子育て期間中も事故の危険を抑えられるバリアフリー住宅
子供が小さいうちは、身体能力が低い上に、大人が予想しないような動きをするので、家の中での事故が、数多く発生しています。年齢が上がるにつれて、子供が家の中で過ごす時間は減っていきますが、就学までの期間は、ほとんどの時間を家で過ごします。
二世帯住宅であれば、見守る大人が複数人いるかもしれませんが、ほとんどの家庭では、母親が家事をしながら、子供の見守りをしています。ちょっと目を離した隙に、事故が起こってしまう可能性も皆無とは言えません。バリアフリーにしておけばよかった…と後悔するようなことがないように、具体的なポイントを確認していきましょう。
段差をなくす
小上がりの和室やスキップフロアを採り入れる間取りは、人気のある間取りです。子育て中は、リビングに小上がりの和室があると、リビングで遊んでいた子供が、急に寝てしまっても、子供部屋まで運ばず、畳に寝かせられます。車椅子の高齢者にとっても、段差に腰掛けることができて便利です。中2階を作るスキップフロアは、床面積を有効に使えることに加えて、オシャレな雰囲気になるので、若い世代に好まれています。
ただ、どちらも小さな子供にとっては、転落の危険性があります。また、家族の中に、車椅子を使わなくてはならないような、事故や病気が発生した場合には、スキップフロアは、暮らしにくい家になってしまいます。子供の安全という観点から考えると小上がり、バリアフリーという観点から考えるとスキップフロアは、避けた方が良い間取りと考えられます。
家の中の出入り口を減らす
浴室やトイレには、出入り口が必要ですが、家の中をできるだけ区切らず、出入り口を減らすことも、バリアフリーに繋がります。子育て中には、視線が遠くまで届くので、見守りがしやすく、車椅子の家族にとっては、移動しやすいからです。両手いっぱいに洗濯物をかかえていたり、子供を抱いたりしていても、楽に移動ができるので、子育て中の家事負担軽減にも繋がります。
加えて、出入り口は、開き戸より引き戸の方が、融通が利きます。さらに、上吊りタイプの引き戸にしておくと、敷居を作らなくてもすみます。子育て中には、子供がドアに手を挟む心配がありません。車椅子の家族がいる場合には、ドアより通行がしやすくなります。少しだけ開けておくことも、いっぱいに開放することもできます。引き戸は、日当たりや風通しにも役立ちますが、暮らしのタイミングに合わせて、開きの幅を調整できるので便利です。
滑らず、弾力性のある床
浴室の床はもちろんですが、家全体の床も、滑りにくく、弾力性のある床であることが、子育てにも高齢者にも役立ちます。滑りにくく弾力性のある床とは、畳や杉などの針葉樹系の無垢材の床です。どちらも内部に空気を含んでいるので、弾力性があります。その表面は滑りにくく、温かみがあります。
弾力性のある床は、小さな子供が転倒して、頭を打ってしまったりしても、硬い床に比べると、深刻な事故になるリスクを抑えられます。また、高齢者にとっては、歩いたり、立ったりする動作が関節に与える衝撃を抑えられるので、身体への負担が軽減されます。また、子供や高齢者が躓く原因の一つにラグがあります。畳や無垢材であれば、冬でも温かみがあるので、ラグを敷かなくてもすみます。床付近の温熱環境が下肢障害のリスクと相関関係にあることが、国の住宅環境と健康状態の調査(スマートウェルネス事業)により報告されています。
安全な階段
平屋の場合には心配ありませんが、2階建ての場合には、安全な階段を計画することが大切です。手すりを設けることはもちろんですが、階段の形状も安全性に大きく影響します。階段には、1階から2階まで直通する直階段と、踊り場のある階段があります。この踊り場の造り方で、階段の安全度が大きく変わります。
最も安全な階段は、方形で広い踊り場がある折り返し階段です。2階から転落してしまったとしても、踊り場で転落が止まります。また、勾配が適度に緩やかなことも、より安全性が高い階段の重要な要素です。踊り場に30℃の角度を持つ三角形の踏み板が組み合わされている階段は、1間角のスペースで設置できるため、とても効率的ですが、踏み外しのリスクや、転落の勢いを止め難いことも考慮する必要があります。
緩やかで方形の踊り場がある階段は、子供と高齢者だけではなく、妊娠中にも使いやすい階段です。また、年齢にかかわらず、フットライトを設置しておくことが、夜間の階段の安全性を高めます。
ただ、車椅子の場合には、階段の他に、車椅子で通行できる幅のスロープをつけなくてはならず、よほどの豪邸でない限り、現実的ではありません。そこで、将来に備えて、エレベーターを設置できるように計画しておくことも良い方法です。
温度差をなくす
出入り口の少ない間取り、居室が細かく分かれていない間取りの家は、家の中の温度差を抑えることにも繋がります。家の中の温度差が少ない温熱環境は、子供の健康を守ります。たとえば、低い室温はウィルスや細菌への抵抗力を弱めてしまいますし、室内温度差による結露はアレルゲンとなるカビやダニの発生をもたらしてしまします。また、高齢になった時にも、温度差が少ない温熱環境はヒートショックや、室内での熱中症を防ぎます。
空間が広がれば広がるほど、冷暖房の負荷が増大するので、空間をつなげる間取りに加えて、断熱性の高さと、気密・換気計画も同時に考えなくてはなりません。家の中のどの場所にも、ヒートショックや熱中症のリスクがないことも、バリアフリーに繋がります。
暮らしやすさを持続する可変性
子育て中には、子供の成長に応じて、暮らしやすい間取りが変わります。子供が成長し、独立していく、家を建てたご夫婦が高齢になるなどのタイミングでも、暮らしやすい家のカタチは変わっていくでしょう。子供の成長や、家を建てたご夫婦のライフステージの変化に応じて、常に暮らしやすい家にしておくためには、可変性が求められます。
バリアフリーの項でも触れましたが、内部に出入り口の少ない間取りの家、出入り口に引き戸が使われている家は、子育て、バリアフリーという観点からも、可変性という観点からも有効です。まだ出入り口に引き戸が使われていると、前方に無駄なスペースが生まれないので、空間が有効に利用できます。
出入り口の少ない間取りや、引き戸を使った間取りは、間仕切壁を増やしたり、減らしたりする、引き戸を閉じたり、開放したりするだけで、間取りを変更できます。子供が小さいうちは、LDKと子供部屋になる予定の部屋を繋げ、家族全員で使う、子供が就学したら、間仕切壁や引き戸で区切る、下の子供も小学校高学年になり、自分の部屋を欲しがるようになったら、さらに区切るというようなことができます。
それらの可変性を可能とするには、適切な構造計画が欠かせません。家の中をいくつかの大きな区画で区切る構造ブロックという考え方です。この構造ブロックに沿って耐震要素を配置して強固な構造体を形成します。そうすれば、各ブロックの中は間仕切壁などを比較的自由に移動できるようになるのです。
これは単純な例えで、実際の間取りプランには、もっと多くの考えるべきことがありますが、簡単に間取りを変えられるようにしておく、ということを間取りの考え方の基礎の一つに入れておきましょう。
バリアフリーで、可変性のある家は、子育てに向いた家でもあります。現時点で必要を感じないとしても、全般的な暮らしの安全と快適に繋がります。様々な観点から家づくりを検討していくことが、良い家づくりに繋がります。
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。
そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。
注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
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