【建築化照明で空間演出】種類やメリット・デメリット、間接照明との違い、採用事例を解説

【建築化照明で空間演出】種類やメリット・デメリット、間接照明との違い、採用事例を解説

おしゃれなインテリア空間を演出するのに重要となる照明ですが、光源を見せない柔らかな光が特徴的な「建築化照明」を採用する住宅が増えています。

そこで今回は「建築化照明」について、種類や採用する場所、メリット・デメリットを解説します。

“蓮見工務店”がこれまで手がけた施工事例も紹介しますので、これからマイホームの新築やリノベーション計画を始める方はぜひ最後までご覧ください。

この記事のポイント
● 「建築化照明」にはいくつかの種類がありますが、どれも光源の見えない間接照明に分類されます。

● 「建築化照明」をマイホームへ取り入れる際は、メリットとデメリットの両方を知っておきましょう。

● 私たち「蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所」は、“手作りの家”をモットーに建築化照明を採用した住宅を数多く手がけています。

 


目次


 

建築化照明とは|間接照明との違いと種類・採用場所

建築化照明とは|種類と採用部位
施工事例「ビルトインガレージと木塀のある家

「建築化照明」とは、建物の一部に組み込まれた形で照明器具を設置する計画手法で、“光源(※)を見せない”点が最も重要な特徴です。

※光源:自ら光を放つものを意味して、照明器具の場合は電球部分を指す


具体的には、天井・壁・収納などへライン照明やダウンライトを埋め込みます。

ライン照明
ライン照明(引用:Panasonic
ダウンライト(引用:Panasonic

同じく光源を見せない照明器具で間接照明がありますが、建築化照明と間接照明とでは大きな違いはなく、どちらも器具のシェードや天井、壁などに照明光を当てて反射した光で照度を確保します。

ただし、間接照明と表記する器具の中には、置き型の独立したスタンドライトも含まれるのに対して、建築化照明はあくまでも建物へ設置して移動できないタイプを指します。

ポイント
建築化照明は間接照明の一種で、光を反射・拡散させて柔らかくおしゃれな雰囲気を作り出します。

また、建物と一体化するため、器具が主張せずにすっきりとした印象になる点もポイントです。


建築化照明は、設置する場所や光の広がり方によって、3つの種類に分けられます。

コーブ照明

コーブ照明

天井下に照明器具を設置して、上に向かって広がる光を反射させて照度を確保する手法です。

光がグラデーションのように広がり、主に折り下げ天井へ採用されます。

コーニス照明

コーニス照明

天井に照明器具を設置して、下に向かって広がる光を壁へ反射させて照度を確保する手法です。

壁が明るくなり、コーブ照明よりも広範囲に明るさが広がります。

トロファ照明

天井に溝を作り、その部分へ照明器具を設置する方法です。

一つの空間を光によって区分けしたり、明暗をつけたりできます。

溝の幅を広げて大きな照明を設置して、下方をパネルや障子、ルーバーでふさぐと、光天井と呼ばれます。

バランス照明

バランス照明

照明器具の前に小さな壁を設けて、壁と天井の両方に光を反射させる方法です。

建築化照明の中では照度を上げやすく、目を引くためインテリアデザインのアクセントとして採用するケースもあります。

照明に正面パネルが付属している建築工事を伴わない器具もあるため、手軽におしゃれな間接照明を採用したい方におすすめです。

収納ライト

収納の一部にLEDライトを埋め込み、周辺やカウンター上などを照らす手法もあります。

既製品の収納家具へ採用されるパターンもありますが、より美しく光を演出し、明るさが必要な場所を的確に照らすためには、その空間に合わせてオーダーメイドする造作収納(造作家具)と組み合わせるのがおすすめです。

〈おすすめコラム〉
“造作家具”のメリット・デメリットとは?設計事務所が考え方のポイントを詳しく解説


 

施工事例



建築化照明のメリット

建築化照明のメリット
施工事例「屋根組と開放的ホールが特徴の家

建築化照明は眩しい光源が直接視界に入らない点が最も大きな特徴です。

最近、住宅への採用事例が増えています。

では、改めて建築化照明のメリットを紹介します。

  • 柔らかい光で照度を確保できる
  • 鋭い光ではないため、目が疲れにくい
  • 無機質な照明器具が隠れるため、インテリアデザインの邪魔にならない
  • 照明器具が直接見えないため、空間がすっきりとした雰囲気になって圧迫感がない
  • 壁や天井の表面が照らされて、テクスチャーによって生まれる陰影で高級感が増す
  • シンプルなインテリアでも光がフォーカルポイント(※)となり、アクセントの役割を果たす

※フォーカルポイント:和訳すると「フォーカル focal(=焦点的な)ポイント point(=場所)」となり、空間の中で真っ先に目につく場所を意味する


このように、建築化照明の優しい光が内装デザインのアクセントとなり、デザイン的な効果を生み出します。


 

施工事例



建築化照明のデメリットと対策

建築化照明のデメリットと対策
施工事例「緑の庭を望む大開口リビングの家」

建築化照明をプランへ取り入れる事例が増えている一方で、ブログやSNSを見ると“後悔した・失敗した”と感じている方も少なくありません。

マイホームを後悔しないためにも、ぜひ建築化照明のデメリットや注意点とその対策を事前に知っておきましょう。


直接照明より費用がかかる

天井にダウンライトやシーリングライト、ライティングレールを付けたり、壁にブラケットライトをつけたりするプランと比べると、建築化照明はコストがかかります。

なぜなら、天井や壁、収納などに細工をしなくてはいけないからです。

そのため、見た目がいいからと建築化照明をたくさん取り入れると予算オーバーになってしまうかもしれません。

ポイント
建築化照明の魅力はそのデザイン性や演出性にあります。

そのため、特にインテリアへこだわりたい場所へ取り入れましょう。

逆に、納戸などへ採用してもそれほどメリットはありません。

ご予算に合わせて、建築化照明(間接照明)と直接照明をうまく使い分けることが重要です。


設置場所によっては交換・掃除しにくい

吹き抜けの天井や天井の狭い部分など、設置場所によってはランプの交換や掃除をしにくくなる可能性があります。

LED照明によっては、ランプが切れると器具を丸ごと交換しなくてはいけないタイプもあるので要注意です。

ポイント
こまめに照明器具についたホコリなどを掃除したい方は、メンテナンス性も考慮してプランを検討してください。

ただし、LEDランプの平均寿命は40,000時間(8〜10年程度)なので、ランプの交換はそれほど気にしなくても良いでしょう。
※寿命=光束速維持率が70%に滅衰する年数

LEDランプが切れるのが心配な方は、ランプ交換しやすい器具をメイン照明にして、建築化照明をサブの照明にすると、点灯時間を減らせます。


手元の明るさが足りない

空間演出に長けている建築化照明は、直接照明と比べると照度は低めです。

そのため、建築化照明だけでは作業するデスクの上などで手元が暗くなる可能性があります。

特に、建築化照明を設置した壁のすぐ下に作業スペースを配置すると、ご自身の頭で手元が影になるため注意しましょう。

ポイント
「すっきりした照明計画で、尚且つ手元までしっかり明るくしたい」という方は、スポットライトやペンダントライトを部分的に採用するプランがおすすめです。

ライティングレールと組み合わせて位置を簡単に変えられるようにしておけば、シーンに応じて照らしたい場所を調節できます。

また、装飾的なペンダントライトは、インテリアのアクセントにもなり、さらにおしゃれな雰囲気を高められるでしょう。


効果的に取り入れるにはコツが必要

建築化照明は、直接照明のように明るさを数値化しづらいため、効果的に取り入れるためにはコツがいります。

同じ照明器具でも、設置する範囲や壁・天井の仕上げ材により、反射光の強さや広がりが変わるからです。

そのため、デザイン性を重視して建築化照明をプランへ取り入れたものの、その魅力がうまく発揮されない可能性もあります。

ポイント
建築化照明を取り入れたい方は、設計施工の実績が多い建築会社へ相談しましょう。

いくつもの事例を見て、イメージに合う照明計画を見つけることも大切です。


 

施工事例


建築化照明を取り入れた施工事例

蓮見工務店では、これまで建築化照明を取り入れた住宅を数多く手がけてきた実績があります。

その中からいくつかを抜粋し、設計デザインのポイントと併せて紹介します。

折り下げ天井の段差へ照明器具を設置する

建築化照明を取り入れた施工事例
施工事例「中庭を囲むリビング階段の家

最近人気なのが、折り下げ天井(※)と建築化照明を組み合わせるプランです。

※折り下げ天井:LDKなど広い空間の一部で敢えて天井を一段下げる手法で、キッチンへ採用する事例が多い

天井に生まれた段差を利用して、コーブ照明にします。

光のラインが生まれてゴージャスな印象に仕上がります。

連続したオープン棚の一部に照明を取り入れる

建築化照明を取り入れた施工事例
施工事例「ビルトインガレージと木塀のある家

天井の一部を細工するコーブ照明やコーニス照明、トロファ照明はどうしても造作工事が発生して、費用が高くなりがちです。

しかし、こちらのようにオープン棚の上に照明器具を設置すると、天井や壁へ細工せずに間接照明にできます。

掃除しやすい点もメリットです。

和室スタイルの小上がりと組み合わせて落ち着いた印象に

建築化照明を取り入れた施工事例
施工事例「『楽しむ家づくり』を満喫する、高性能住宅

建築化照明はどんなインテリアとも相性は良いですが、特に和モダンな空間とはうまく調和します。

こちらのようにリビングの一角へ畳敷の小上がりを作る住宅が増えていますが、そちらにも建築化照明を設置すると洋風なリビングダイニングのインテリアとも違和感なく溶け込みます。

収納に照明を取り入れて玄関を照らす

建築化照明を取り入れた施工事例
施工事例「木製デッキ越しに庭をのぞむ平屋の家

よくおすすめするのが、玄関収納の上部や下部へ照明器具を設置するプランです。

玄関はその家の“顔”とも言える場所ですから、特にデザインへこだわりたいですよね。

玄関は他の空間よりもそこまで明るさは必要なく演出性で雰囲気が変わるため、まさに建築化照明を取り入れるのに適した場所と言えるでしょう。

ポイント
蓮見工務店では、お客様のご予算や間取りへのご要望を踏まえて、適材適所に建築化照明を提案しております。

「照明にまでこだわった居心地の良い家にしたい」という方は、お気軽にご相談ください。


 

施工事例

 

まとめ

建築化照明は事例の多い建築会社へ相談を
施工事例「屋根組と開放的ホールが特徴の家

「建築化照明」は、光源が見えずに柔らかい光を放つため、おしゃれなインテリアを目指す方におすすめの手法です。

ただし、採用する前にはデメリットや注意点とそれらへの対策を知っておきましょう。

施工事例を見て、仕上がりをイメージすることも重要です。

家づくりを後悔しないためにも、建築化照明の採用実績が豊富な建築会社へ相談しましょう。

そして、ずっと暮らし続けられる住まいを建てるために、ぜひ「構造・間取り・内装デザイン・材料」全てにこだわってください。

  • 長寿命で高耐久な構造計画
  • 機能的で無駄のない動線を踏まえた間取り計画
  • 温もりや居心地の良さを感じられる内装デザイン
  • 住む人の健康を維持するための材料・設備選び


私たち蓮見工務店はこれら全てを踏まえて、設計事務所として培った経験や知識と、高品質な施工技術により、お客様に心から安心していただける住まいづくりを徹底しております。

デザインと性能、快適さの全てを持ち合わせた家を埼玉県で新築・リノベーションしたい方は、ぜひ「蓮見工務店」までお問合せください。

 

施工事例

 

監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

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