2階リビングは後悔する家になる?

2階リビングの家の暮らし

都市部には、交通量の多い道路に面している、隣家との距離が近いなどの土地が多くあります。そのような土地に建てる家は、日当たりや風通し、プライバシー確保が難しい環境になってしまう為、間取りに工夫が必要です。その間取りの工夫の中で、2階リビングを検討されることがあると思います。

実家も2階リビングだった、2階リビングの家で暮らしたことがあるというような場合には、2階リビングでの暮らしが想像できると思います。ただ、多くの人は、1階リビングの暮らししか体験したことがありません。また、同じ2階リビングでも、敷地の環境、間取りによって、暮らしやすさは大きく変わります。

1階リビングの暮らしと、2階リビングの暮らしの違いを知り、家族の暮らし方と敷地の環境に合わせた間取りにしていく、または1階リビングにし、間取りの工夫で日当たりや風通しが良く、プライバシーを確保できる家にするという両面から考えていくことが、後悔しない2階リビングの家に繋がります。

2階リビングの良さを活かし問題点を解決する為のポイント

2階リビングの良さの一つは、日当たりが良くなることです。陽射しは、明るさ、暖かさを室内に届けてくれます。明るさは、日中、照明をつけなくても日常的な作業ができることに加え、家族の心にも健康にも良い影響を与えます。

一方、暖かさは、冬の間はありがたいのですが、夏になると、暑さに変わります。2階建ての家の場合、屋根からの熱で2階の気温は1階より上がってしまいます。そして、1階の部屋を個室にすると、生活時間が短くなりがちで、陽射しの暖かさが届きづらいことあり、冬の期間は室温の低下につながります。2階建てリビングの家を、夏は暑く、冬は寒い過ごしにくい家にしない為には、いくつかの点に注意しなくてはなりません。

断熱性を高める

まず挙げられることは、断熱性を高めて、屋根や壁からの熱の出入りを防ぐということです。断熱性の高さは冬の寒さを和らげ、夏の暑さに対しエアコンの効率も向上させます。

1階リビングであれば、1階の生活熱や暖房の熱が上階にも伝わり、日中の太陽熱も、室内に蓄熱されています。しかし、2階リビングの場合、1階は日中でも日当たりが悪い場合も多く、2階リビングの熱が効率よく1階に降りていくことも難しいため、低い室温になりがちです。リビングで食後の時間をゆったり過ごした後、1階の寝室に降りていくと、ぞっとするほど冷えているというようなことになりかねません。その為、2階リビングにする場合には、家全体の温熱環境を高いレベルで安定させる断熱性の高さが求められます。

空気を循環させる

家全体の温熱環境を良くするためには、断熱性に加えて、空気が循環していることも必要です。適切な空調計画や換気計画によって、暖かい空気が循環すれば、1階が冷え切る心配がありません。暖かい空気は比重が軽く上昇するという基本に逆らわない、床下エアコンなどの空調・換気計画が、省エネで快適な温熱環境にとって大切になります。

1階にも光を届ける

家の中に吹抜けやリビング階段等を配置して空気を循環させ、1階にも暖かさを届けると共に、自然光の明るさが届くようにしておくことも、1階の居住性の向上に役立ちます。

日射を遮蔽する

夏の暑さを抑えるためには、太陽の熱と光の流入を遮る必要があります。その方法のひとつは、深い軒や庇を設けることです。冬場と夏場の太陽高度の違いを利用し、冬場は十分に陽が入り夏場の太陽高度が高い時間帯はしっかりと遮れるように、建物の配置方角を確認しながら軒の深さを検討します。太陽高度の低くなる東・西面は軒での遮蔽は難しいので、遮熱機能のある窓ガラスや簾・アウターシェードを採用することも、日射遮蔽に役立ちます。

1階リビングの場合、リビングの窓の前に落葉樹を植えることで、落葉した冬場は陽射しを採り入れ、夏場は生い茂る木の葉で陽射しを遮れますが、2階リビングの場合、落葉樹が2階の窓を覆うほどに成長するには、何年もかかります。また、2階のリビングの窓からの日射を遮れるほどの大木に成長すれば、植木の手入れにも相当な費用がかかってしまいます。

2階リビングで気になること

天窓のある2階リビングの家

天窓のある2階リビングの家

日当たりと景観が良い2階リビングは、深い軒とバルコニーの組み合わせで、さらに広々とした空間になります。子供たちが1階の子供部屋で、どんなに大きな足音を立てても、リビングにお迎えしているお客様を煩わせることもないでしょう。リビングのことだけ考えると、2階リビングは暮らしやすい家になりそうだと思う一方、疑問もわいてきませんか?

階段が負担にならないだろうか?

重い食料品を運び上げるのは大変だろうなあ…

高齢になったら階段が負担になりそう

大型家電を買い替える時には2階まで上がるだろうか?

暮らしの中で2階リビングに感じる不安や疑問の多くは、階段に関わることではないでしょうか?このような不安を無くす為には、収納と階段の造り方を考える必要があります。

子育て中には、食料品の量も多く、毎日のように重い食料品を2階までは運ぶのは大変です。解決策として、階段下などを利用して収納スペースを設け、仮置きができるようにしておく方法があります。

また、調理などで出る生ゴミ等を仮置きして置けるスペースの確保や、自治体や機種によってはディスポーザーを設置することも可能ですので、検討しておくと便利です。

階段は、できるだけ幅を広くしておくことで、大型家電や家具の搬入がしやすくなります。また、バルコニーから搬入できるようなプランにしておくのもひとつの方法です。その他には、老後に備え、将来的にエレベーターを設置できるような間取りにしておく、または1階にリビングを移せるようにしておくという方法もあります。

キッチン以外の水回りは2階と1階とどちらがいいのだろう?

浴室や洗面所が2階にあると、洗濯に関わる家事から、階段の昇り降りが省かれるで、平屋のように楽になります。ただ、帰宅の遅い家族がいる場合、浴室や洗面所の排水音が1階に響き、他の家族の睡眠を妨げることにならないような間取りにしなくてはなりません。1階に水回りを持っていくと、2階にリビング以外に居室が作れます。

せっかく景観が良いリビングなのに、バルコニーに洗濯物を干したくない

そう考える場合には、1階に浴室と洗面所、さらに室内干しが出来る洗濯室を設けるという間取りも考えられます。独立した洗濯室に床面積をとられたくない場合は、洗面所を広めにし、洗濯物を干せるスペースを造る方法もあります。

1階に寝室があると外部の音が気になりそう

1階リビングの家では、2階に寝室がある場合が多いので、道路からの音や隣家の生活音が気になりませんが、1階の寝室には外部からの騒音に煩わされる恐れがあります。寝室の窓が隣家と近い、道路に面しているというような場合には、窓の位置を工夫したり、二重窓にする、セルロースファイバーの断熱材を採用するなどの対策で、外部からの音がかなり抑えられます。

2階リビングの家の子供部屋

2階リビングの長期優良住宅

2階リビングの長期優良住宅

子供がまだ幼く、見守りが必要な時期には、2階に子供部屋がある方が便利かもしれません。その時期は数年ですが、子供が一人で出かけられるような年齢になった時にも、安心感があります。2階リビングで、子供部屋を1階に造った場合、子供の足音が気にならないという良さはありますが、子供とのコミュニケーションに不安があるからです。

近年、主流となっているリビング中心の間取りの良さは、家族の自然なコミュニケーションが生まれるチャンスが多いということです。帰宅した家族がリビングに集うので、子供の行動が把握しやすいという安心感もあります。その一方、帰宅した家族が荷物も一緒に持ち込むので、物が溢れ、片付かないという面もあります。

1階を子供部屋にした場合、帰宅して、学校で使った勉強道具などを自分の部屋に片づけてからリビングに入るので、リビングに物が溢れることがなくなります。しかし、帰宅してそのまま自分の部屋に留まってしまったり、黙って外出したりすると、親が子供の行動を把握できなくなってしまいます。

そのような状況にならないよう、1階に子供部屋を造る場合には、対面キッチンの前面にカウンターをつけて、子供が食事の支度をしている母親と話しながら宿題ができるようにする、自分の部屋で勉強する場合も、帰宅したら2階に上がり挨拶をしてから子供部屋に行く、子供に鍵を持たせず、子供が帰宅したら1階に降りて鍵を開けるなど、子供の外出、帰宅を把握する為の配慮も必要です。

間取りの工夫として、2階リビングに吹抜けを設け、1階の子供室との視線的なつながりを持たせたり、声掛けし易くするのも良いかもしれません。

■ ■ ■

日当たりや風通しの良さを考えて2階リビングを検討する際には、2階リビングでの暮らしが生み出す不便な面も知っておくことが大切です。その上で、2階リビングにする、または、間取りの工夫で、十分な採光と採風を得られる1階リビングにするなど、家族の暮らし方と、敷地の環境に合わせて、最適なプランを考えていくことが、暮らしやすい家の実現に繋がります。

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

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