快適な室内環境とは?
快適な室内環境を調える為には、きれいな空気と適切な室温が必要です。
換気の必要性
快適だと感じる要素の一つは、爽やかな空気、汚れていない空気です。家の中には、それほど汚染物質はないと思っていらっしゃる方は多いと思いますが、家の中の空気には様々な汚染物質が含まれています。その為、適切な換気がされていない家では、空気が汚れてしまい、爽やかな空間は生まれません。家の中の空気に含まれている物質には、カビの胞子、ダニの死骸やフン、揮発性有害化学物質などや、私たちの呼吸や、燃焼性の調理機器から発生する二酸化炭素、水蒸気が挙げられ、季節によっては、花粉や黄砂、PM2.5も含まれます。
近年は、食品や化粧品に含まれている有害添加物への意識が高まり、有害物質が添加されていない食品や化粧品を購入するが増えています。しかし、きれいな空気は購入できません。住宅の換気性能、換気方法、空気清浄機能の質を高める以外に、きれいな空気を手に入れる方法はないのです。しかも、空気は、24時間常に体の中に入ってきます。食品や化粧品に含まれる有害物質よりも、はるかに多くの有害物質を体内に取り込んでしまうことになるのではないでしょうか?
その結果、子供がアレルギー疾患を発症してしまうこともあります。特に、気密性の高い住宅で、ホルムアルデヒドなどの有害物質を揮発させる建材が使われていれば、ダニや埃によるアレルギーだけではなく、シックハウス症候群を発症してしまうリスクも高まります。合成化学物質は、家具やカーテン、などにも含まれています。その他にも、タバコの煙、ペットの毛、衣服の繊維、人間のフケなど、数え上げればきりがないほど、いろいろな物質が空気中に舞い散っています。
もちろん、子供のアレルギーの原因はそれだけではなく、食物にもあります。ただ、家の中の空気がきれいであるということも、アレルギーを回避するためには、非常に大切です。
化学物質の他にも、インフルエンザなどのウィルスが、室内に蔓延しやすくなります。家族の誰かがコロナウィルスを家庭に持ち帰った場合、換気の悪い家では、一気に家族中が感染してしまうかもしれません。
換気が悪いと、有害物質が空気中に増える以外に、酸素濃度が低下するという現象も起こります。人間が、正常な状態を維持する為に、酸素は必要不可欠です。ところが、換気の悪い状態の室内に長くいると、集中力が低下します。さらに酸素が不足すると、疲れや肩こり、めまい、だるさなどの症状が起こってしまいます。
エアコンや空気清浄機を稼働させていれば、換気ができるのでは?と考える人もいるかもしれませんが、そうではありません。エアコンは室内の空気を取りこんで、涼しさや暖かさなどの温度と湿度のみを変換して、二酸化炭素や汚染物質はそのまま室内に放出します。空気清浄機は、取り込んだ室内の空気に含まれる有害物質を、フィルターで捉え、きれいになった空気を室内に放出しますが、酸素や二酸化炭素、水蒸気の濃度を調えるわけではありません。どちらも、外部からの新鮮空気と、家の中の空気を入れ替えているわけではないのです。
したがって、爽やかで快適な室内、健康に悪影響を与えない空気環境を創り出すためには、換気計画が非常に重要になります。特に、断熱性能を無駄にしない為、気密性を高めた住宅が増えている現在、断熱性と気密性に見合った換気計画が外せない要素です。高性能な住宅では、換気における熱交換機能も重要な要素となります。
気密性の高い住宅では、計画的な換気が不可欠ですが、その一方、予期せぬ隙間から汚れた空気が浸入することもありません。花粉の時期には、窓の開放を控え、換気口のフィルターを選び、衣類についた花粉を落とすなどの対策をすれば、花粉が家の中に入って来るのを防げます。もちろん、季節によっては窓からの換気も、爽やかな室内環境には有効なので、窓の位置、開閉方法も重要な換気計画の一環です。
適切な室温維持には断熱性と調湿性が必要
快適な室内環境に必要なもう一つの要素は、適切な室温です。室温を調える為には、住宅の断熱性が必要です。そして、室温と差がない体感温度にするためには、湿度の調整も必要です。
断熱性を高めるということは、外気に触れる部分からの熱の出入りを抑えるということです。ただし、適切な室内の温度維持のためには、それ以外に、自然のエネルギーとの付き合い方も大切です。夏は深い軒やオーニング、すだれなどで日射を遮蔽する、窓の近くに落葉樹を植える、冬は、縁側や土間などで、外気温との緩衝地帯を設ける、暖かい陽射しを家の奥まで届ける間取りにするなど、太陽の熱との付き合い方が、適切な室温のコントロールにとても大切です。
もう一つ考えたいことは、体感温度です。せっかく適度な室温になっていても、体感温度によっては、快適に感じられない状態になってしまうことがあります。その原因としては、湿度(水蒸気量)と、壁や床、天井などの表面温度が挙げられます。
例えば、同じ室温であっても、湿度が高い(水蒸気量が多い)と、より蒸し暑く感じ、快適ではなくなってしまいます。反対に、乾燥していると、より寒く感じます。海外では、暑い時期にも湿度が低く、爽やかに過ごせる国もありますが、日本の場合、暑い時期には多湿になり、寒い時期には乾燥するという気候です。その為、せっかくの断熱性の効果を十分に得るためには、室内の水蒸気量の調整が大切なのです。
エアコンや除・加湿器などの機械設備を使って、水蒸気量を調えることが主力となりますが、家づくりの段階では建材に着目しましょう。木材、漆喰や珪藻土などの塗り壁、畳、和紙などの自然素材には、調湿性があります。多湿になると空気中の水分を吸収し、乾燥すると空気中に蓄積した水分を放出するという働きで、室内の水蒸気量の調整をおぎないます。
また、断熱性を上げると室内の床や壁・天井の表面温度が室温に近づきます。体感温度=(室温+平均表面温度)/2という指標もありますので、室内の快適性にとって、断熱性・表面温度はとても重要です。また、自然素材の塗り壁や、土間床などは蓄熱性があるので、室温の変化を緩やかにしてくれます。木材や畳、和紙などは熱の伝導率が低いので、夏に触れられないほど表面が熱くなったり、冬にヒヤッとして不快な思いをすることがありません。
断熱・気密性能を上げ、計画的に換気を行い、自然素材の内装や家具で設えれば、体感温度を安定させ、不快感を和らげてくれます。加えて、前述したようなホルムアルデヒドなどの物質を、空気中に振り撒かない良さもあります。
冷暖房の考え方
日本の家は長らく、リビングなどの部分的な居室を冷暖房するという考え方で、空調をしてきました。もっと昔には、部屋全体を暖房するという考え方はなく、火鉢や炬燵で部分的に暖をとってきました。しかし、これからの住宅は、家全体を冷暖房するという考え方が主流になってきています。
部分的な冷暖房は、家の中の温度差が、家の中に快適な場所とそうでない場所を生むだけでなく、家族の健康に多くの悪影響を与えてしまいます。大切な家族に、ヒートショックなどによる致命的な事象も招きかねないのです。部分的にしか冷暖房しないのであれば、当然エネルギー消費の絶対量は少なくなりますが、冷暖房している部屋と非冷暖房室とで熱が移動するので、エネルギー効率は悪化します。HEAT20のG2グレード相当の断熱性能にすれば、国の基準である温熱等級4の建物を、部分間欠空調する場合と同等の消費エネルギー量で、全館連続空調が可能になります。
快適な環境はリビングだけ、快適に過ごせるのは冷暖房をしている時間だけという家は、快適で安心安全な家ではありません。家の中のどこに行っても、夏は涼しく冬は暖かい、冷暖房を止めても急激に温度が変化しないという環境が調った家こそが、快適で家族思いの家です。そのような冷暖房の方法ができる家にするためには、断熱気密性能を高めたうえで、床下や小屋裏空間を利用した空調設備や欄間や格子の建具を使う、部屋を細かく区切らないなど、家の中の空気が循環するような設計の工夫が求められます。
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快適な室内環境には、換気、断熱、家全体の温度差を少なくする設計、自然素材、太陽や風との付き合い方が必要です。住宅のデザイン性や、暮らしやすい間取りと共に、家の中の空気の創り方に配慮し、暮らしやすく、質の高い家づくりを成功させてください。
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。
そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。
注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。
「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」
「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」
を感じて頂けます。
ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。