家の中の見栄えを良くする
色や質感に対する好みは千差万別です。ただ、壁や床、天井の色選びは、好みに合わせるという視点からだけ考えるべきではありません。家は長く住む所であり、安らぎの場でなくてはならないからです。カーテンやラグなどのインテリアグッズは、占める面積が少なく、一定の時期が来たら交換するので、強い色調の物を選んでも問題ありません。
しかし、壁や床、天井、建具は、長期間使います。その為、家具や家電の色、カーテンやラグの色に調和しやすい落ち着いた色、自然な色を選ぶことが大切です。加えて、壁や床、天井、建具の色や質感は、部屋ごとに別けるのではなく、できるだけ家全体で統一することが、家の居心地の良さを向上させます。
壁や床、天井の色選びをする際に、失敗しやすい点として、カラーサンプルと、実際の内装になった時の色では、色の印象が変わることを予測していなかったということがあります。色から受ける印象は、同じ色であっても、面積と光の当たり方によって変わってきます。日中の太陽の光にも影響を受けますが、夜間の照明の光の色の種類によっても、印象が変わります。
ハウスメーカーで家を建てる場合には、モデルルームで、実際に内装として使われている建材の色や質感を確認できますが、注文住宅ではそれができません。内装材のショールームに行ったり、OB宅を見学させてもらったりするチャンスがあれば、実際に内装として使われた場合の色や質感を確認できます。そのようなチャンスがない場合には、できるだけ大きいサイズのサンプルを見せてもらいましょう。
室内環境に影響する内装に使う建材
内装に使う建材には、自然素材から工業製品まで様々なタイプがあり、建材の選び方によって、新築時の見た目の質感や色だけではなく、経年劣化による色や質感の変化の仕方も変わります。
また、建材の選び方が、室内の空気や触感、掃除のしやすさなど、暮らしの快適さに影響を与えます。
天井・壁・床に使われる自然素材
自然素材の中で無垢材、漆喰の塗り壁には、紫外線による経年劣化や退色が少ないという良さがあります。無垢材は漆喰と比較して、紫外線による色の変化が大きくなりますが、その変化は、化学製品の褪色とは違い、より味わい深い色合いへの変化です。
無垢材、漆喰の塗り壁、畳、木綿や麻を使った織物クロスなどの自然素材には、色合いや、質感の良さだけではなく、室内の空気環境に良い影響を与えるという特徴があります。これらの自然素材は、共通して内部に空気を含んでいる為、調湿や、熱の伝達速度を和らげるといった性質があるからです。
調湿性は、空気中の水分を調えて、適度な湿度に維持する働きを助けます。湿度の高い時期には空気中より吸湿し、カビやダニの発生を防ぎ、乾燥する季節には、空気中に水分を放出し、潤いをもたらします。夏はさらっとした感触、冬はしっとりとした感触で、べたべたしたり、カサカサな感じになりません。
加えて調湿性は、体感温度にも影響を与えます。同じ室温であっても、湿度が高くなると、体感温度が上がり、より暑く感じます。乾燥すると、体感温度が下がり、より寒く感じます。
冬は、熱の伝達速度が緩やかなことで、床板などにじかに触れた時のヒヤッとした嫌な感じを和らげます。夏、室内に入る太陽熱の侵入速度を緩めて急激な温度上昇を防ぎます。冬、外に逃げていく暖房の熱を抑える働きもします。
自然素材に含まれている空気は、床に歩いた時の心地良さや、足腰への健康リスクも軽減します。ふかふかのカーペットのように、柔らかすぎることもなく、タイルのような硬さもありません。
天井・壁・床に使われる工業製品
複合フローリングやビニールタイル、ビニールクロスなどの工業製品は、防汚、防カビ、抗菌、耐水など機能を備えたタイプがあります。これらの機能付き内装材は、汚れにくく、簡単にきれいになるという良さがあります。
加えて、豊富な色や柄のバリエーションの中から、好みのクロスや床材を選べること、自然素材に比べて価格の幅が広く、費用を抑えられるという良さもあります。
その一方、調湿性や断熱性は自然素材の無垢板や漆喰壁にくらべ、あまり期待出来ません。また、身体に悪影響を及ぼすと懸念される化学物質を室内に揮発させる建材もあります。建築基準法の規制で、以前ほど多くはありませんが、化学物質を室内に揮発させる建材が皆無であるとは言えない現状です。
暮らしやすさに関わる建具
内装の見た目の良さ、内装が創り出す室内環境に加えて、建具の使い勝手の良さも暮らしやすさに繋がります。
出入り口に使われる建具
大きく分けると、ドアと引き戸があります。ドアは、引き戸に比べると、防音性が高いことや、プライバシーを確保しやすい、左右の幅がなくても設置できるという良さがあります。その一方、開放する為に前方にスペースが必要である、開き方の融通が利かないという使い勝手の悪い部分もあります。ドアの開閉方法によっては、ドアを開けた時に、スイッチが隠れてしまったり、家族にぶつかりやすい状況になったりすることもあります。
引き戸は、開閉の幅を調整できるので、陽射しや風の量を調整できる、全部開放すると、続き間と繋げられるといった良さがあります。その一方、戸を引き込むだけの幅がないと設置できない、ドアよりも面積が広いので、家具の配置が難しくなるという使い勝手の悪い部分もあります。このようなドアと引き戸の性質を理解した上で、家族の動線、スイッチの位置、家具や家電の配置場所を具体的の想定し、出入り口に使う建具の種類を選ぶことが大切です。
洋風な内装にはドア、和風な内装には引き戸と決めつけることはありません。多彩な質感とデザインを持つドアや引き戸がありますので、天井、壁、床で使った建材と、色や質感が調和しているドアや引き戸を選べます。また、既製の建具以外にも、1本1本デザインして注文する製作建具も、とても良いものです。建物のデザインにあった製作建具をつかうことで、その空間のオリジナル感や手作り感が一気にあがります。
造作家具と収納
注文住宅の場合、間取りに合わせて、キッチンの前面のカウンターや、ダイニングテーブル、オシャレな壁面収納、玄関やリビングの大型収納スペースなど、様々な家具や収納を造ることができます。ロフトに子供用のベッドを造ったりすることもできます。
間取りプランを作成しながら、家具選びを並行して進めていても、フローリングの色と微妙に違ってしまうことは良くあります。しかし、大工仕事の造作家具は、内装に使われた建材とピッタリ調和するといった良さがあります。また、現場で造るので、置き家具に比べて、デッドスペースが生まれにくいという特徴もあります。置き家具の寸法をしっかり採寸していても、生まれてしまう小さな隙間を避けられます。
ガラスがはめ込まれている造作家具や、凝った造りの造作家具にする場合は、工場で造って搬入するので、大工仕事の造作家具より費用が嵩みます。また、置き家具と同じように、実際に設置してみると、小さなデッドスペースが生まれてしまったり、色が微妙に食い違ったりすることもあります。
造作の家具や収納は製作建具と同様に、建物のデザインに合わせて造り込んでいきますので、空間に統一感やプレミアム感をもたらしてくれます。住む人の感性に合ったサイズ、デザイン、素材に囲まれた空間は、とても素晴らしい暮らしを提供してくれます。
このように、大工仕事の造作家具には良い面がたくさんありますが、置き家具と違って簡単に交換できないので、導入は慎重に検討する必要があります。
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内装は、常に視界に入る部分ですので、家の中の居心地の良さに直結します。色や質感の調和していない内装、使い勝手の悪い出入り口、子供がアレルギーを発症する恐れのある空気などは、せっかくの暮らしやすい動線と、日当たり風通しの良さを備えた間取りの家を台無しにしてしまいます。
色や質感、触感の良さ、家族の動線、家具や家電のサイズや色、収納したい物のサイズ、照明の明色の種類、内装にかけられる予算などすべてを考えあわせた上で、バランスの良い内装計画を進めましょう。
蓮見工務店の家づくりへの想い
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。
「熱を集め、移し、蓄える」
「風を通し、涼を採り、熱を排出する」
「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」
などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。
快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。
そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。
注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。
「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」
「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」
を感じて頂けます。
ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。