間取りを決める上で、欠かせない要素が動線です。
日当たりの良いリビングや、風通しの良い寝室など、室内環境に配慮することも大切ですが、
同時に、家族それぞれの動線にあった間取りであることも、暮らしやすさには欠かせません。
動線を考慮すると、家族がストレスなく、家の中を移動でき、
家事負担が少ない間取りと、自然に部屋が片付く、活きた収納を備えた家を作れます。
より良い動線は、家族構成や、家族の暮らし方によって異なります。
自分たち家族の暮らし方を思い浮かべ、より良い動線を見つけましょう。
リビングの使いやすさに影響する帰宅動線と収納と洗面
帰宅するとリビングに直行する、という暮らし方の家族が増えています。
家にいる時間は、ほとんどをリビングで過ごすという生活スタイルの家族です。
そのような家族の帰宅動線は、玄関→リビングです。
この場合、2つ解決したい問題があります。
ひとつは、衛生動線です。
帰宅してリビングに直行する場合、キッチンで手洗いうがいをすることになってしまうからです。
帰宅後のキッチンでの手洗いうがいは、衛生上好ましいことではありません。
帰宅後は、服にも手にも、外部の汚れが付着しているからです。
そしてキッチンは食事を作る場所なので、家の中で最も清潔にしておきたい場所です。
もし、玄関とリビングの間に、サブ洗面台があれば、帰宅後、手洗いうがいをしてから、リビングに入れます。
このサブ洗面台は、お客様対策にも役立ちます。
洗面所に、洗濯機を設置する間取りにする予定の場合、洗面所は生活感の出やすい場所になることが多いです。
特に子育て中や、家族の人数が多い場合には、洗濯物、洗濯用品、洗面用品などの量が多いからです。
神経質な人にとって洗面所は、衛生的に他人を入れたくない場所かもしれません。
でも、玄関とリビングの間に、サブ洗面台があれば、
お客様を洗面所にお通しせずに、洗面台をお使いいただけます。
また、お客様の動線を短くし、その他のプライベートな空間からも切り離せます。
もう一つは収納です。
リビングで過ごすことの多い家族、帰宅後リビングに直行する家族の場合、
リビングは物が溢れやすい場所になる可能性が高いと考えられます。
家族にとって、居心地の良いリビングは、意識して片づけをしなくても、
常にすっきりしているリビングではないでしょうか?
また、最近は、客間を作らず、リビングでお客様をおもてなしするという間取りが増えています。
そのような間取りの場合には、なおさら、きれいなリビングでなくてはならないでしょう。
子育て中や、共働きのご夫婦であれば、仕事が忙しく、
時間をかけなければきれいにならないリビングは、ストレスになる恐れもあります。
自然に片付くリビングにするためには、収納が大きな役割を果たします。
玄関からリビングの間にウォークスルークローゼットを設置する
玄関、またはリビング内に大型ファミリークローゼットを作る
など、帰宅後の荷物や、リビングで使う物を収納できるクローゼットがあると、
リビングは常に片付いた状態を維持できます。
収納の作り方のポイントも、家族の暮らし方に合わせることです。
家族の人数が多く、来客も多い家族の場合、
玄関内に家族用動線と来客用動線を作るという玄関の作り方もできます。
玄関の家族用スペースに作る収納スペースは、土間収納を組み合わせると、
より活用範囲が広がり、スポーツ用品やベビーカーなども収められます。
リビングの収納は、子供の成長に合わせて、収納の使い勝手が変えられるようにしておくと、
小さなうちから、リビングで遊んだおもちゃを、自分でお片付けする習慣が身に付きます。
家事負担を楽にする家事動線
洗濯、掃除、調理は、毎日する家事です。
これらの家事負担が大きくなれば、時間が無駄になり、疲れも倍増します。
効率よく家事をこなすためには、家事動線に配慮した間取りにしなくてはなりません。
洗濯
間取りによって、最も移動距離が変わる家事は、洗濯に関わる家事です。
特に2階建ての場合には、洗濯機を置く場所、洗濯物を干す場所、
子供が小さいうちは、子供部屋との位置関係によって、家事負担が大きくなってしまいます。
特に、家族の人数が多い場合は、洗濯物の量も多いので大変です。
また、家族によっては、花粉を避ける為や、防犯を考えて、洗濯物を外に干さない場合もあります。
ベランダに洗濯物を干す予定であれば、2階に洗濯機を置き、家族用の大型クローゼットと、隣接させる
洗濯物を外に干さない場合には、洗面所内に、洗濯物を干すスペースと、洗面用品やタオル以外に、
下着、パジャマなどを収納できる大型収納を作るというような間取りも考えられます。
どちらの場合も、アイロンかけなどの作業が、洗濯物を干すスペースでできるので、
洗う→干す・取り込む→アイロンをかける→収めるという洗濯に関わる家事を、まとめて行えます。
食事の支度と後片付け
キッチン内の動きは、キッチンのレイアウトによっても大きく変わりますが、
リビング・ダイニングとの繋げ方からも影響を受けます。
特に子育て中には、食事の支度をしながら、子供を見守らなくてなりません。
子供が学校に行くようになれば、朝食やお弁当を作りながら、洗濯機を回したり、
子供部屋に子供を起こしに行ったりしなくてはならないこともあります。
その際の移動を短縮するためには、洗濯機を置いている場所が洗面所なら洗面所、
洗濯機を置く場所や、子供部屋が2階にあれば、キッチンから階段への短い動線も必要です。
「キッチンと洗面所、階段が回遊できるような繋がり方」をしている動線であれば、
いくつもの家事を、並行してこなしやすくなります。
また、食料品を収めるパントリーの位置も、家事負担に影響します。
最近は、勝手口のないキッチンも増えましたが、
勝手口+勝手口のそばのパントリーという組む合わせは、とても便利です。
玄関を通らずに、買い出しをしてきた食料品を、直接キッチンに搬入できるからです。
自転車や自動車など、家族によって日常生活の買い物の方法は異なりますが、
それに合わせた門から勝手口までの動線があると、より勝手口が使いやすくなります。
キッチン内にパントリーがあれば、キッチン内のあちこちに買い置きの食料品や、
調理器具が溢れてしまう状況を防ぎ、常に使いやすいキッチンを維持できます。
そして、勝手口があれば、ゴミ出しなども玄関を通らずに行けます。
勝手口にそばに、屋根付きの収納スペースや、広めの土間を作ると、
外部とキッチン内の動線がスムーズになり、勝手口をより活用できます。
雨の日に洗濯物を干す、自転車置き場にする、紙ごみやプラごみなどの仮置き場にする、
ガーデニング用品を収めるといったことができるからです。
もう一つ考えておきたいことは、お手伝いのしやすさです。
キッチンのレイアウトと、ダイニングとの繋げ方によっては、動線が遮られてしまい、
複数人では食事の支度や、家族の配膳のお手伝いなどが、しにくくなることがあります。
家族全員がゆったりと座れないダイニングになってしまう恐れもあります。
キッチンとダイニングの面積と、家族の人数に合わせたキッチンレイアウトを選ぶことで、
家族の動線が遮られないキッチンと、ダイニングが生まれます。
掃除
掃除の家事負担を少なくするポイントは、収納と、コンセントの位置と数です。
掃除は、掃除をする場所によって、使用する掃除道具が異なります。
それぞれの場所にあわせた、出し入れしやすい掃除用具入れがあると、
目に見える場所に掃除用具を置かなくてすみますし、掃除もしやすくなります。
加えてコンセントの位置と数も重要です。
掃除機をかける時に、差し込みやすい位置と高さであること、
掃除機のコードが届く範囲に、次のコンセントがあることが、掃除のしやすさに繋がります。
お掃除ロボットを使う部屋には、家族の通行の邪魔にならない位置にある、充電用のコンセントも必要です。