いうちにつけても、その位置が老後に使いやすいとは限りません。
そのため、玄関や廊下、トイレなど、将来的に手すりの設置が必要と考えられる場所には、あらかじめ壁に下地補強を入れておくと良いでしょう。
いざ手すりを取り付ける際も、工事範囲を最小限に抑えられます。
スマートキー付き玄関ドア
老後、玄関ドアに鍵を刺して開け閉めするのが大変になることも容易に想定できます。
そこでおすすめなのが、キーレスのスマートキー付き玄関ドアです。
スマートフォンや専用タグをカバンなどに入れておけば、ドアに付いているボタンを押すだけで解錠施錠できます。
また、外出先から鍵が閉まっているかどうかをスマートフォンで確認できる機能が付いているものもあるため、防犯面でも安心です。
見守り機能
老後に備えて、後から見守りサービスを設置できるようにしておくのもおすすめです。
日常生活で必ず通る場所にセンサーをつけ、一定時間動きがないと通報されるサービスや、家の外から緊急がわかるフラッシュライト、窓やドアへの防犯センサーなど、老後に一人暮らしをしても安心な機能が様々あります。
これらの導入には、ホームコントローラーなどが必要な場合もあるので、新築時に予備配線しておくといざ設置するときに工事費用を最小限に抑えられます。
床下エアコン・小屋裏エアコン
室内空気が汚れにくく、一台の機器で家全体も空調できる床下エアコンと小屋裏エアコンもおすすめです。
冷気や暖気が直接体に当たらないため、冷房病や過度な乾燥などによる体調不良のリスクを最小限に抑えられます。
また、全館空調システムを導入するよりもコストを抑えられる点もメリットです。
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床下エアコンを失敗しないためのポイントは?メリットについても詳しく解説
ユニバーサルデザイン対応の設備機器
設備機器メーカー各社では、UD(ユニバーサルデザイン)をコンセプトとした商品を数多く販売しています。(参考:TOTO|住まいのUD、LIXIL|住まいのUDアイデア、Panasonic|配慮別UD商品事例)
これらの中には、老後に力が入らなくなっても操作しやすい工夫や、健常者の方でも車いすの方でも使いやすい設計が盛り込まれています。
将来、座りながら作業できるように、腰掛けて使用できる洗面化粧台やキッチンもおすすめです。
まとめ
「老後まで暮らせる家」を建てたい方は、間取り・内装デザイン・設備機器にこだわりましょう。
そのためには、4つの要素を備える建設会社へ相談することがポイントです。
- 長寿命で高耐久な構造計画
- 機能的で無駄のない動線を踏まえた間取り計画
- 温もりや居心地の良さを感じられる内装デザイン
- 住む人の健康を維持するための材料・設備選び
私たち蓮見工務店は、設計事務所としての経験や知識を踏まえ、お客様に心から安心していただける住まいづくりを徹底しております。
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